『どこよりも遠い場所にいる君へ』出演の玉木宏、自身の“声”を受け入れる過程や青春の象徴『ウォーターボーイズ』を回顧
2025年に小説「カフネ」で第22回本屋大賞を受賞した阿部暁子の同名小説をアニメーション映画化した『どこよりも遠い場所にいる君へ』(公開中)。豊かな自然に囲まれた隠岐諸島をモデルとする離島・采岐島(ときしま)を舞台に、秘密を抱えた少年少女の揺れる想いを繊細に描きだす物語だ。
「タイトルの意味は本当に納得という感じでした」
ある秘密を抱えて島へやってきた高校生の月ヶ瀬和希(声: 石橋陽彩)と、“神隠しの入り江”で倒れていた1974年から来たという少女、秋鹿七緒(声:永瀬アンナ)との出会いから始まる物語。そんな本作で、和希と一緒に倒れていた七緒を発見し、彼自身の過去の体験も物語の重要な鍵となっている高津の声を演じるのは、玉木宏。隠岐にルーツを持つ玉木は、本作への参加に特別な縁も感じているという。
最初に台本を読んだ時は物語の着眼点、本土ではなかなか感じられない素朴な場所だからこその展開に引き込まれたと振り返る。「僕自身、島に行くと神秘的なことを感じることがすごくあって。(劇中の采岐島の伝承とされる)マレビトとかどこかに繋がっている入り口があるのではないかと思うことはあります。本当に手つかずの自然が多い場所なので。それに、愛も感じる作品だと感じました。そういった要素が含まれる作品で世界に勝負できるのは時代劇や日本のアニメだと思っているので、参加できることはすごくうれしかったし、やはりこのストーリー性のすばらしさや魅力を強く感じました」。
本作で舞台のモデルとなった島根県の隠岐は玉木の祖父母が住んでいた場所で、幼いころから毎年行っているという。玉木はこの島の魅力は「いまも昔も変わらない」と話す。「僕は名古屋で生まれ育ったいわゆる本土の人間です。島の一番の特徴はやはり本土にはない魅力があるところだと思っています。島に行くのもフェリーを使って大変だし、お店も本当に数えるくらいしかないです。僕のルーツである西ノ島には信号がひとつしかないのですが、それがある理由は、信号を忘れないため(笑)。ルールとして覚えておくためらしいんです。
それくらい素朴な場所なのですが、そういう不便さも含めて、日常から離れて別世界にいるような感覚があるのがすごく好きで。最初は親につれていってもらっていましたが、小学生のころには夏休みには1人で行くようになって。それがまたちょっとした冒険のようで楽しかったのを覚えています。本土にはない旅感というか。大きくなって自分が親になって、自分の子どもを連れて行ったりもして。2人旅も楽しんだりしています。東京のような建物はないし、何年経っても同じ景色もある。僕が写真展をやった時にメインビジュアルにした“通天橋”は、僕が小さいころに撮ってもらった写真となにひとつ変わっていなくて。これはすごいことだと思うし、この先もよほどのことがない限り変わらないのではないかな。もともと少ないお店の数も、だんだんと減っていることに寂しさを覚えたりもするけれど、『足るを知る』ことができるのは、この場所ならでは。僕にとっては人間的な、一番大事な感情を思い出させてくれる場所です」。
タイトルの意味も玉木の心を掴んだという。「回収できるのは本当に最後の最後なのですが、それも本当に納得という感じでした。自分自身が大人になるにつれて少しずつ忘れていった甘酸っぱさというか、青春の感じというか。閉鎖された島を舞台にしている物語ということもあるのか、それがよりハッキリとした輪郭を持って出てくる感じは、舞台や設定ならではだと感じました」と感想を語る。自身のルーツであり、ゆかりのある場所だからこそ、思い出とリンクしたり、空気感が蘇る瞬間も多々あったそう。「アフレコの時はまだ画はそこまで出来上がっている状態ではなかったのですが、それでも『あの場所っぽい』『知っている場所かも』などとリンクすることは多かったです」とうれしそうに話してくれた。
