“シリコンバレー史上最悪の詐欺事件”の犯人に密着!A24のドキュメンタリー映画『You Can See Everything』とは?
今年9月に行われた第53回テルライド映画祭で“極秘上映”としてお披露目され、批評家から大絶賛を獲得したA24製作のドキュメンタリー映画『You Can See Everything』が、10月16日より北米公開を迎える。
本作は“シリコンバレー史上最悪の詐欺事件”と呼ばれ、HBOのドキュメンタリー「アウト・フォー・ブラッド/血液検査をめぐる世紀最大の詐欺」やアマンダ・セイフライド主演のミニシリーズ「ドロップアウト 〜シリコンバレーを騙した女」でも描かれた「セラノス事件」を引き起こし、現在服役中のエリザベス・ホームズを題材にした174分の大作ドキュメンタリー。
医療ベンチャー企業「セラノス」を創業したホームズは、少量の血液であらゆる病気が発見できると謳い、投資家たちから巨額の資金を詐取。2015年に告発された後、2018年に詐欺罪で起訴され、2022年に約10年の刑が確定。公判中に2度に渡って妊娠・出産したことで非難を浴びるなど世論の注目を集めた。本作では、彼女が収監されるまでの1か月間の生活の様子が詳らかに記録されている。
メガホンをとったのは、カナダ出身のコメディアンで、これまで4度エミー賞にノミネートされた経験があるネイサン・フィールダーと、現在北米でスマッシュヒットを記録しているロバート・パティンソン主演のA24映画『プライムタイム』(2027年1月22日日本公開)のランス・オッペンハイム。
先日行われたニューヨーク映画祭での上映後、ティーチインに登壇したフィールダー&オッペンハイム監督は、ホームズの悪評が世の中を駆け巡っていた2023年初頭に、彼女自身が自らの生活を記録してくれる人を探してA24に連絡を取ったことからこのプロジェクトが始まったと説明。好奇心から監督を引き受け、どのような作品になるのか見通しが立たないまま撮影に入ったことを振り返る。
撮影中にも無実を主張しつづけていたホームズについてフィールダーは、「彼女は時々とても誠実そうに見えるけど、すぐに『彼女は嘘つきだ』と思う。非常に奇妙な体験を味わいました」と明かし、「この映画を観てみなさんがどう思うのか、そして事件についてどう捉えるのか非常に興味があります。きっとそれは、私自身の理解にも役立つはずです」と、あくまでも中立的な立場からホームズという人物を見つめたことをアピールした。
批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家からの好意的評価の割合は100%と、公開前でレビュー数がまだ多くないながらも絶賛評一色。第99回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞の有力候補との呼び声も高く、日本での公開情報にも注目しておきたい。
文/久保田 和馬
