『mentor』で共演した磯村勇斗×末澤誠也×綾野剛が明かす、熱気と刺激に満ちた撮影現場「散りばめられた吉田恵輔監督の色を水しぶきのように浴びる映画」
「Aぇ! groupとして仕事をしている時も思ったことは口に出すので、嘘偽りのない、拓海の真っ直ぐなところは共感できた」(末澤)
――吉田監督ならではの変わった、おもしろい演出も現場ではあったようですが、具体的なエピソードを教えてください。
磯村「拓海と埜本が一緒にいるシーンは結構多いのですが、龍之介と埜本のシーンは意外とピンポイントしかなくて。なのに、その僅かなシーンで2人の距離感や言葉の温かみみたいなものを感じ合わなければいけなかったので、埜本の隣に座っている居酒屋の場面は居心地が悪いな~と思いながらスタートしました。でも、“メンター”のように話す埜本の言葉に吸い取られるようにその違和感がなくなる芝居を作っていかなければいけなかったので、あそこは現場もすごく緊張感があって。吉田監督もご自身のバックボーンと繋がるシーンだからすごくこだわっていたし、とても濃い特別な時間が流れていたような気がします」
末澤「僕は(プチパニックになった拓海が車道と歩道を仕切る)ポールにしがみつくお芝居を監督がその場で思いつかれて、実演して見せてくれたのが印象に残っています。そのうえで『猿みたいな感じで!このポールがないと拓海はもう立っていられないみたいな、それぐらいの感じでやってみて』と言われました。(3人で訪れる)フィールドアーチェリーのあとの自動販売機の前のシーンでも『埜本が去ったあとに、そこでちょっと自転(1回転)してみて』という指示があったし、その場その場のそうした演出が拓海のキャラクターをより際立たせてくれたような気がします。どれも、拓海ならやるかもしれないなと思いましたから」
綾野「僕からは『このシーンはどんな想いで書かれましたか?』と監督に必ず聞くようにしていました。それは監督が脚本も書いているからこそできる質問ですし、その答えがそのシーンに必要な容量を満たす内容であることが圧倒的に多い作品でした。例えば、いま末澤くんが話した拓海がポールにしがみつくくだりも、埜本は駄々をこねる拓海のことを面倒臭がらないですよね。あそこも監督に事前に確認して、諦めない人という状態で拓海に接するようにしたんです」
――みなさんが演じられた龍之介、拓海、埜本の3人は綺麗事だけではない、人間のエグみを凝縮したようなキャラクターでしたが、共感されたり、気づきを得るようなところもありましたか?
磯村「龍之介はわりと自分の感情をあまり見せない、相手にぶつけない男ですが、自分も嫌なことやムカつくことがあっても内に溜め込んでしまうところがありますからね。そのあたりの龍之介の気持ちはわかってあげたいと思いながら“最初は”演じていました」
末澤「拓海は幼少期の事件から時間が止まって、そのまま成長してしまったからちょっと幼いところがあるんですけど、僕も感情がわりと顔や態度に出るからたぶん子どもっぽいんでしょうね。Aぇ! groupのメンバーとして仕事をしている時も思ったことは口に出すので、嘘偽りのない、拓海の真っ直ぐなところは共感できました」
綾野「末澤くん自身は顔に出ているという感覚があるのかもしれないけれど、全然わからなかった」
磯村「でも、出ちゃうんだ?」
末澤「出ちゃう時もありますね」
綾野「そこも含めて素敵なんでしょうね。2人ともとても人間力があって素敵だなと思いましたから」
――そんな綾野さんはいかがですか?埜本に共感するところはありました?
綾野「基本的にはないですね。ただ僕は埜本のことを世界でいちばん理解する勇気を持たなきゃいけない。どちらかと言うと、彼がこの作品のなかでどう心を静めていくのか、彼が抱えている限りなく鎮魂に近い気持ちを想像していく作業のほうが大事です。埜本がしようとしているあらゆる行いを肯定し続けて、全力で本人が生きたいように生きさせてあげたい。共感という自分の感情で埜本の動きをストップさせてはいけない。それはどの役に対しても思っていることですね」
磯村勇斗:ジャケット¥85,800、パンツ¥63,800、ネクタイ¥19,800(以上シュウマン)、その他スタイリスト私物
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末澤誠也:Tシャツ¥55,990(SPiKe 下北沢)、その他スタイリスト私物
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