スピルバーグが『激突!』で叶わなかった列車衝突シーンを半世紀越しに実現!『ディスクロージャー・デイ』本編映像
巨匠スティーヴン・スピルバーグの監督最新作『ディスクロージャー・デイ』がいよいよ10月1日に日本公開を迎えた。このたび、スピルバーグが50年以上の時を経て“やりたかったこと”が詰まった衝撃のシーンを捉えた本編映像が解禁された。
『E.T.』(82)や『A.I.』(01)では監督、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85)では製作総指揮など、50年以上にわたり名作の数々を生みだしてきたスピルバーグ。そんな数々の金字塔を打ち立て続けてきたスピルバーグと、盟友デヴィッド・コープが本作で再びタッグを組む。主演を『クワイエット・プレイス』(18)や『オッペンハイマー』(24)のエミリー・ブラントと『チャレンジャーズ』(24)のジョシュ・オコナーが務め、『英国王のスピーチ』(11)でアカデミー賞主演男優賞に輝いたオスカー俳優コリン・ファース、『バッド・シスターズ』(22)のイヴ・ヒューソン、『シンシン/SING SING』(25)のコールマン・ドミンゴらが脇を固める。
これまで数々の名作を世に送りだしてきた巨匠ならではの映画的な仕掛けが随所に盛り込まれた『ディスクロージャー・デイ』。おそらく長年のスピルバーグ作品ファンなら思わずニヤリとしてしまうような、過去作へのオマージュも散りばめられている。
映像では、踏切で停車し、車内で向かい合うマーガレット(ブラント)とダニエル(オコナー)の背後から、「ワーデックス」の現場エージェントであるボイド(ヘンリー・ロイド=ヒューズ)が乗る車が激突。車を後方から押し込まれ、目の前には猛スピードで迫る列車が。ボイドが勢いをつけようと一度バックした隙を狙うと、ダニエルが「いまだ、出ろ!」とマーガレットに呼びかけ、ドアを開けて脱出を試みる。しかし間に合わず、車は列車に激突してしまう。そのまま列車に引きずられていくという、息をのむ衝撃の瞬間が映しだされている。
スピルバーグにとって“列車”は、映画を撮り始めた少年時代から続く特別なモチーフ。半自伝的作品『フェイブルマンズ』(22)でも描かれているように、少年時代のスピルバーグは、オモチャの列車同士を衝突させ、その様子をスーパー8ミリカメラで撮影していた。そんな映画少年の原体験から半世紀以上の時を経て、『ディスクロージャー・デイ』では、さらに自身のキャリアを象徴する作品『激突!』(71)へとつながる驚きのアイデアが実現する。
1971年の『激突!』でスピルバーグは、謎のタンクローリーに追われる主人公デヴィッド・マンの車を、走行中の貨物列車へと追い込んでいくというアイデアを構想していた。しかし、実際の作品では列車が通過するだけで、デヴィッドの車が列車に衝突することはなかった。それから50年以上経ち、スピルバーグは『ディスクロージャー・デイ』で、当時思い描いていた“幻の列車衝突”をついに実現させた。本人も「『激突!』では列車が通過してデヴィッドの車は衝突しなかったが、『ディスクロージャー・デイ』では私が本当にやりたかったことができた」と語っている。
本作の脚本を読んだファースも、スピルバーグ作品のファンだからこそ、そのストーリーに強く惹かれたという。「『未知との遭遇』だけでなく、『ブリッジ・オブ・スパイ』『ミュンヘン』『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』など、多くの作品のDNAを受け継いでいる」と語り、本作には「多くの異なるスピルバーグ作品の要素が組み込まれている」と、その魅力を明かす。実際に劇中には、幼少期のマーガレットが光に包まれた謎めいた家へと入っていく、どこか『未知との遭遇』(77)を彷彿とさせる印象的なシーンも登場する。
自身の映画史へのオマージュを随所に忍ばせながら、50年以上前に生まれたアイデアまで最新作で実現させたスピルバーグ。過去作を知る映画ファンほど、その一瞬に込められた“映画愛”を感じずにはいられない、渾身のアクションシーンに注目だ。
文/山崎伸子
