新たな視点を発見!「トイ・ストーリー」をおもちゃ開発者や映画のプロ、生粋のシリーズファンが語りまくる“超濃密座談会”

新たな視点を発見!「トイ・ストーリー」をおもちゃ開発者や映画のプロ、生粋のシリーズファンが語りまくる“超濃密座談会”

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「一番大事なのは、お互いの“好き”を表明し合える相手との出会いなんだって気付かされる」(伊藤)

――『5』で特に魅力を感じた部分について教えてください。

ジェシーの秘密が明かされる…!(『トイ・ストーリー5』より)
ジェシーの秘密が明かされる…!(『トイ・ストーリー5』より)[c]2026 Disney/Pixar

伊藤「人間の子どもたちの成長と、ジェシーの悲しみからの解放が同時に描かれる“愛の話”になっていることです。『2』で大好きだった持ち主、エミリーとお別れすることになったジェシーの過去がチラッと描かれて、それが『5』で明確になる。ジェシーはずっとこの思いを抱えていたと考えると、脚本のアンドリュー・スタントンがずっと彼女のことを気にかけてくれていたことがうれしくて」

高橋「詳しくは言えないですが…『5』で描かれるエミリーとジェシーの関係に触れるシーンはもちろん泣いてしまったんですけど、“おもちゃ=親”っていう僕の見方でいえば、あのシーンってジェシーの“娘”であるエミリーが“孫”を連れてきてくれたシーンなんですよね。それでジェシーの心が満たされて、いまの“娘”であるボニーが友達とつながっていくことをそっとサポートしてくれる」

伊藤「コロナ禍に子育てをしながら、子どもが不安に感じることとか児童心理学を勉強したんです。だから『5』を観た時に、ここまでシリーズのよさを残したまま、また新たな人間心理に落とし込むことができるんだって驚かされたんです。例えばボニーが人形で遊んでたら『まだこんなので遊んでるの?』って友達に言われて、恥ずかしくなって手放す。だから親は友達作りになるかもと思ってデバイスを渡したりして。でもそれで友達たちと仲良くなれるのかといえば、そんなことはない。一番大事なのは、自分が好きなものを一緒に楽しんでくれたり、お互いの“好き”を表明し合える相手との出会いなんだって気付かされる」

高橋「難しいけど、これは真理ですよね。僕も子どものころはボニーと同じように内気な子どもだったので、どうしても人に合わせようとしちゃう。自分の好きを言えるほうがいいけど、子どもにとっては初めての社会だからめちゃくちゃ難しい」

久保田「こういう社会の見え方とか形成のしかたって、やっぱり女の子と男の子では違うものなんですかね?」

『トイ・ストーリー5』が10月2日よりデジタル配信(購入)スタート!
『トイ・ストーリー5』が10月2日よりデジタル配信(購入)スタート![c]2026 Disney/Pixar

伊藤「たしかに、違いはあるかも。うちの娘を見ていて思うのは、やっぱり女の子って早熟だから、お友達との会話のなかでもどんどん流行りを取り入れ、大人びてくる子がいて、逆にそうでない子もいる。個々の差が生まれた時に、どうやって会話するのかってなると、やっぱり相手の顔色を見ちゃう」

久保田「僕自身が周りに合わせられない子どもだったので、結構その辺りはイメージしづらい部分があって」

伊藤「私の子どものころも、公園で遊んだりする時にはやっぱり会話が重要だった。でも子どもの世代になるとゲームが出てきて、不思議なことに、それがないと公園でも遊びづらかったりする。はたしてゲームがあることでちゃんとお互いの心の交流ができるのかなって疑問は抱いてた」

久保田「今回の映画でも、暗い部屋で集まってゲームしている子どもたちが描かれていましたしね」

高橋晋平は、これまで200点以上のおもちゃやゲーム開発に関わるおもちゃクリエイター
高橋晋平は、これまで200点以上のおもちゃやゲーム開発に関わるおもちゃクリエイター

高橋「いろんな世代、いろんな遊びの環境を通ってきた人にしっかり刺さる物語になっているのはおもしろいところですよね。僕が子どものころなんかは、初代のゲームボーイが出てきて、それを持っている子がヒーローみたいになると、そこから人間関係が難しくなってきた。不器用な自分からしたら、仲間に入れなくて悩んでいた時に、家に帰っておもちゃに触れる時間が心の拠り所になっていたんです。おもちゃと言っても、父親のパソコンでプログラミングをやっていたんですけど。誰にも邪魔されないし、馬鹿にもされない。その時の感情がこの映画を観たら全部よみがえってきたんです。きっと一人一人違う人生を歩んでいるから、みんなそれぞれ感じる部分も違うんだろうな」

伊藤「私も小学生の時は人間関係に悩んでいたから、ボニーの気持ちがちょっとだけわかる。私の場合はランドセルの中にスパンク(「おはよう!スパンク」)というキャラクターのぬいぐるみを忍ばせていて、学校に行く勇気をもらってた。みんなに見られるとカッコ悪いと言われるから、こっそりとね。ボニーは保育園時代はフォーキーが心の友でいつも一緒に居たけど、小学校に上がって、フォーキーの時みたいに伸び伸びすることができなくなっちゃってる。でも今回同じような感性を持つブレイズと出会うことで、『こんな私でもいいんだよ』っていう自己肯定に変わっていく。そう思ったら、あらためて本当に深い話だなって」

「年齢によって見え方が変わってくる映画」(高橋)

――デジタル配信(購入)が始まると、家で何度も繰り返し楽しめるようになります。注目してほしいポイントはありますか?

ボニーの笑顔を取り戻すために奮闘するジェシーたち(『トイ・ストーリー5』より)
ボニーの笑顔を取り戻すために奮闘するジェシーたち(『トイ・ストーリー5』より)[c]2026 Disney/Pixar

高橋「やっぱりピクサーの技術力の高さが活かされたアニメ描写ですよね。ボニーのイマジネーションのなかで描かれる、フォーキーの結婚式の絵が可愛らしくなってて、『また新しいことやってきた!』って興奮しましたし(笑)。でも作品のロゴは1995年のままで、テーマや時代も変わっても、変わらないものがあるんだと感心します」

久保田「『1』の時はいじめっ子のシドが飼っていた犬がポリゴン状態だったのに、作品を重ねるごとにどんどん動物の描写がリアルになっていて、今回は馬の走るシーンがすごく爽快感がある。そういうところにピクサーの進化がはっきり見えてきますよね」

伊藤「家で観るといえば、子どもって自分のぬいぐるみや人形を抱えて一緒に観るんですよね。『4』の時に自分で作ったフォーキーも大事にしていたし、やっぱり『トイ・ストーリー』っておもちゃの大切さを気付かせてくれる映画なんだって実感する作品だと思うんです。あと家族で話し合いながら観られもしますよね」

ボニーの手作りおもちゃ、フォーキーを巡った騒動とウッディの旅立ちが描かれる『トイ・ストーリー4』
ボニーの手作りおもちゃ、フォーキーを巡った騒動とウッディの旅立ちが描かれる『トイ・ストーリー4』『トイ・ストーリー:4ムービー・コレクション』  発売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン 発売・販売元:ハピネット・メディア・マーケティング [c]2026 Disney/Pixar

久保田「わかります。それに、映画のなかで生きて動いているおもちゃたちを見たら、きっと自分の大事にしているぬいぐるみとかおもちゃが、実際には動いていなくてもその時々の表情の違いを想像できるようになると思うんです。そうしたら、人との関わり方にもつながってくるのかなって」

高橋「きっと年齢によって見え方が変わってくる映画なんですよね。僕も独身のころと、子どもが生まれてからじゃまったく違う見え方をしているし、子どもは年々すごい早さで成長していく。たぶん観るたびに感じ方が変わっているだろうし、観終わったら目の前の世界も違って見えるんだろうなって。だからこそ何度観てもいい作品ですし、いまだに次観たらきっと違うことを思うんだろうなと考えてしまいます」


伊藤「世代も性別も関係なく、いろんな視点で会話ができる作品だから愛される。まさにいま、私たちがその証明になっているような気がします。ベースは子ども向けかもしれないけど、それだけじゃない。それが『トイ・ストーリー』のすごいところです」

取材・文/編集部

【作品情報】
■『トイ・ストーリー5』
デジタル配信中(購入)
ウォルト・ディズニー・ジャパン

■『トイ・ストーリー5 4K UHD + ブルーレイ セット』 
12月23日発売 (4K UHD + ブルーレイ セット&DVDも同時発売)

■『トイ・ストーリー:4ムービー・コレクション』 
好評発売中
発売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン
発売・販売元:ハピネット・メディア・マーケティング

※詳細は公式サイト(https://www.disney.co.jp/movie/toy5)をご確認ください。

【参加者プロフィール】
■伊藤さとり
映画評論家・パーソナリティ。年間500本以上の映画を鑑賞し、テレビ番組の解説や映画イベントのMC、連載、YouTubeの対談番組など多方面で活躍する。各種映画賞の審査員を務めるほか、心理カウンセリングの知識を活かした心理テストの作成や著書の執筆など、幅広く映画の魅力を発信している。

■高橋晋平
株式会社ウサギ代表のおもちゃクリエーター。株式会社バンダイに入社後、第1回日本おもちゃ大賞を受賞し、累計335万個を販売した「∞(むげん)プチプチ」をはじめ、これまで200点以上のおもちゃ、ゲーム、エンタメ系コンテンツサービスなどのリリースに携わる。

■久保田和馬
映画ライター。獨協大学法学部卒業後、自主制作とTSUTAYAと映画館勤務を経て執筆活動をスタート。映画全般と国内テレビドラマに明るく、主な研究テーマはアカデミー賞、興行分析、少女マンガ原作映画など。「トイ・ストーリー」シリーズ作品は、100回以上鑑賞している大ファンの顔も持つ。
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