「大量のバズが出てくる『トイ・ストーリー5』に大興奮!」(伊藤)
――みなさんの“推しキャラ”を教えてください。伊藤さんはバズ・ライトイヤーをイメージした格好で来てくれたので、訊くまでもないかもしれませんが…。
伊藤「もちろん私の推しはバズです(笑)!シリーズ全部でバズのチャーミングさを伝えてくれていて、『2』ではバズ・ライトイヤー同士が『どっちが本物か?』ってやるし、『3』ではスペイン語を喋って踊りますからね。だから大量のバズが出てくる『5』はもう冒頭から大興奮。本当にバズファンとして最高でした」
久保田「僕は基本的にみんな好きなんですけど、誰かを選ぶならブルズアイですね。ぬいぐるみの質感もあるし、『2』のクライマックスはブルズアイがいるから成立する。『3』で最初にサニーサイド保育園に行った時に、一人去ろうとするウッディについていこうとするシーンとか、しゃべらないからこそ表現が豊かなのが魅力的です」
高橋「僕はウッディですね。僕はずっと“おもちゃは子どもたちにとってもう一人の親である”っていう見方をしているので、シリーズを追うごとに変化していくウッディの姿にはグッとくるものがある。『トイ・ストーリー』はウッディの物語として観ちゃっています」
伊藤「でもウッディのファンからしたら、『4』は寂しかったんじゃないですか?」
高橋「ちょっと寂しい部分もありましたが、それでもやっぱりピクサーってすごいなと思うことばかりで。『3』までは人に見られている時には動かない。“おもちゃ”であることが徹底されていたけれど、『4』では逆に“人”として描かれている。フォーキーも含めて、みんな魂を持っているということを描いている点は新しいなと感じました」
伊藤「そうだよね。ウッディがボイスボックスが壊れてしまったギャビーギャビーに、自分のボイスボックスをあげちゃうところとかも、“声を手にしたら愛されるに違いない”って思い込んでしまう姿が人間社会の投影のようにも感じて切なくって…」
高橋「おもちゃ開発者としては突き刺さるものがありました」
伊藤「私は娘が2015年に生まれているから、『4』の時がちょうど5歳のボニー世代。一緒に観て、一緒にフォーキーを作って一緒に泣いていたんですけど、娘が初めて見つけた推しキャラがボー・ピープだった。女性の自立とかジェンダーについても考えられているし、デューク・カブーンのトラウマの克服とか、すごく社会的なメッセージも強くなっている。だからすごく評価されたけれど、やっぱりファンからしたら、ずっとバディだったウッディとバズが離れ離れになるという決断は複雑な心境だったのかなと」
久保田「すごく画期的なことをやっている分、それまでの3作にあった“おもちゃと人との関係性”ががらっと変わってしまったと感じました。正直なところ、受け止めるのにかなり時間がかかりましたが…」
伊藤「そういうところも含めて、『5』でどんどん回収してくれている。おもちゃの使命は“子どもに寄り添うこと”で変わっていなかったんだなって」
久保田「そうなんですよね。なので『4』が受け入れきれなかった人こそ『5』を観るのがいいかもしれません」
「おもちゃとの“別れ”ではなく“子離れ”を描いているのが興味深い」(久保田)
――やっと『トイ・ストーリー5』について語ってもらいましょう。
高橋「最初に『5』が作られるって聞いた時には、『なにをやるんだろう?』っていう不安がありました。それは前回も同じで、ひとつ前が完璧だったので、『なにができるのか?』ってことでもあるんですけど。でも観てみたら、『4』までで描かれなかったことをきちんと描けている」
久保田「すごく興味深かったのは、これまでは子どもが飽きてしまったり忘れたり、ほかのおもちゃに興味が移ったことで置き去りにされたおもちゃを描いてきたけれど、今作ではスマーティ・パンツのように、成長と共にどうしたって役目を終えてしまう存在が描かれたことです。高橋さんがおっしゃっていたように“親”としての目線でいえば、“別れ”ではなく“子離れ”ですよね」
高橋「シリーズの最初のころは、ウッディがアンディに対して子離れできていなかった。だから助けるというよりも『自分がそばにいなきゃ』って動いていたけれど、今作のジェシーは、ボニーが友達と仲良くできて幸せな人生を歩んでほしいとサポートに徹する。デジタルデバイスの一連も含めて、こういう角度の見方があったのかと驚かされました」
伊藤「私自身も子どもにデジタルデバイスを持たせる・持たせない問題のなかにいるから、本当に考えさせられるものがあった。だって最初は“デバイスとの戦い”みたいに言われてたのに、実は同じように子どもの幸せを願ってくれてたんだもん!」
高橋「あれは僕も考えさせられましたね。うちの娘たちは中学1年生と小学4年生で、特に上の子はいま“スマホどうするんだ問題”に直面しているんです。親としては『大丈夫かな?』『動画ばっか観たりしないかな?』って不安になるんですけど、でも結局はスマホがどうこうではなく、それで『幸せになってほしい』ってことに尽きるんですよね」
久保田「僕なんかは小中学生のころから携帯電話が身近にあった世代だから、もしかするとお二人よりもデジタルデバイスに対する抵抗は薄いかもしれません。でも、うちの子どもが中学生になるころにはもっと進化していて、いま以上にスマホがないと生きていけないレベルになっていたとしたら、同じように悩むだろうな」
■『トイ・ストーリー5』
デジタル配信中(購入)
ウォルト・ディズニー・ジャパン
■『トイ・ストーリー5 4K UHD + ブルーレイ セット』
12月23日発売 (4K UHD + ブルーレイ セット&DVDも同時発売)
■『トイ・ストーリー:4ムービー・コレクション』
好評発売中
発売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン
発売・販売元:ハピネット・メディア・マーケティング
※詳細は公式サイト(https://www.disney.co.jp/movie/toy5)をご確認ください。
【参加者プロフィール】
■伊藤さとり
映画評論家・パーソナリティ。年間500本以上の映画を鑑賞し、テレビ番組の解説や映画イベントのMC、連載、YouTubeの対談番組など多方面で活躍する。各種映画賞の審査員を務めるほか、心理カウンセリングの知識を活かした心理テストの作成や著書の執筆など、幅広く映画の魅力を発信している。
■高橋晋平
株式会社ウサギ代表のおもちゃクリエーター。株式会社バンダイに入社後、第1回日本おもちゃ大賞を受賞し、累計335万個を販売した「∞(むげん)プチプチ」をはじめ、これまで200点以上のおもちゃ、ゲーム、エンタメ系コンテンツサービスなどのリリースに携わる。
■久保田和馬
映画ライター。獨協大学法学部卒業後、自主制作とTSUTAYAと映画館勤務を経て執筆活動をスタート。映画全般と国内テレビドラマに明るく、主な研究テーマはアカデミー賞、興行分析、少女マンガ原作映画など。「トイ・ストーリー」シリーズ作品は、100回以上鑑賞している大ファンの顔も持つ。
