映画『バックルームズ』創造の源はゲームにあり!?「Portal」「Half-Life」シリーズなどからの影響を探る
1990年の米国カリフォルニア。倒産寸前の家具店を営むクラーク(キウェテル・イジョフォー)は、店内の地下に「異空間への入り口」を発見し、やがて消息を絶ってしまう。彼の行方を追って異次元に迷い込んだカウンセラー、メアリー(レナーテ・レインスヴェ)も巻き込み、未知の恐怖体験が始まる…。A24が手掛けた最新ホラーで、世界中で社会現象を巻き起こしているのがこの映画『バックルームズ』(公開中)だ。
作品の元ネタは、インターネット上のある投稿がきっかけである。2019年、海外の匿名掲示板「4chan」にアップされた、黄色い空っぽの部屋を移した1枚の写真。その不気味な空間の画像は人々を魅了し、次々とユーザーが部屋の形状やそこに巣食うモンスター、調査のため派遣された化学防護服を纏った部隊など、様々な世界観を追加。メディア展開もされていった。
そんななか、YouTubeチャンネルで短編動画「The Backrooms(Found Footage)」を発表したのが本作の監督で当時16歳だったケイン・パーソンズである。パーソンズは実写映像とCGを組み合わせることで、バックルームズの世界を“現実に存在しそうな空間”として映像化。動画はシリーズ化され、累計再生回数は2億回以上におよぶ。さらに、A24がその才能に目を付け、長編映画化の企画がスタートしたことから本作へと結実した。
「Portal」「Half-Life」シリーズが創造のベースに
現在、21歳のパーソンズ監督によると、「映画『バックルームズ』へのゲームの影響は大きい」とのこと。例えば、バックルームズ世界における次元の裂け目が「ノークリップ(noclip)」と呼ばれているが、これは本来、ゲーム用語で壁にめり込み本来行けないところに行ってしまう“壁抜け”的なバグ現象を指す。これ以外にも本作は、様々なゲームからの影響が見て取れる。
2007年に第1作がリリースされた「Portal」シリーズ。ワープ空間の入口と出口を作りだすアイテム「ポータルガン」を駆使して、研究施設に監禁された主人公が施設内に設置された仕掛けを解きながら出口を目指すシューティングパズルゲームで、本作の次元の裂け目を通るシーンの参考になったと考えられる。
また、パーソンズ監督は1998年に発売されシリーズ化された、一人称視点シューティング(FPS)ゲーム「Half-Life」のファンであることも公言。ゲームを遊びながら3DモデリングやVFXの技術を学んだほか、ゲーム内でドアが軋んで開く際のサウンドエフェクトが短編動画にも隠し要素的に使用されているという。「Garry's Mod」のような仮想空間でプレイヤーが自由に創造し、冒険も楽しめるサンドボックスゲームにも幼少期から触れてきたそうで、そのことが彼のもの作りへの取り組み方や発想力を養ったと想像できる。その意味では、ブロックを組み合わせることで建物や街を1から作りだせる「マインクラフト」の影響下にもあるといえるだろう。
