笠井信輔アナが見出した、リドリー・スコット最新作『ラスト・サバイバー』に見え隠れする『風の谷のナウシカ』

コラム

笠井信輔アナが見出した、リドリー・スコット最新作『ラスト・サバイバー』に見え隠れする『風の谷のナウシカ』

巨匠リドリー・スコットが「史上最高のディストピア小説」の一つとも称されるピーター・ヘラーのベストセラー小説を映画化した『ラスト・サバイバー』(公開中)。謎のパンデミックで人口の90%が死滅し、荒廃した世界を舞台に、愛犬と亡き妻の記憶をより所に生き延びていた一人の男が、無線に届いた謎の声に導かれ、まだ残されているかもしれない希望を求めて、未知の空へと飛び立つ姿を描き出す。本稿では、無類の映画ファンで知られるフリーアナウンサーの笠井信輔による、『ラスト・サバイバー』のレビューをネタバレなしでお届け。スコット監督ファンを公言する笠井はどう観たのか?

荒廃した都市の上空から大自然の山々まで、セスナ機が飛び回る映像が印象に残る
荒廃した都市の上空から大自然の山々まで、セスナ機が飛び回る映像が印象に残る[c]2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

リドリー・スコット節の激しいSFアクションムービー!と思いきや…

リドリー・スコット監督がSF映画に帰ってくる!
80歳を超えてもなお映画を撮り続けてきた監督は近年、『ナポレオン』(23)、『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』(24)といった歴史劇や、『ハウス・オブ・グッチ』(21)のように実話を題材にして、過去に目を向けた作品を作り続けていた。
SF映画というジャンルに絞れば、2017年の『エイリアン:コヴェナント』以来9年ぶりなのだ。高校1年で『エイリアン』(79)に衝撃を受け、“リドリー・スコットSF群”にハマった身としては、こんなにうれしいことはない。
しかも今回の舞台は荒廃した未来のディストピア世界。そうなると『ブレードランナー』(82)テイストか!となる。

さらに予告を観れば、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(15)のウォー・ボーイズを思わせる、スキンヘッドで上半身裸、タトゥーだらけの男たちが群れのように襲ってくるではないか!
それを暗視カメラの映像で捉えていくバトルシーンなどは、もうまさに『エイリアン』を人間に置き換えた殺戮アクション。
「スコットじいちゃん、まだまだやるじゃん!」なのだ。
実際スコット監督の腕は衰えておらず、激しい戦いのシーンは迫力満点であった。タイトルも『ラスト・サバイバー』となれば、ファンでなくてもある種のイメージを持って作品と向き合うことになる。


 『ラスト・サバイバー』は公開中!
『ラスト・サバイバー』は公開中![c]2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

しかし、映画を観始めてすぐに私はその考えを修正した。
なぜならば、日本最速IMAX試写会の冒頭で出てきた英語の原題は『THE LAST SURVIVOR』(最後の生き残り)ではなく、『THE DOG STARS』(犬の星座)だったからだ。
これは、2012年に発表された、本作の原作であるピーター・ヘラーのディストピア小説のタイトルを、そのまま使用しているからである。
かなりポエティックなタイトルなので、最初は違和感があった。だが、結果として、これは本作を象徴するタイトルであることがわかる。
スコット監督は、さすがに御年88歳。これだけのキャリアを重ねて、激しいSFアクションムービーだけを制作するつもりはないのだ。

 ソリッドな戦闘シーンはド迫力!
ソリッドな戦闘シーンはド迫力![c]2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.
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