國村隼が『ブラック・レイン』の記憶と共に語る、リドリー・スコット監督作『ラスト・サバイバー』の真価「人間の本質を見つめている」
終末世界を生き抜く人々の奮闘を描いたリドリー・スコット監督最新作『ラスト・サバイバー』(公開中)。パンデミック後のディストピアを舞台にした本作は、『オデッセイ』(15)以来の本格サバイバル作品だ。スコット監督の初期代表作のひとつ『ブラック・レイン』(89)に出演し、映画における役者の役割を学んだという國村隼がひと足早く本作を鑑賞。その魅力や作品に息づくリドリー・スコットらしさを語った。
謎のパンデミックで人類の90%が死滅した世界。パイロットのヒッグ(ジェイコブ・エロルディ)と元軍人のバングリー(ジョシュ・ブローリン)は、わずかな生存者たちが食料を奪い合う過酷な世界を生き抜いていた。そんなある日、ヒッグは無線機で謎の声をキャッチ。声の主を求め、ひとり小型飛行機で飛び立つが…。
「なんでもないシーンにも思わず涙が出そうになるのをこらえました」
物語の舞台は文明が崩壊したごく近い未来。街中には朽ちたビルが立ち並び、周辺地域は自然に覆われている。「極限状況を描いたSFの映画なんですけど、実際にパンデミックを経験している僕らにとっていまに繋がる物語だなと感じました」と振り返る國村は、主人公の乗る小型飛行機から無人の世界を見下ろすオープニングから映画に魅了されたという。
「小型飛行機がフライトしているシーンから魅力的でした。浮揚感あふれる映像と流れる音楽が心地よく、引き込まれていきました。リドリー・スコット監督と聞くと、『ブレードランナー』や『エイリアン』の作り込んだビジュアルが浮かんできますが、今回は廃墟になった都市以外はリアルな自然の中で描かれています。どの描写も美しく、なんでもないシーンにも思わず涙が出そうになるのをこらえました。自然を題材にしてもこれだけ独自の世界が作れるんだと、改めてリドリーさんのすごさを実感しましたね」。
そんな世界で繰り広げられるのが、それぞれのやり方で生き抜こうとする人々のドラマ。「極限の状況に置かれた時に人はどう行動するのか。人から奪うことでしかサバイブできない者たち、反対に最後まで他者を信じる主人公、そして他人を信用せず自分の力だけでサバイバルする人々。彼らを通し、人間の弱さや優しさ、強さが次々と展開していくんです」と、國村は振り返る。
詩情漂う本作だが、スコット監督作だけにアクションやサスペンスなどエンタテインメントとしての見せ場もしっかり盛り込まれている。「観る側の心理をわかっているから、観客を楽しませる要素がしっかりある。絶体絶命のピンチを間一髪ですり抜けるなど、映画のウソの付き方もうまいんです。ただ過激にしないバランスもすばらしく、まさに大人が楽しめる上質な作品です」。

