『シェルター』でもやっぱり…ジェイソン・ステイサムの失敗から学ぶ、穏やかなセカンドライフの秘訣
人殺しダメ!ゼッタイ!復讐はほどほどに…
今年の正月に日本公開された『ワーキングマン』(25)など、最近もご多分に漏れず、一般人になった元特殊部隊員の大暴れを体現しているステイサム。『ワーキングマン』でもタッグを組んだデヴィッド・エアー監督作『ビーキーパー』(24)もまた、元特殊工作員の男が、平穏な暮らしを捨てて恩人の復讐に立ち上がる、“ステイサム印”なアクションだ。
今作で演じるのは、社会を守るため独自に有害な要素を排除する極秘プログラム「ビーキーパー」の元工作員で、現在は養蜂家として暮らすアダム・クレイ。納屋を貸してくれた親切な隣人を死に追いやった特殊詐欺グループを撲滅すべく、詐欺を行うコールセンターをビルごと爆破し、関係者を血祭りに上げるなど「やりすぎでは…」と引いてしまうほどの暴力の限りを尽くしていく。
堅気の人間ではないと証明しているかのような殺しっぷりに加え、過去を匂わせた職業のせいですぐに正体がバレてしまい、逆に現役“ビーキーパー”を仕向けられてしまうアダム。恩人のためとはいえ、お仕置きはほどほどにしておこう。
いいことがあっても、油断は厳禁!
そして今回の『シェルター』でももちろん、“隠居失敗”というステイサムのお家芸が描かれる。スコットランド沖の孤島にそびえ立つ灯台で1匹の愛犬と共に外界と隔絶した隠遁生活を送るマイケル・メイソン。ある日、伯父と共に物資を届けてくれる少女ジェシー(ボディ・レイ・ブレスナック)のボートが嵐で沈んでしまい、なんとかジェシーを救出。そこから孤独な2人の共同生活がスタートする…という、“少女×ステイサム”のほっこりな交流を交えたアクションだ。
イギリス政府の元諜報員だった過去を持ち、当時のMI6長官マナフォート(ビル・ナイ)の命令に背いた因縁によって“抹殺リスト”なる物騒なものに登録されていたマイケルは、諜報員時代のスキルや人脈などを駆使し、ジェシーを守りながらマナフォートが放つ追手と対峙していく。
もしもの時のために住処にブービートラップを張り巡らすなど、用意周到で抜け目ないマイケルだが、ジェシーのための薬を調達しに本土へ足を運んだ際、ふと見かけた子ども服屋の店先でカメラに映り込み存在がバレてしまう。徐々に心が通い始めたジェシーとの関係がうれしいのはわかるが、どんな時でも油断大敵だ。
なかなか幸せなセカンドライフを送れないステイサムだが、その悲願が叶ってしまえば、すなわち映画の見どころがない(?)ということ。身を削りながら観客を楽しませてくれるステイサムの活躍を、最新作『シェルター』でも堪能してほしい。
文/武藤龍太郎
