『シェルター』でもやっぱり…ジェイソン・ステイサムの失敗から学ぶ、穏やかなセカンドライフの秘訣
屈強な肉体を持つ現役最強のアクション俳優の一人、ジェイソン・ステイサム。どんな強敵をもねじ伏せてきたこの男だが、これまでの作品でなかなか叶えられないことがある――それは“引退後の静かな生活”だ。数々の作品で穏やかな第2の人生を送ろうとしたものの、結局はトラブルを巻き起こしてきたステイサム。8月28日より公開された『シェルター』も、身を隠したはずが、政府に命をねらわれるハメに…という“ステイサム隠居失敗ムービー”の系譜の1作。どうすれば隠居は成功するのか?ここではステイサムが身をもって体現してきた失敗から、教訓を学んでいきたい!
静かに暮らしたいなら、刺激的な場所は避けるべし!
まずはセカンドライフのお手本として最も参考にしたくない1作『WILD CARD ワイルドカード』(15)から見ていこう。ステイサムが演じたのは、元特殊部隊の兵士ニック・ワイルド。引退後、ラスベガスで用心棒として細々と暮らしていた元エリート兵だが、暴行を受けた元恋人の復讐に加担したことからマフィアのボスの怒りを買ってしまう。
ニックは酒場でカップルに絡むような情けないアル中男。そのうえギャンブル狂でもあり、50万ドルもの大金を手にしても「これでは一生暮らしていけない」と一世一代の勝負に。結局負けるまで賭け続けてしまう完全なる依存症。そのくせ正義感は強く、自ら危険に巻き込まれていく破滅的な性格の持ち主だ。
護衛を依頼してきた若き富豪との出会いを通じ、少しずつ自分の問題と向き合っていくニックだが、そもそも静かに暮らしたいのなら、ラスベガスのような欲望や危険と隣り合わせの場所は御法度。だがそこはステイサム、無意識に危険に引き寄せられてしまうのだろう。
過去の問題はあらかじめ精算しておけ!
数々の作品のなかでも最も落ちぶれた姿を堪能できるのが、2013年の『ハミングバード』。本作で演じるジョゼフ・スミスは、アフガニスタンの任務中に仲間を殺された報復として民間人を殺した過去から逃れる世捨て人。ある時、ホームレス仲間の少女イザベル(ビクトリア・ビューイック)がギャングに誘拐されたことを機に、復讐の鬼と化していく。
軍法会議から逃亡し、妻子からも離れてロンドンで酒とドラッグに溺れる惨めな路上生活を送っていたジョゼフは、ホームレス狩りから逃げ込んだ高級アパートが夏の間、住民不在であることを知り、人生を立て直そうと一念発起。中華料理屋で真面目に働いていたのも束の間、荒くれ者を追い払ったことで目立ってしまい、裏社会に足を踏み入れてしまう。
炊き出しをする修道女とのひと時のロマンスなど幸せを掴むチャンスはあるものの、あれよあれよと暴力の世界に引き戻されてしまうジョセフ。過去の罪としっかりと向き合わないことには、穏やかなセカンドライフなど夢のまた夢だ。
過去を捨てたいなら、人間関係も切り捨てろ!
また過去の関係によって、裏社会に引っ張り出されるという点では、『キラー・エリート』(11)も忘れてはいけない1作。仕事中に嫌気が差し、殺し屋稼業から足を洗った主人公が、かつての師匠が誘拐されたことをきっかけに、元SAS(特殊部隊)の兵士たちと戦うことになるという実話ベースの作品だ。
仕事を辞め、悠々自適な農場暮らしを送っていたダニー。しかし、人質となった恩師ハンター(ロバート・デ・ニーロ)が失敗した仕事の尻拭いをするため、恋人との日々を手放すことに。現在を取るなら、過去の仕事の人間との縁は、心を鬼にして切っておくべきなのかもしれない。
ご近所トラブルには、拳に頼らす温厚に対応!
盟友シルヴェスター・スタローンが自身のために書いた脚本の主演を託された1作が『バトルフロント』(13)。亡き妻の故郷である田舎町に娘と共に引っ越してきた元麻薬捜査官フィルが、町を牛耳る麻薬売人ゲイター(ジェームズ・フランコ)に目をつけられ、愛する娘を守るため決着をつけるという、ステイサム映画にしては渋めの作品だ。
騒動のきっかけは、学校でいじめっ子ボーイに絡まれた娘のマディ(イザベラ・ヴィドヴィッチ)が、親父直伝の護身術で撃退しただけ。このことで学校から呼びだされたフィルが、いじめっ子のモンスターペアレントに絡まれた際に、その父親を制してしまったことがスイッチとなり、家が悪党たちに襲撃され、しまいには娘が誘拐され…と、どんどんと事態がエスカレートしていく。
噂がすぐ広がる小さい町ではなるべく波風を立てずに過ごすのがベター。いくら相手が悪かろうと、ステイサムみたいな物騒な強面が子どもの喧嘩に介入するなんてもってのほかだ。
