韓国ホラー映画が絶好調!日本公開作から富川国際ファンタスティック映画祭で目撃した最新ホラーまで

韓国ホラー映画が絶好調!日本公開作から富川国際ファンタスティック映画祭で目撃した最新ホラーまで

韓国のホラー映画が絶好調だ。本国で今年4月に封切られた、呪われた貯水池を舞台にした低予算のフォーク・ホラー『Salmokji: Whispering Water(英題)』が動員324万人を記録。第79回カンヌ国際映画祭でお披露目となった、ヨン・サンホ監督の最新ゾンビアクション大作『群体(原題)』(英題:Colony)も594万人を動員する大ヒット。ギレルモ・デル・トロ製作のスペインのホラー映画『ロスト・アイズ』(10)をリメイクした、シン・ミナが一人二役を演じた『THE EYES(英題)』も動員151万人を突破した。そしてカンヌのコンペティション部門で上映され、韓国で7月15日に封切られたナ・ホンジン監督のSFアクション・ホラー大作『HOPE(英題)』も、現時点で動員341万人を超えるヒットを記録している。

この夏、日本で劇場公開予定の韓国ホラー映画に注目!

【写真を見る】『オクス駅お化け』(22)に続く地下鉄ホラーとして注目を集める『怪速急行■■行き』
【写真を見る】『オクス駅お化け』(22)に続く地下鉄ホラーとして注目を集める『怪速急行■■行き』[c] 2025 [MAP&NETRIN]. All Rights Reserved.

日本でも今夏、「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」や『プリティ・クレイジー 悪魔が引っ越してきた』(上映中)のチュ・ヒョニョンが主演を務めた『怪速急行■■行き』が、7月31日に封切りになった。再生回数の伸びに悩むホラー系YouTuberが、行方不明者が多発していると噂の地下鉄駅で取材を開始。次第に怪現象に巻き込まれていく...という、本国でスマッシュヒットを記録したキム・ボラ主演『オクス駅お化け』(22)に次ぐ、地下鉄駅ホラー。2024年の釜山国際映画祭でワールドプレミア上映され、話題を呼んだ作品だ。

公開10周年を迎えた『新感染 ファイナル・エクスプレス』が、4K版でリバイバル上映
公開10周年を迎えた『新感染 ファイナル・エクスプレス』が、4K版でリバイバル上映[c] 2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights Reserved.

8月21日にはヨン・サンホ監督、コン・ユ、マ・ドンソク主演の『新 感染 ファイナル・エクスプレス』4K版が公開される。公開から10周年を迎えた同作は、高速鉄道KTXを舞台にしたスピード感あふれるスリリングでエモーショナルなゾンビ大作だ。第69回カンヌ国際映画祭のミッドナイト部門でお披露目となった後、韓国では1156万人を動員するメガヒットとなった。この4K版は、アメリカでも8月14日に500館以上で封切られる(ヨン・サンホ監督の『COLONY』も8月28日に北米公開だ)。

富川国際ファンタスティック映画祭でお披露目!日本公開が待ち遠しい韓国ホラー映画

ヨン・サンホ監督の『新感染 ファイナル・エクスプレス』(16)、『新感染半島 ファイナル・ステージ』(20)、『顔 -かお-』(8月28日公開)、そして『COLONY』の4作品も特別上映された、アジア最大級のジャンル映画祭「富川(プチョン)国際ファンタスティック映画祭」が、今年も7月2日から12日まで富山市で開催され、数多くの韓国ホラーも上映された。30周年という節目を迎えた今年、筆者は初日から7日間にわたって参加し、新作を中心に約30本を鑑賞。そのなかから、特に印象に残った韓国ホラーを紹介したい。

第30回プチョン国際ファンタスティック映画祭のレッドカーペットに登場した『Home A Loan』チーム
第30回プチョン国際ファンタスティック映画祭のレッドカーペットに登場した『Home A Loan』チーム

注目の新作ジャンル映画を集めたガラ・セクション「シグネーチャー部門」でワールドプレミア上映された韓国ホラーが、『Home A Loan(英題)』。韓国を訪れると、どの都市でも高層マンションをはじめとする集合住宅が立ち並ぶ光景を目にする。本作は、再開発の噂を聞きつけ、老朽化した不気味な集合住宅に引っ越してきた母親と子どもたちを襲う恐怖を描く。昨年韓国でヒットを記録したイ・ソンビン主演『層間騒音』(24)とは異なるアプローチを試みた、ダークでサスペンスフルな新たな韓国団地ホラーだ。監督は『霊 リョン』(04)と『ムイ』(07)のキム・テギョン。『真犯人』(19)、『幼い依頼人』(19)のユソンと、『わたしたち』(16)、「医師チャ・ジョンスク」のイ・ソヨンが主演を務める。

リュ・へヨンとナム・ユンスの共演で期待を集める『Killing Time』
リュ・へヨンとナム・ユンスの共演で期待を集める『Killing Time』

「ロースクール」「優しい男の物語」のリュ・へヨンと、『ソウルメイト』(23)、「恋慕」のナム・ユンス、「イカゲーム」キム・スンヒ主演のホラースリラー『Killing Time(英題)』もワールドプレミアに。過激な生配信チャンネル「キリングタイム」を運営する人気YouTuber集団は、配信中に起こったショッキングな事故が原因で番組を中止に追い込まれる。復活を試みるメンバーたちは、廃墟と化した精神科病院でさらに過激な生配信を試みるが...。キャストのケミストリーも抜群な、ツイストもあるスリリングかつソリッドなジャンル映画で、エンターテインメント性も高い。オーストラリアのホラーコメディ『スケア・キャンペーン』(16)にインスパイアされた作品だ。

独創的な設定が魅力のサイコロジカルホラー『FORTE』
独創的な設定が魅力のサイコロジカルホラー『FORTE』[c] 37th degree Co.,Ltd.

昨年、スペインのシッチェス・カタロニア国際映画祭でワールドプレミア上映された『FORTE(英題)』も、富川でアジアプレミア上映された。静かな森の中にある有名な音楽スタジオを舞台に、新進の女性映画作曲家が主人公を務めるという、意外な設定のサイコロジカルホラーだ。エレガントで静謐なトーンから一転、クライマックスでは一気にダークな展開を見せる。主演イム・チェヨン(「いつか賢い専攻医生活」)の熱演が光るミニマルなホラーだ。

『Nyepi』のクライマックスには、思わぬゴア描写が待ち受ける
『Nyepi』のクライマックスには、思わぬゴア描写が待ち受ける[c] JNC Media Group

インドネシア・バリ島の人気リゾートを舞台にした『Nyepi(英題)』は、バリヒンドゥー教の元日「ニュピ」を題材にした韓国・インドネシア合作ホラー。このニュピの日には、外国人観光客も含めバリ島にいるすべての人が外出も労働も殺生も一切禁じられ、1日静かに瞑想し世のなかの平和を神に祈る。悪霊が地上にやってくる日でもあるので、オゴオゴという鬼の巨大な張りぼてが村の中を練り歩くという。そんな日にバリにバカンスにやってきた韓国人の若者たちが、恐ろしい怪異に見舞われるというホラー。インドネシアの幽霊だけでなく、クライマックスでは意表を突くゴア描写も飛び出す。主演は『ソウルの春』(23)のクォン・ダハムと、)と「ラブフォビア〜愛に臆病なあなたへ〜」のファン・ハジョン。

ジョン・ヒョジョン監督の『The Fertilizer Home(英題)』もお披露目に。牧歌的な田舎の村で住民が自分の愛する人を殺害するという凄惨な怪事件が相次ぎ、村の権力者であり象徴ともいえる工場の女性オーナーが解決に乗り出すが、思わぬ真実が明らかになり、彼女の心の奥底に隠されていた欲望に直面することになる。環境汚染やシャーマニズムも交えた静かなホラー映画だ。主演はキム・スンファ(「ザ・グローリー ~輝かしき復讐~」)とパク・アイン(「この川には月が流れる」)。

レッドカーペットを彩る『Lovely Death』チーム
レッドカーペットを彩る『Lovely Death』チーム

これ以外にも、『Brunch with a Depressed Zombie(英題)』と、ユ・ジェミョン(「梨泰院クラス」) 主演の『My Das Is a Zombie(英題)』というドラマ性の高い2本のゾンビ映画や、K-POPグループ、STAYCのユンとチョン・アヨン(「ジョンニョン:スター誕生」)主演のホラーコメディ『Lovely Death (英題)』などもワールドプレミア上映され注目を集めた。

旧作ホラーでは、楳図かずおの漫画「黒いねこ面」をベースにしたチャン・イルホ監督の『A Remodeled Beauty(英題)』(75)や、アン・ビョンギ監督、ユ・ジテ主演の『友引忌 ともびき』(00)、イ・ソヨン監督、チョン・ジヒョン主演の『4人の食卓』(03)などレアな作品がデジタルリマスター版で上映され話題となった。

最後に、富川のジャンルフィル部門で上映された、イ・サンミン監督の長編デビュー作となる大ヒットホラー『Salmokji: Whispering Water』についても触れておこう。ストリートヴューの撮影で、田舎の貯水池で女の幽霊のようなものが写りこんでいることに気づき、プロデューサーのハン・スインとクルーたちは再撮影のため件の貯水池に向かうが、恐ろしい現象の数々に巻き込まれる。

韓国で大ヒットを記録した『Salmokji: Whispering Water』
韓国で大ヒットを記録した『Salmokji: Whispering Water』[c] 2026 THE LAMP Co., Ltd. Presented & SHOWBOX Corp. All Rights Reserved.


人気女優キム・へユン(「ソンジェ背負って走れ」「偶然見つけたハル」)主演の同作は、いわくつきの呪われた貯水池を舞台にした作品だが、池を取り囲む広大な森も不気味な存在感を放ち、全編ショック描写のつるべ打ちで疾走感あふれる痛快なホラーに仕上がっている。湖沼とホラーの親和性は高く、湖を舞台にしたホラーといえば、スラッシャー映画の金字塔『13日の金曜日』(80)を思い浮かべる人も多いだろう。しかし、本作はジェイソンのような無敵のホラーアイコンがいなくても、戦慄を誘う超自然的な存在の数々だけで十分に恐怖を生み出せることを証明してみせる。北欧のデスメタルバンドのヴォーカリストのようなルックスの幽霊(のようななにか)も登場する。ドローンを使用した俯瞰映像も効果的に挿入し、水中の映像も不気味極まりない。映画の大ヒットを受け、撮影が行われた実在する礼山郡のサルモクチ貯水池には、映画の雰囲気を実体験するため観光客が殺到したという。日本公開も期待したい一作なので、続報を楽しみに待ちたい。

文/小林真里


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