『口に関するアンケート』板垣李光人が刺激を受けた、“初めて”のホラー映画「プレッシャーをやり甲斐に替えて」
「どう反応するかで観客の“怖がる”温度が決まってくる」
その尋常ではない芝居こそが、小説ではできない、映画ならではの衝撃になっているのは言うまでもない。段階を追いながら何度も入り乱れるように各登場人物たちの証言映像が挿入され、板垣の表情もある時は片目の下だけがピクピク痙攣していて、それがどんどん崩れていくからおぞましさが増していく。いったいあれはどんな風にやっているのか?思わず問うと、板垣は微かに笑みを浮かべながら「イレギュラーな芝居とは言いましたけど、自分のなかのものをもちろん動かさないといけないので」と断ったうえで続ける。
「あのシーンの作り方としては、監督と相談しながら証言シーンをブロックごとに何個かに分けて、あとはそのパートごとの芝居をやるという方法でした。ただ、相手がいて会話をするのではなく、カメラ目線で芝居をしないとけないから、集中力と体力はかなりいりましたね」。
その表情の揺らぎのなかに、人間のドロドロした内面や本音が見え隠れするのが本作のおもしろいところで、板垣も「そこが背筋さんの作品が持つ特色です」と訴える。「ホラーというジャンルに一応分けられていますけど、人間のどうしようもなさみたいなものが常に作品のベースにあって。“呪い”という概念が出てくる本作でも、“口は災いのもと”という人間同士の愚行が怪異を生みだしていく。超常現象ではない、そこがベースになっているのが僕は好きなんです」。
初めて参加したホラー映画の現場では新鮮な驚きもたくさんあったようで、「この世のものではない恐怖の対象に、(キャストの)我々がどう反応するかで観客の“怖がる”温度が決まってくるから、芝居をするだけではなく、カメラのアングルに対して自分をどう見せるのかもホラー作品では考えないといけない」と語るその言葉も熱を帯びてくる。
「カメラが自分を俯瞰する位置にいたら、どれだけ正面を見ながら目を大きく見開いていても映らないですから。失踪した人物の霊と対峙する高架下のシーンなどはまさにその最たるもので、カメラの動きに合わせて顔の角度をちょっとずつ合わせていきました」。
ホラー映画ならではの現場をうれしそうに述懐する板垣。だが彼自身も「特殊メイクはいい経験でした。初めてでしたから」と目を輝かせる。「それに、あの一連のシーンでは声や身体の反応に関して監督から細かい指示があって。『こういう時は筋肉がこう反応して、体がこうなるから、そんな感じでお願いします』とディレクションをいただいたんです。ホラー映画をずっと撮られてきている清水監督の言葉ですからね。説得力があって、プロの仕事を感じました。カッコよかったですし、クリエイティブの面での刺激もありました」。
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