当初監督は別の人だった!?名探偵コナンとの意外な縁など『魔女の宅急便』をもっと好きになるトリビアたち
キキの前に現れたかっこいい男の子トンボ
●トンボはモテる男をイメージして作られた?
トンボはキキより1歳年上、14歳の男の子。トンボのキャラクターを作るにあたっては、ジブリのスタッフの間で“モテる男”の条件が議論されたという。その時に挙がった3つの条件は「頭がいい」、「性格が明るい」、「ちょっと不良っぽいところがある」というもの。たしかに、飛行クラブに所属していて、自分でプロペラ自転車を組み立てるなど研究者肌っぽいところがあるトンボは頭がよさそうだ。キキと仲良くなりたいと思ったら、まっすぐにアプローチできるのは素直で明るい性格ゆえ。意外にも交友関係はわりと派手で、初対面のキキを屈託なくナンパ?するところなどは不良っぽい、と言えなくもないかもしれない。
劇中ではトンボよりもキキのほうが、彼をちょっと意識しているように描かれているが、宮崎監督としては、いかにキキとトンボの距離を保つか、恋愛関係にならず、あくまでも男友だちに留めておくかという点にこだわったという。ちなみにキキが30代になるまでの人生を描いた原作では、キキとトンボは結婚し、双子の姉弟の親になる。2人の最初の出会いを描いた本作を観ながら、彼らのその後に想いを馳せてみるのもいい。
●キキとトンボの声優は「コナン」「新一」コンビだった
本作のキャスティングでは、時間をかけてオーディションが行われた。当初、キキ役は同世代の女の子で探していたが、決定打となる人はなかなか見つからない。そこでキキ役の仮の声優を、もともとオーディションでウルスラ役に決まっていた高山みなみが担当することに。高山のキキのイメージにぴったり合った声を聞いて、急遽彼女がキキ役も務めることに決まった。主人公キキと、キキと絡むシーンが中心となる重要キャラクターのウルスラを1人2役で演じ分けるという離れ業を見事にやってのけた高山はさすがと言うしかない。
コリコの町で、キキの初めての友だちになるトンボを演じたのは山口勝平。のちに放送開始から30年続く大ヒットシリーズ「名探偵コナン」で、高山が江戸川コナン、山口が同一人物の工藤新一を演じていることを考えると感慨深いものがある。ちなみに『魔女の宅急便』のアフレコ初日の前の夜は、高山も山口もプレッシャーで眠れなかったとか。当時は2人とも20代半ばの若手。いまや大ベテラン声優の2人の初々しい姿を想像すると微笑ましい。
少女の成長だけでなく、女性の一生が作品の裏テーマに
●作中描かれる女性たちはキキの未来の姿?
13歳の少女キキが奮闘しながら独り立ちする姿を描いた本作の物語は、女性の自立がテーマの一つ。全編にわたって数多くの女性キャラクターを登場させ、彼女たち全員を通して、一人の女性が年齢を重ね、成長していく姿をイメージしているという。まさに少女から女へと変わりつつある思春期のキキが出会う女性たちは、森のなかのログハウスで絵を描く18歳の画学生ウルスラ、キキの下宿先のパン屋のおかみさんで26歳の妊婦のおソノさん、古い屋敷に住んでいる料理好きで上品な老婦人など年代も職業も様々。
そのほかにも、キキが旅の途中、夜空の上で出会った修業期間中のおしゃれな先輩魔女は、占いという特技を生かして仕事をしているという話をしてくれるし、パン屋の近所に住むきれいなお姉さんはファッションデザイナーで、キキに憧れの気持ちを抱かせる。もちろん、キキのお母さんであり、魔法を使って村の人に薬を処方している37歳のコキリは、魔女としても大先輩。本作があらゆる世代の女性たちの深い共感を呼ぶ理由はここにある。
