「人生で一番泣いた映画」「人が人を想うことを再認識できる」『90メートル』が紡ぐ母と息子の絆
将来に苦悩する佑を取り巻く周囲の人々の想いに胸が締め付けられる
佑の将来を案じ、現実を少しでも変えようと動く周囲の人々の存在も、本作の大きな見どころだ。佑の置かれた状況を理解する担任教師は、未来の可能性を閉ざさないよう自己推薦という進学ルートを提案。さらに、かつて共に汗を流したバスケ部の友人たちも、佑が退部してから疎遠になっていた時間を感じさせない自然な距離感で佑に接し、再び“外の世界”へとつながるきっかけを与えている。
一方で、母として息子の将来を考える美咲は、一人で暮らしていくために24時間介護を受けることを決意。その覚悟に呼応するように、ケアマネジャーやヘルパーたちが連携し、具体的な支援体制を整える。そうした周囲の積極的な働きかけによって、佑を取り巻く環境がいい方向へと変わっていくプロセスが頼もしい。
“普通の生活”をあきらめかけていた佑の前に、再び未来への道筋が開かれていく。そうした彼を取り巻く人々の眼差しと行動に、心を動かされたという声も多かった。
「佑に選択肢を与えるのが先生やケアマネジャーなどの大人であり、佑の決断のキーとなるのが友人たちであることが等身大の高校生の物語であるということを感じさせてくれた」(30代・男性)
「気にかけて行動してくれる存在があり、佑は幸せだと思います。佑が卑屈にならず、自分のやるべきことを頑張っている姿勢が周りを動かしたのかなと想像しました」(50代・女性)
「みんな優しくすてきでしたが、先生が印象的でした。こんなふうに一人一人に親身になって気にかけてくれる先生がいたら、学校が生徒も親も先生たちまでもが安心できる場所になるな、と思いました」(40代・女性)
あなたの人生と重なる、心に響くセリフ&シーン
そんな本作には、日常の延長線上にある何気ない瞬間が、感動ポイントとなって随所にちりばめられている。
進路に揺らぐ佑、佑の幸せを切に願う美咲、前向きな言葉で佑の背中を押すバスケ部マネージャーの杏花(南琴奈)、佑とわだかまりを抱えるバスケ部の元チームメイトの翔太(田中偉登)、そして佑と美咲を献身的に支えるケアマネジャーの下村。様々な年齢や立場のキャラクターが織り成すエピソードが、観る者それぞれの人生と重なり、心の奥にそっと染み渡る。そんな共感してしまうセリフの数々や、自身を重ね合わせたシーンについてのコメントも目立った。
「無理に寄り添おうとせず、距離感や言葉で支えているところが、『帰る場所がある』とさりげなく伝えているようで温かいなと感じた」(20代・女性)
「美咲が話す言葉のなかに、私の母親とまったく同じ言葉がたくさんあって驚きました。菅野さん演じる美咲を通して、当時の母がどんな気持ちでいたのか、話していたのかを理解できてうれしかったです」(50代・男性)
「翔太を見て、私にもこんな友人がいたことを思い出しました。私自身も個人的な理由で部活を途中で辞めたことがあるのですが、理由を問い詰めるでもなく、そっと寄り添い、たまに話しかけてくれる、そういった存在はとても頼りになると思います」(10代・女性)
