1000人以上の社員にテスト試写!?日本人クリエイターが語る、最新作『私がビーバーになる時』まで変わらない“ピクサーの信念”
ディズニー&ピクサー劇場版最新作『私がビーバーになる時』が3月13日(金)に公開となる。今年はピクサー・アニメーション・スタジオが設立40周年を迎える記念すべき年。そんなピクサーで30年以上働く日本人クリエイターで、『トイ・ストーリー』(95)や『モンスターズ・インク』(01)など初期の作品から制作に関わっている小西園子は、「ピクサーの映画制作において変わらないことは、ストーリー制作における信念です。そこは絶対に曲げません」と語る。その草創期から現在まで名作を生んできたピクサーの映画作りへのこだわりとは?
本作で監督、脚本を務めるのは、誰も観たことがない“頭の中の世界”を描き、第88回アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞、昨年公開した続編も世界的大ヒットを記録した感動作『インサイド・ヘッド』(15)のストーリーボードアーティストを務めたダニエル・チョン。スタジオジブリの名作である高畑勲監督の『平成狸合戦ぽんぽこ』(94)からインスピレーションを受け、ビーバーの生態系を徹底的に調査し本作を制作した。
1994年に入社した小西は、『トイ・ストーリー』や『モンスターズ・インク』のほか、『ファインディング・ニモ』(03)、『カールじいさんの空飛ぶ家』(09)、『インサイド・ヘッド』、『リメンバー・ミー』(17)など、ほぼすべての作品に関わっているクリエイターだ。ピクサー映画の要は、老若男女誰もが楽しめて共感できるストーリー制作にある。実はピクサーは、映画制作の過程で1000人以上の社員にテスト試写を行い、正直な意見を吸い上げて、ストーリーを何度も何度も修正し作り上げるという手法を採用しているのだ。
小西は「まずスクリーニングと言って、社内でストーリーボードの時点でいろいろな過程を見せるんです。私たちは1000人以上いますから、そのたびに意見を聞いて、どこがよくなったか、どこが悪かったかと、正直に聞くんです。この規模でやることは珍しいと思いますが、特に社員を信用して意見を聞き、それを参考にするんです。試写にはカフェテリアの方やセキュリティの方、警備の方などみんな来ます」と、世界中で大ヒットした『トイ・ストーリー』から変わらないストーリー制作の裏側を明かした。
そうして約6年の月日をかけて制作された本作は、見た目はビーバー、中身は人間の主人公メイベルが、人間の常識が通じない“とんでもない”世界で大切な森を守る作戦を仕掛けるというストーリー。おばあちゃんとの思い出の森が高速道路計画で消えてしまうことを知ったメイベルは、極秘テクノロジーを使いビーバーとなる。そして、同じビーバーのキング・ジョージやローフ、トカゲのトムやクマのエレンら森の仲間たちと森を守るため立ち上がるが…。
小西はピクサー映画について、いつの時代に観てもわかるような“タイムレスなストーリー”が魅力だと言うが、本作はユーモアやジョークが現代風になっていると感じたそうだ。「ピクサーが作るストーリーは、いつ見ても皆さんにわかるように感じてもらえるようなものですが、本作はタイミングとかジョークとかが、最近のものだなと感じました。もちろんベースは時代に流されないような話ではありますが、(いままでの作品とは)ちょっと違ってすごく楽しいなと思いました」と、自信を見せる。いままでとは一味違う“もふもふアドベンチャー”を、ぜひ劇場の大スクリーンで体感してほしい。
文/山崎伸子
