『花緑青が明ける日に』ジャパンプレミア開催!萩原利久&古川琴音、声優初挑戦で直面した“千本ノック”の日々

『花緑青が明ける日に』ジャパンプレミア開催!萩原利久&古川琴音、声優初挑戦で直面した“千本ノック”の日々

日本画家の四宮義俊による長編アニメーション監督デビュー作『花緑青が明ける日に』(3月6日公開)のジャパンプレミアイベントが2月24日に新宿バルト9で行われ、声優初挑戦を果たした萩原利久古川琴音、四宮監督が出席した。

四宮義俊による長編アニメーション監督デビュー作『花緑青が明ける日に』、華やかに船出!
四宮義俊による長編アニメーション監督デビュー作『花緑青が明ける日に』、華やかに船出!

日本画家としての活動を軸に、新海誠監督や片渕須直監督など名だたる監督のアニメーション作品に参加し、CMやミュージックビデオなどジャンルを超えて様々な創作活動を行ってきた四宮義俊が自身のオリジナル脚本で描く本作。創業330年の花火工場を舞台に、再開発による立ち退き期限が迫るなか、幻の花火<シュハリ>とそこで育った若者たちの未来をめぐる2日間の物語をつづる。

第76回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に正式出品されるなど、世界的な注目を集めている本作。ベルリン国際映画祭選出を祝って、この日のステージには特製ケーキが登場した。四宮監督、チッチ役を演じた入野自由と共に現地入りを成し遂げた萩原は、「普段なかなか感じられないような刺激、経験をさせていただき、うれしい出来事でした。今後の人生にとって、忘れられない経験、日々を過ごさせていただいた」と熱っぽく語る。

【写真を見る】萩原利久&古川琴音も笑顔!ベルリン国際映画祭選出を祝って、特製ケーキが登場
【写真を見る】萩原利久&古川琴音も笑顔!ベルリン国際映画祭選出を祝って、特製ケーキが登場

上映後の拍手にも感激したそうで、「考えてみると、お客さんに囲まれて映画を観る経験もなかった。すごく不思議な体験」としみじみ。初めてのドイツの滞在で「ビールを飲めなかったことだけが悔やまれる」と目尻を下げ、会場を笑わせていた。四宮監督は「アニメは終わるか、終わらないかが一大事。ベルリンに選ばれちゃったけど、完成したものを出せるのかと心配でならなかった」と苦笑い。無事に完成作をベルリンの観客にも届け、「すべての回、ソールドアウト。お客さんにたくさん入っていただけた。海外メディアの取材も受けたんですが、皆さん日本のアニメが好きなんだなと思った。リスペクトのある対応で、いろいろと聞いてくださった」と喜びをにじませていた。

初声優の感想を語った萩原利久
初声優の感想を語った萩原利久

ダブル主演を務めた萩原と古川は、今回が声優初挑戦。萩原は、地元に残り続け、町の変化を見つめながら幻の花火<シュハリ>を作り続けてきた敬太郎を演じた。俳優と声優では勝手がまったく違ったと振り返った萩原は、「声だけになると、急に首から下の動かし方もわからなくなった。体感的には、初めて映画に出た気分でした」と告白。「大変なことはいっぱいありました。いつまで経っても自信もなければ、不安だし。マイクしかない空間にひとりでずっといるというのも、冷静になった時に不安がどんどん出てきた」と明かした。

「すごく苦戦しました」と明かした古川琴音
「すごく苦戦しました」と明かした古川琴音

敬太郎の幼馴染で、一緒に花火作りに挑むカオルに息を吹き込んだ古川も、「すごく苦戦しました」と吐露。「当初、収録は1日の予定だったんですが、手も足も出なくて。別日で2日間いただいて、1日は監督と一緒に(カオルの)声を探す作業をしました。同じシーンを何度もやってみたり、身体の動くようなシーンをやってみたり、千本ノックのようにしながら、監督とカオルの声を探していきました」と監督に支えられながら、猛特訓した日々を回顧した。四宮監督は「何度も繰り返していくなかで、一番自然に出る声。そういったニュートラルな演技が一番、この映画に合っていたんじゃないかと。繰り返しの作業のなかでそれを見つけていっていただけたことが、すごくありがたかった」と2人に感謝を伝えていた。

四宮義俊監督は、萩原利久と古川琴音に感謝を伝えた
四宮義俊監督は、萩原利久と古川琴音に感謝を伝えた

演じるうえで大事にしていたことに話が及ぶと、「おそらく声変わりをしたあとの年齢軸」だと演じた敬太郎について想いを馳せた萩原は、「人生の数年しかない、男子特有の瞬間。それは、自分も例外なく通ってきたところ。たかが数年でも、あの1年、1年って本当に変化のある数年だったので、そこをすごく意識しました」と役作りについて解説。古川は「敬太郎は、自分の夢に一途に突進していくようなキャラクター。チッチは、安定志向。カオルはどちらにも振り切れずに、理想と現実の狭間でもがいているキャラクター」と分析しながら、「カオルは、2人に憧れている部分があって。その気持ちは私にもある。自分が決まっている人たちに対して『カッコいい』と思う気持ちがリンクしました」と自分とも重なるところのあるキャラクターだと話した。

「あの別れがあるからいまがある」という分岐点を明かした
「あの別れがあるからいまがある」という分岐点を明かした

また「失われた先の未来」がテーマとなる映画にちなみ、萩原と古川が「あの別れがあるからいまがある」と感じるエピソードを披露するひと幕もあった。

「中学校1年の時」と切り出した萩原は、「ドラマの仕事があったんですが、ちょうどスキー合宿とかぶってしまった」とのこと。どうしてもスキー合宿に行きたかったものの、その願いは叶わずドラマの現場に行ったと続け、「その現場で、事務所の先輩の菅田将暉さんと会った。そこからいまの事務所に入りたいと思って今日に至るので、思わぬところにきっかけや出会いがあるなと。(スキー合宿は)どうしても手から離したくないイベントだったけれど、こっちでよかったなと思う。結果論ですが、分岐点だったなと思います」と手放したと思ったものが、大切な出会いにつながったという。


「お客さんによって、心に残るものが違うと思う」と感想を楽しみにしていた
「お客さんによって、心に残るものが違うと思う」と感想を楽しみにしていた

古川は「別れが苦手で。別れない選択をしながら、ここまで来たような気もする」と笑顔を浮かべ、「中学、高校と演劇部で、大学でも演劇をやっていて。転換点で何度も『次は違う部活にしよう』と思っていた。でも演劇をするなかですごく仲良くなった先輩がいて『先輩と遊べるんだったら、そこに行こう』と思ったり。別れさせてくれないまま、ここに来たような気がする。いまのところ、別れなくてよかったなと思う」と別れない選択が俳優の道に結びついたと、心を込めた。

いよいよ日本でのお披露目を迎え、四宮監督は「最初は、小さなお話から考えていました。こんなに大勢のお客さんの前で出せるものになるとは、夢にも思ってなかった。スタッフ一同が心を込めてつくりました。ぜひ楽しんでいただけるとうれしいです」と呼びかけ、完成作を観て「美しさに圧倒された」という古川は「お客さんによって、心に残るものが違うと思う。皆さんの感想をとても楽しみにしています」とメッセージ。萩原は「なんとしても劇場で観ていただきたい作品」と大スクリーンでの鑑賞をオススメしていた。

取材・文/成田おり枝

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