『レンタル・ファミリー』ブレンダン・フレイザー×HIKARI監督が語り合う、全編オール日本ロケの裏側「東京はどこを撮っても絵になる街」
「『一緒にやりたい』という想いから団結しているのを感じられてうれしかった」(HIKARI)
――東京で大規模なロケが行われたのは、神楽坂での「化け猫フェスティバル」のシーンだそうで、とても印象的な場面でした。HIKARI監督が「神楽坂で本当にロケができるのなら、これほどありがたいことはないです」と仰っていたことも、小泉朋エグゼクティブプロデューサーよりお聞きしています。映画のメインビジュアルにもなったこのシーン、撮影はいかがでしたか?
HIKARI「エキストラの皆さんが2〜300人ほど集まってくださり、たった1日で撮影するという段取りだったのでクリアすべきハードルも多かったんですが、皆さんのおかげで実現でき、大好きなシーンになりました」
――「東京ロケーションボックス」と神楽坂商店街の皆さんの尽力のもとで実際のお祭りを再現して、本来は10月に開催されるお祭りを3月に撮影されたんですよね。
HIKARI「そうなんです。実際に化け猫フェスティバルを開催されている方々が集まってくださいました。私は阿波踊りも大好きなので、阿波踊りのチームにも参加していただき、メイクをしたうえで踊ってもらっています。背景で流れている『ヨイヨイ』という声も、その場で録音したものを使っているんです」
フレイザー「エキストラの皆さんは全員ボランティアでしたが、『これが私たちの仕事、私たちは猫だ』という意識で演じてくださいました。彼らがすばらしい衣装を身につけ、街中で歌い踊る光景に心から興奮しました。日本のエキストラは世界一だと、僕は本気で思っているんです」
HIKARI「日本のエキストラの皆さんは本当にすばらしいと思います。『一緒にやりたい』という想いから団結してくださっているのを感じられたことがうれしかったです。しかもボランティアで出演していただいて、『ありがたい』という言葉では足りません」
フレイザー「映画の冒頭でフィリップが葬儀場を訪れ、本物のお葬式だと思い込むシーンがあります。あの場面でも、エキストラを含む役者たち全員が、僕とフィリップに『誰かが亡くなったのだ』と思わせてくれました」
――ちなみに撮影の合間、東京ではどのように過ごされていましたか?
フレイザー「街をぶらぶら歩き回っていました。最高のたまごサンドを見つける旅をしていたんです(笑)。セブンイレブンにしろ、ローソンにしろ、全部を試してみようと思って」
――たまごサンドですか?
HIKARI「日本のたまごサンド、海外で有名なんですよ」
フレイザー「東京を端から端まで食べ歩いてやろうと思ったんです。なぜなら街を知る一番の方法は、そこに住む人々がなにをどのように食べているのかを知ることだと思うから。彼らがどんな言葉を使い、どんな冗談を言い、どんな距離感で人と付き合うのか。そういうところから、その街が見えてきます。もちろん、美術館や公園、神社、チームラボのミュージアムなどにも足を運びました」
――長期滞在を経て、東京という街への印象は変わりましたか?
フレイザー「より個人的な場所だと思える街になりました。例えば、窓から外を見て『港区はどこかな、自分のアパートはあの辺かな』と思える。僕は方向音痴なのですが(笑)、それも日本では問題になりません。道に迷っていると誰かが手助けしてくれ、目的地まで連れて行ってくれて、しかも見返りを求めない。その寛大な精神は、僕が住んでいる場所では当たり前のことではありません。そのことに胸を打たれました」
――お2人から見て、東京という街のおもしろさはどんなところにあると思いますか?
HIKARI「街そのものがおもしろいですよね。電車に乗っているだけでも、本当にいろいろな人がいる。日本人だけでなく、様々な国の人がいて、『この人はなにをしているのかな?どんな仕事をしているんだろう』と思うんです。『この人たちはどんな組み合わせなんだろう?』とか(笑)。人間観察が楽しい、人を見ているだけでおもしろいですね」
フレイザー「宝石のような街。完璧なのに、ほんの少しだけ欠点があり、ユニークで価値がある、永遠に残る街。行動の選択肢もたくさんあり、カピバラをレンタルすることも、ゲームに出てくるカートをレンタルすることもできる。望めば家族だってレンタルできる。この物語が生まれた場所として、東京はやはり特別だと思います」
取材・文/稲垣貴俊

