『レンタル・ファミリー』ブレンダン・フレイザー×HIKARI監督が語り合う、全編オール日本ロケの裏側「東京はどこを撮っても絵になる街」
サーチライト・ピクチャーズ製作のハリウッド映画にして全編オール日本ロケが敢行された『レンタル・ファミリー』(2月27日公開)。『ザ・ホエール』(23)でアカデミー賞主演男優賞に輝いたブレンダン・フレイザーが東京で暮らすアメリカ人俳優フィリップを演じ、生活のために「レンタルファミリー」という仕事に関わり、依頼人の“家族”を演じるなかで、人々の人生に関わってゆく。監督・脚本は『37セカンズ』(20)で高い評価を受けたHIKARI。実在するサービスから着想された脚本を読み、フレイザーは本作への出演を決めたという。
撮影が行われたのは2024年3月から5月の約2か月間。新宿や渋谷、神楽坂といった“東京”はもちろん日本各地で行われ、フレイザーも日本に長期滞在。緻密な役づくりと撮影に臨み、心に響く名シーンの数々が生まれた。この異例とも言える日本ロケは、ロケーション撮影が円滑に行われるための支援を行う各地のフィルムコミッションの尽力のもと実現できている。そして、“撮影が難しい都市”とも世界的に呼ばれる東京でのロケ撮影をサポートしたのは、東京都内での映画・テレビドラマ等の円滑な制作を支援する東京都の窓口「東京ロケーションボックス」だ。
MOVIE WALKER PRESSでは、来日中のフレイザー&HIKARI監督に直撃取材を敢行!本作の舞台を“東京”にした理由から、ロケ撮影の難所で撮影できることへの想い、神楽坂での実在するお祭りを大規模ロケで再現した「化け猫フェスティバル」のシーンの裏話など、キーパーソン2人の言葉から東京でのロケ体験に迫っていきます。
「日本の東京で撮影すると知って完全に心をつかまれました」(フレイザー)
――本作の舞台として、日本、そして東京を選ばれた理由を教えてください。
HIKARI「レンタルファミリーというビジネスが日本に実在することから、『舞台は東京だな』と最初からイメージしていました。日本各地にレンタルファミリーの会社はありますが、東京は大都市ですし、電車に乗っていると、表情の暗い人や突然ぶつかってくる人がたくさんいる。つらい想いをしている人が多いんだなと感じる街だからこそ、“孤独”というテーマを切実に描けると思いました」
――フレイザーさんは脚本を読んでどんな第一印象を持たれましたか?
フレイザー「とても独創的で、過去に読んだ脚本とは異なると思いました。そもそも僕はレンタルファミリーというものを知らなかったので、それがなにかを知りたくなった。つまり、その時点で引き込まれていたんです。家族をレンタルしたらなにが起こるのか。誰が、なぜレンタルするのか。従業員たちはなにを得るのか。彼らは偽物なのか本物なのか、その両方なのか…。疑問の答えを知るには、この映画に出るしかないなと(笑)」
――日本での撮影にはどのような想いがありましたか?
フレイザー「実は、日本の東京で撮影すると知って完全に心をつかまれました。20年以上、いつか日本で仕事をしたいと密かに夢見ていたんです。ただ、どんな映画がふさわしいのかが想像できなかった。けれど、脚本を読んで『これだ』と思ったんです」
――東京でのロケ撮影は難しいと言われることも多いですが、実際に撮影してみて、どのような印象が残っていますか?
HIKARI「東京はどこを撮っても絵になる街。どこにカメラを入れても必ず発見があるのがとてもおもしろい。楽しい経験をさせてもらったので、もっともっと東京で撮りたいですね。その一方で、やはり大変なのは“移動”でした。実際に撮影できる場所が限られているし、全編ロケだと現場に行くまでにどうしても時間がかかるので、スタッフは本当に大変だったと思います。制作部をはじめとした皆さんがすごく頑張ってくれました」
フレイザー「東京は非常に活発な街で、それが“東京らしさ”だと思います。これほど忙しく動き続けている場所で映画を撮る以上、いかにカメラを移動させ、撮影を成立させるかが課題。けれど幸い、この映画の撮影監督はタカ(石坂拓郎)でした。彼は『ロスト・イン・トランスレーション』に携わり、当時最先端の撮影を経験していたんです。デジタルカメラを駆使し、より速く、細やかに動き、こっそりと撮影することさえして映画を完成させていた。その体験があったからこそ、この映画では“東京”という街を1人の登場人物として描くことができたんです。どんな脚本にも物理的な問題はあるものですが、東京よりもこの物語を魅力的に描ける街はなかったでしょう」
――そんな東京でのロケ撮影は、ロケ地探しから撮影当日まで様々な形でサポートを行っている「東京ロケーションボックス」をはじめとした、フィルムコミッションの支援のもと行われたそうですね。
HIKARI「日本と海外の製作での受け入れられ方の違いで、特に東京といった“大都会”でのロケでは撮影隊が戸惑うことがあるんです。そんな時に、実際にいろんなロケ地を見せてもらえるのが私たちはすごく助かります。監督が思っているところと違う場所でも、『ここおもしろいやん!』と新しいアイデアになることもあります。東京を知っているのは本当に皆さまなので、ぜひどんどんアイデアを提供していただきたいですね」

