“ガール・ネクスト・ドア”な魅力を放つ中島瑠菜『蔵のある街』『TOKYOタクシー』『とれ!』で魅せた気取らない佇まい
2025年は『九十歳。何がめでたい』、『蔵のある街』、『TOKYOタクシー』といった話題の映画に次々に出演し、NHKの大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」にも第1話から登場して注目を集めた新進女優、中島瑠菜の勢いが止まらない。2026年は、新年の幕開けと共に、待望の初主演映画『とれ!』が1月16日から公開中。さらに、大島美優とW主演を飾る『ザッケン!』も今春の公開を控えている。そこで本コラムでは、中島の過去作を振り返りながら、今年さらなる飛躍を遂げるに違いない彼女の魅力に迫っていきたい。
“どこかで会ったことがある”ような、自然体な佇まい
熊本県出身の中島は、2021年に15歳で「松竹 JAPAN GP GIRLS CONTEST Supported by BookLive」のグランプリを受賞。高校進学と同時に上京し、2023年公開の『なのに、千輝くんが甘すぎる。』でスクリーンデビュー。2024年から雑誌「Seventeen」の専属モデルとしても活躍しているが、写真を見て“どこかで会ったことがあるような気がするな~”と感じるのは、彼女がマクドナルド、カンロ、代々木ゼミナールなどの大手企業のCMに出演し、どこにでもいそうな、それでいてクラスにいたら人気者になりそうな普通の女の子を自然に演じてきたからだろう。
そんな女優の原石のような中島を、映画界が放っておくわけがない!それが冒頭に書いた話題作への連続出演につながったわけだが、そこには個々の作品で新しいことに挑み、違った魅力を放つ彼女の成長がしっかりと刻まれていた。
アニメ声優に、大河ドラマと幅広いジャンルに挑戦
2025年最初の映画作品となった『九十歳。何がめでたい』では、草笛光子が演じた主人公、佐藤愛子の孫娘に扮し、約2か月の猛特訓を経てあまりなじみのなかったダンスシーンに挑戦。続いて出演した、岡山県の倉敷美観地区に住む高校生たちが街で花火を打ち上げるために奔走する『蔵のある街』では、自閉スペクトラム症の兄を持つヒロインの紅子を体現。傷ついた兄を守ろうとする優しさと家庭の事情で美術の道に進みたい夢を諦めかけている複雑な内面、それらから湧き上がる怒りを嘘のない芝居で表現し、自然にあふれだした涙で観客の心を揺さぶった。
さらに、「チェンソーマン」、「ルックバック」などで知られる人気漫画家、藤本タツキの初期短編集をアニメ化した『藤本タツキ 17-26』(25)の一編「妹の姉」では、表題の姉役で声優に挑み、活動のフィールドを拡大。また、NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」では最下層の女郎屋、河岸見世で働く女郎のちどりを第1話から体当たりで演じただけではなく、物語後半である第38話では、はまに名前を変えて女将として再登場。特殊メイクによる、眉毛を落とした印象的な見た目でお茶の間の話題をさらったのも記憶に新しい。
山田洋次監督作で木村拓哉の娘役に
こうした努力と奮闘が実を結んで、中島がついに掴んだのが、名匠、山田洋次監督がメガホンをとり、倍賞千恵子と木村拓哉が共演した松竹創業130周年の記念作品『TOKYOタクシー』への出演だ。その役どころは、木村が演じたタクシー運転手、宇佐美浩二の娘、奈菜。出演シーンこそ少ないものの、それだけにこの役は高度な芝居のスキルを身につけていなければ表現しきれなかったかもしれない。
というのも、奈菜は希望していた音大の付属高校への推薦入学を決めるが、入学金は莫大で、浩二の妻、薫(優香)も途方に暮れている。だから奈菜も内心穏やかではない。だが、帰宅してそのことを知った浩二が、一瞬戸惑いの表情を見せながらも「入学金のことは心配するな」といったフォローをしながら心から祝ってくれたので、奈菜も思わず全身で喜びを爆発させるという流れ。わずか数分のやりとりのなかで多くのことを伝えなければいけないなか、中島の満面の笑顔と弾けるような芝居が木村の温もりが感じられる言動と合わさって、奈菜が父親に心から愛されているということを可視化するすばらしいシーンに。浩二の人柄や彼がどんな想いで仕事と向き合っているのかということの裏づけにもなる、中島の名アシストぶりに目を見張った。
