「アバター」ジェームズ・キャメロンが来日中に語った、自身の価値観を反映した“アクション”「人類がもつ悪い価値観を浄化する」

「アバター」ジェームズ・キャメロンが来日中に語った、自身の価値観を反映した“アクション”「人類がもつ悪い価値観を浄化する」

「もしかしたらこの映画は、私にとってセラピーなのかもしれない」

――様々な点でいまの時代を反映している映画だと思いました。脚本を書いたのは随分前だと聞いていますが、時代に合わせて書き直したのでしょうか。

「おもしろいですね。すでに(本編を)観た人から同じように『すごくタイムリーな話だ』『脚本を書いたのは10年前でしょ?どうしてこうなるとわかっていたんですか?』と訊かれました。それは私にもわかりません。私が単にラッキーだっただけなのかもしれません。でも、確かにこの映画は、いまの時代に起きている分断について語っています。一緒に力を合わせて壁を乗り越えようという意志が困難に直面しているんです。この映画は、そういう状況がどうやって生まれるのかを描いています。そしてキャラクターたちは、その解決法を見つけようとします。それが私たちにヒントを与えてくれることになるといいんですが…」

ジェイクたちの前に立ちふさがる、炎を操る“圧倒的な悪役”のヴァラン
ジェイクたちの前に立ちふさがる、炎を操る“圧倒的な悪役”のヴァラン[c] 2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.

――人間に捕まり晒し者のように扱われているジェイクを、前作から登場している海洋学者がついに改心して助けます。あなたも海洋学を専攻していたので、つい重ねてしまったのですが。

「私は最初、海洋生物学を学び、それから物理学に移りました。映画のなかで彼が『私は海洋学者です』と言ったらみんなが無視するのは、私なりのジョークなんですけどね(笑)。彼に限らず、あらゆるキャラクターに私が投影されています。すべてのアートはパーソナルであるべきというのが私の見解です。これはフランチャイズ作品だとはいえ、誰かに雇われてつくっているわけではありません。完璧に自分のストーリーテリングです。だから私が投影されているんです。ジェイクは父親で、私も5人の父親。10代のころの私は厳しい父親のせいで苦悩したものです。私のアーティスト的な側面をまるで理解してもらえず、カッとなったことが何度もありました。そういう父親が嫌だったし、そういう価値観と闘って来たのに、気が付けば5人の子どもたちに、私の父親と同じように接していた。いつの間にか、そういう父親になっていたんです。この脚本は15年くらい前に書いたのですが、10代の悩みや反抗を親と子どもの視点から見ることができたと思っています。もしかしたらこの映画は、私にとってセラピーなのかもしれませんね」

【写真を見る】ジェームズ・キャメロン監督が堂々宣言!「自分の映画はすべて3Dで撮るつもり」
【写真を見る】ジェームズ・キャメロン監督が堂々宣言!「自分の映画はすべて3Dで撮るつもり」撮影/木村篤史

――前作以来に3Dで映画を観ました。3Dにこだわっているのはあなただけだと思いますが、これからも3D映画を作り続けられますか?

「私はこれからも、自分の映画はすべて3Dで撮るつもりです。なぜかといえば人間は2つの目で見ているからです。目だけではなく脳も使って映画を観ているので、意識はしてなくても脳のある場所ではいろんなものが覚醒している。だから、映像的な要素はもちろん、キャラクターたちのエモーションも3Dだからこそ高まったところはあると信じています。つまり、演技も音楽も3Dであることで少しずつパワーアップして観客をより魅了している、ということです。

にもかかわらず、世の中にはもう3D映画はない…そこには多くの問題があります。一つは興行側の問題です。光量のレベルがどうしても足りないなど、改善するためには興行サイドに出資をお願いするしかないという現実はあります。それでも私はこの先、映画が生き続けるため、劇場が存続するために3Dが果たす役割はあると信じています。映画的経験をユニークにしてくれるからです。家では絶対に味わえませんからね!」

 『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』は公開中!
『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』は公開中![c] 2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.


取材・文/渡辺麻紀

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