真田広之にいまこそ聞ける…「SHOGUN 将軍」が2025年に打ち立てた歴史的快挙と新シーズン展開のカギ
「(原作への)リスペクトは失わずに、未知の領域を楽しんで開拓しているところです」
シーズン1の世界的成功を経て、続編制作が決まったのは自然の流れとも思われるが、シーズン2への参加には葛藤もあったという真田。しかし、作品が築いた道を未来につなぐ必要があるという想いが、彼の背中を押した。「今回の成功は日本人だけでなく、異文化のクリエイターや俳優にとっても門を開いたと思っています。だからこそ、これで終わってはいけない。続けて発信していくことがとても大事で、次の世代へ可能性をつないでいく。その意味でも、シーズン2を引き受けることには意義がありました」。
シーズン2で、物語はいよいよ“10年後”へ。原作の枠を離れ、より自由度の高い創作へ向かう続編について、その方向性と独自性を語った。「シーズン2は10年後という設定になります。歴史を知っている方なら、“この時代になにが起こったか”は皆さんご存じだと思いますが、どこを切り取り、どこに焦点を当てるかというのが『SHOGUN 将軍』のオリジナリティなんです。原作の縛りがなくなった分、ライターズルームにはより大きな自由を与えています。史実を研究しながら、“誰を描き、なにを膨らませていくか”というのは彼らの腕の見せどころ。日本人としては何千回も既存の映画やドラマ作品で描かれてきた時代だからこそ、あえてそこに口を挟まず、彼らの視点からどんな切り取り方が生まれてくるのかを楽しみにしています」。
ここで真田が強調したのは、“東西の視点を融合させることで生まれる独自性”だ。ただ史実を忠実に再現するのではなく、西洋と東洋の視点を重ね合わせることで、作品はより奥行きと広がりを持つという。「日本人の視点だけではなく、海外の脚本家だからこそ出てくる発想や解釈が、その融合のなかで非常にユニークな形になるんです。実際、目から鱗のようなアイデアも多くて、“そう来たか”“そっちで解釈するか”という驚きがたくさんあります。それをしっかりリアリティをもって観客に届けるために、日本のクルーがオーセンティシティを固めていくというバランスの取り方は、シーズン1から変わらず大切にしている部分です。自由な発想で膨らませてもらって、そこでいかに現場で、落としどころを見つけていくかっていうのが難しいところであり、おもしろいところなんですね」。
さらに、原作リスペクトとオリジナル展開のバランスについても明確な考えを示した。「シーズン1では原作をバイブルのように手元に置きながら作っていましたが、シーズン2には原作の縛りがありません。その一方で、テイストを守りながらオリジナルを作り上げていく必要がある。原作は“使い果たした”といっても、まだ使っていないエピソードもあって、必要に応じて引用することもあります。シーズン1を観てくださった方には、“ここであのセリフを使ったか”と気づいていただけるリンクもありますし、10年後という時間がありながらも、キャラクターの物語がきちんと着地していく。その一貫性も原作へのリスペクトだと思っています。リスペクトは失わずに、未知の領域を楽しんで開拓しているところです」。
「現場でのプロデューサーとしての自分と、作品の中での虎永の立場が重なる部分がある」
シーズン1ではプロデューサーとして作品づくりに深く関わった真田は、シーズン2ではさらに一段階踏み込み、エグゼクティブプロデューサーへと昇格した。その立場の変化は、現場の空気や、自身の発言の届き方にも確かな違いを生んでいるという。「境目は曖昧なんですが、シーズン1の実績や評価があるからなのか、エグゼクティブプロデューサーという肩書きがついたからなのか、現場での“耳の傾けられ方”がまるで違うんです。意見が通りやすくなってしまう分、その発言には責任を持たなければならない。自分が『こうだ』と言うと、現場全体がその方向に動いてしまうので、口に出す前に前以上に考える必要がある。良さと怖さの両方がありますね」。
さらに、物語の中心となるキャラクター・虎永の“10年後”をどう演じるか。その準備も、エグゼクティブプロデューサーと俳優の異なる立場から向き合っている。「まさにいまは衣装やヘアメイク、美術の担当者と意見を交わしながら、“10年後の虎永がどう見えるべきか”を考えています。公の場に立つ時の姿、ふと一人になった時の自然体、その落差をどうつけるか。自分としても年齢的に未知の領域に踏み込むので、緊張とワクワクの両方があります。ポジションとしては、主演俳優というより“みんなの受け皿”だと思っています。シーズン1から続投のキャスト、新たに加わるキャスト、その双方が全力を出せるように受け止める存在でいたい。現場でのプロデューサーとしての自分と、作品の中での虎永の立場が重なる部分があって、あまり頭でこねくり回さず、皆さんのいい芝居を引き出し、それを受け止めて返す。その姿勢はシーズン1から変わらないですね」。
