芦田愛菜、「体当たりで演じた」細田守監督最新作『果てしなきスカーレット』初日を迎え感無量!
細田守監督最新作『果てしなきスカーレット』の初日舞台挨拶が11月21日にTOHOシネマズ 日比谷で行われ、芦田愛菜、岡田将生、柄本時生、青木崇高、染谷将太、白山乃愛、斉藤由貴、松重豊、役所広司、細田監督が出席した。
『時をかける少女』(06)、『サマーウォーズ』(09)、『おおかみこどもの雨と雪』(12)、『バケモノの子』(15)、『未来のミライ』(18)、『竜とそばかすの姫』(21)などを送り出し、日本のみならず世界中の観客を魅了し続けているアニメーション映画監督の細田守。本作は、主人公の王女スカーレットが父の復讐に失敗するも、≪死者の国≫で再び宿敵に復讐を果たそうとする、これまでの細田作品と一線を画す物語。
スカーレットを熱演した芦田は「プレスコといって、絵があまりない状態から声を入れさせていただいてから1年半くらいが経って。まだまだ公開は先だなと思っていたんですが、無事に今日、公開を迎えることができてうれしく思っています」と感無量の面持ち。「4年半くらいかかりました」と制作期間を振り返った細田監督は、「やっと初日を迎えて、皆さんにお届けできる。本当にうれしく思います」と喜びを噛み締めていた。
ステージには、豪華な面々がズラリと顔をそろえた。芦田は「こんなにステキな俳優の皆さんと一緒にひとつの作品をつくることができたんだと、改めて実感して。すごく光栄に思います。ありがとうございます」と周囲を見渡し、感激しきり。スカーレットと共に旅をする現代の日本人看護師である聖役の岡田は、「長編アニメの声優は初めて。なにもわからない状態の僕を、監督が優しく見守ってくださった」と細田監督にお礼を述べ、「一緒に聖を作り上げた時間は、大切な時間」と心を込めた。
劇中でスカーレットの宿敵となるクローディアスを演じた役所と、ギルデンスターン役の染谷は、『バケモノの子』では師弟関係として共演していた。染谷も、自身と同じく細田作品に最多となる4回の出演を果たしていることを知ると、役所は「そうですか。染谷くんも4回。くそぉ!」と対抗心をのぞかせて、会場も大笑い。続けて「細田監督の作品には全部参加したいと、常に思っていました。今回も呼んでいただいて光栄に思っています」と目尻を下げた。敵役として名演を披露した役所だが、「僕、1日で録ったらしいです。もっとかかったと思っていたんだけど。1日だというから、ちょっと時給が高いですよね(笑)」と収録は1日のみだったのだとか。クローディアスが非常に重要な役だと語った細田監督は、「ものすごい熱量、ものすごいパワーで演じてくださった。感激した」と収録現場でも胸を熱くしていたという。
生きることをテーマとした壮大な作品が完成し、細田監督は「僕の9歳になる娘を思いながら、つくった作品。これから自分の娘みたいな小さな子、若い人が、力強くこの世の中を生きていけるようになったらいいなという願いを込めてつくった」と吐露。役所は「これだけのすばらしいキャストの人たちと細田監督のもとで働けて、すばらしい作品に参加できたことがうれしい」と充実の表情を浮かべながら、「細田監督にお子さんができて、『未来のミライ』のころからは特に、未来の人間に向けて強いメッセージを込めて、それをこの映画でも表現されています。皆さん、楽しんでください」と呼びかけた。
岡田も本作を通して発見があったといい、「人を好きになる、愛することは、すごく幸せで、当たり前のことなんだけれど、その当たり前をどこか忘れている時間があって。家族の温かさや絆を、僕自身も教えてもらっているなと思っていた」と監督からたくさんのことを教えてもらったとしみじみ。「体当たりで演じさせていただいた」と振り返った芦田は、「一生懸命に生きるスカーレットから、私自身、力をもらえた作品」だとコメント。「スカーレットの抱えている、自分を縛ってしまっているものというのは、誰しも一度は抱いているような感情かなと思う。不確実な未来でも、明日へ希望を持つことは自由な権利だと思う。映画を観ていただいた皆さんも、心のなかにいるスカーレットを抱きしめられるような作品になっていると思いますので、“生きる”ということの当事者であるすべての方に観ていただきたいです」と願いを口にした。
「こういったすばらしい皆さんと一緒に映画がつくれる。本当に誇らしく、幸せなこと」と喜んだ細田監督は、「スカーレットのような若い女性が、生き方を探す物語」と“生きる”というテーマについて触れながら、「芦田さんのようなすばらしい感性の持ち主の方と一緒に、非常にシンプルだけど、大きなテーマを一緒に表現できた。最高の、すばらしいクリエイティブな瞬間だった。ぜひそれを観ていただければ」と熱っぽく話し、大きな拍手を浴びていた。
取材・文/成田おり枝

