「人生一度きり、後悔のないように」倍賞千恵子と木村拓哉が人生の旅を体現する『TOKYOタクシー』に寄せられる感動の声
「男はつらいよ」シリーズなど、多くの名作を世に送りだしてきた山田洋次が監督を務める松竹創業130周年記念作品『TOKYOタクシー』。フランスの人気映画『パリタクシー』(22)を原作に、倍賞千恵子と木村拓哉の共演で感動のドラマを描きだす本作が、11月21日(金)から公開される。
MOVIE WALKER PRESSでは、公開に先駆けて行われた試写会の参加者にアンケートを実施。歳の離れた“タクシー運転手”と“客”によるたった一日の旅を通して映しだされる人情、時代の変化、東京の街並みなど、様々な視点から寄せられた感想と共に本作の見どころに迫っていきたい。
マダムとタクシー運転手、2人の偶然の出会いが人生を動かしていく
日々休みなく働くも、娘の音大付属高校への進学、家の更新費などが重なり、次々とのしかかる現実に頭を悩ませる個人タクシー運転手の宇佐美浩二(木村)。ある日、知人の運転手からの紹介で85歳のマダム、高野すみれ(倍賞)を、東京の柴又から神奈川、葉山の高齢者施設まで送り届けるという急な依頼を受ける。
最初は互いに無愛想だったが、会話を重ねるうちに心を開き始め、すみれは「東京の見納めに、いくつか寄ってみたいところがあるの」と浩二に寄り道をお願い。思い出の地を巡るうちに、やがて自身の壮絶な過去を語り始める。たった一日の旅が、やがて2人の心を、そして人生をも大きく動かしていく…。
昭和、平成、そして令和へ。山田洋次が見つめてきたそれぞれの時代の人間ドラマ
代表作の「男はつらいよ」シリーズをはじめ、これまで数多くの人間ドラマを手掛けてきた山田監督らしく、本作でも、蒼井優が演じるすみれの回想を通じ、昭和、平成、令和と時代ごとの喜びや苦悩、哀愁といった切実な感情をスクリーンに浮かび上がらせる。
例えば、東京大空襲によって下町が火の海となった戦争の記憶や、ダンスフロアで楽しげに踊る初恋の高揚、祖国再建運動による在日朝鮮人の恋人との悲しき別れ、DVという言葉もなく、家庭内暴力が離婚の理由にならないなかでの我慢の結婚生活…と、すみれが生き抜いた激動の日々を、美しくもノスタルジックに、そして時にはダークに映しだしていく。誠実に描かれた人間ドラマには「引き込まれた」、「身に沁みた」といった感想が多く寄せられていた。
「人生、なにがあるかわからない。だからこそ、一日一日を大切にしっかり生きようと思いました」(30代・女性)
「もっとほのぼのした物語だと思っていたら、ジェットコースターのような物語で驚いた」(50代・女性)
「一人の女性の人生そのものを映す、人情味のあふれる映画でした」(30代・男性)
「一人の女性の波乱万丈な人生をたった一日のドライブのなかで穏やかに回想する構成に引き込まれた」(50代・男性)
本作の肝となる“人情”を深めているのが登場人物たちによる交流。倍賞と木村に加え、若かりしすみれを演じた蒼井、迫田孝也に優香、中島瑠菜といった豪華キャストが名を連ねた本作では、タクシー運転手と客という“究極の一期一会”から生まれるすみれと浩二の絆をはじめ、すみれが過去に出会った人々や浩二の家族、さりげないご近所付き合いの様子まで、人と人とのつながりを丁寧に活写している。
「高齢者施設でまた会いに行くと約束したシーン。2人の間にしっかりとつながりができ、すみれが過ごしていくうえでの“力”になったと思う」(30代・女性)
「浩二が手紙を読んでいるシーン。すみれと出会ったことをとてもうれしく思っていたのだと思います」(50代・男性)
「すみれの息子が背中の傷を隠していたシーン。母を想うシーンに涙が出た」(40代・女性)
「公園でパンを食べているすみれさんの背中の丸まりや歩き方に老人の哀愁があるが、やはりイイ男を前にした時にちょっと華やぐ心の動きがよかった」(50代・女性)
数々のシーンで垣間見える、思いやりが感じられるやりとりや人と触れ合うことで動きだす感情の変化を描いた物語は、多くの観客を温かな気持ちにしたようだ。
