2025年の北米ハロウィンは『ブラックフォン 2』が勝利!顕著な作品不足が進むなか、頼みの綱は“再上映”?
先週末(10月31日から11月2日まで)の北米興収ランキングは、ハロウィンまっただなか。例年、ハロウィンの時期にはホラー映画が活況となる反面、興行的に爆発力を備えた作品は感謝祭期間まで温存される傾向がある。そのため昨年の『ヴェノム:ザ・ラストダンス』(24)や3年前の『ブラックアダム』(22)のように、あえて空白をねらって公開する大作が現れることもあるのだが、今年は残念ながら顕著な作品不足が目立つ結果に。
週末全体の総興収はわずか5669万ドルと、今年5番目の低調ぶり。ハロウィン週末としては今世紀に入ってから(コロナ禍の2020年を除く)最低の数字をマークしており、ちょうど同じ週末にロサンゼルスを本拠地とするチームが出場したMLBワールドシリーズが重なった影響もあるという見方もされている。ちなみに昨年はロサンゼルスとニューヨークのチームが激突し、先述の『ヴェノム』のオープニングは5000万ドル前後。確かにワールドシリーズが興行に及ぼす影響は感じるが、今年の場合は作品不足が先にあり、そこにワールドシリーズで拍車がかかったというところであろう。
さて、週末期間中に発表されていた速報段階では、前週『チェンソーマン レゼ篇』(日本公開中)に敗れて2位に初登場を果たしたジョシュ・ブーン監督の『Regretting You』が半ば押し出されるようにして首位に浮上するとみられていたが、確定値が出そろった結果、首位に浮上したのは前々週に首位デビューを飾ったブラムハウス・プロダクションズの『ブラックフォン 2』(11月21日日本公開)。それでも週末3日間の興収は832万ドルと、今年の週末1位獲得作品でもっとも低い数字となっている。
土日の成績は『Regretting You』が『ブラックフォン 2』をわずかにリードしていたが、やはりホラータイトルである後者はハロウィン当日の成績が抜きんでており、デイリー興収で242万ドルを記録。その貯金をいかして逃げきったといったところだ。平日に入ってからは『Regretting You』がリードし、『チェンソーマン レゼ篇』と『ブラックフォン 2』、そしてヨルゴス・ランティモスの新作で、ハロウィンから拡大公開をスタートさせた『Bugonia』が熾烈な2位争いを展開。
こうした低調な上位争いのなかで、存在感をみせていたのは“再上映”作品の数々だ。週末4位にランクインしたのは、8月に2日間限定上映ながらNetflix作品初のNo. 1に輝いた『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』(Netfixにて配信中)。週末3日間の上映で興収530万ドルを記録し、累計興収は2430万ドルに到達。サウンドトラックの話題性と興行的成功のインパクトで、第98回アカデミー賞の長編アニメーション賞の有力候補の一角になったという声もちらほら見受けられる。
また、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85)の公開40周年を記念したリバイバルも週末3日間で興収490万ドルを記録し6位にランクイン。世界中でブームを巻き起こした「バーフバリ」シリーズ2作を1本にまとめた『バーフバリ エピック4K』(12月12日日本公開)は13位に、ハロウィン週末に日替わりで上映された「トワイライト」シリーズの後半3作は、それぞれ19位、16位、14位にランクイン。今後のハロウィンはこうしたイベント型の興行が定番化していく流れになるのかもしれない。
文/久保田 和馬
