『ブラックフォン 2』北米No. 1スタートで、ブラムハウスに復調の兆し!北米公開を迎えた『チェンソーマン レゼ篇』の速報も
先週末(10月17日から19日まで)の北米興収ランキングは、ブラムハウス・プロダクションズとスコット・デリクソン監督、イーサン・ホークがタッグを組んだ『ブラック・フォン』(22)の続編『ブラックフォン 2』(11月21日日本公開)が初登場でNo.1を獲得した。
3411館で公開された『ブラックフォン 2』の初日から3日間の興収は2733万ドル。前作は3150館で同2363万ドルを記録し、初週末の順位は4位(上位にいたサマーシーズンの大作とは僅差だった)。それでも7週連続でトップテン入りを果たし、最終的には9000万ドルを超えるスマッシュヒットとなっている。その前作を上回るスタートを飾ったとなれば、ようやくブラムハウスに復活の兆しが見えてきたと考えてもいいのだろうか。
一昨年のハロウィンに公開された『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』(23)が大成功を収めて以降、不調が続いたブラムハウス。ほとんどの作品がオープニング興収1000万ドル前後の鈍いスタートを飾り、最終興収で3000万ドルを超えたのも『ナイト・スイム』(24)と『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』(24)のみ。元々ローバジェットが売りのスタジオであるとはいえ、『M3GAN/ミーガン 2.0』(25)のような期待作が失敗に終わったことはかなりの痛手であった。
そんな『M3GAN/ミーガン 2.0』と同様、スタジオを代表するヒットタイトルの続編である『ブラックフォン 2』を成功させることは、今後のブラムハウスの方向性をうらなう上で重要なポイント。なにせ12月には『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ2』(2026年1月23日日本公開)が控えている。ここで大きな弾みを付けて、2年分の鬱憤を晴らす大ヒットにつなげたいところだ。
新作タイトルでは他に、「マスター・オブ・ゼロ」でブレイクしたアジズ・アンザリが監督を務め、キアヌ・リーブスとセス・ローゲン、キキ・パーマー、サンドラ・オーが共演した『Good Fortune』が3位にランクイン。2990館でオープニング興収616万ドルと、3000万ドルの制作費を考慮しても微妙なスタートではあるが、批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば批評家からの好意的評価は78%、観客からのそれも81%とまずまず。今後じわじわと数字を伸ばしていけるだろうか。
今年のカンヌ国際映画祭でパルムドールに輝き、ジャファール・パナヒ監督が史上4人目の世界3大映画祭最高賞制覇を成し遂げた『It Was Just an Accident』はNEON配給のもとで3館の限定公開をスタート。週末3日間の興収は6万8021ドルで、1館あたりのアベレージは2万2674ドル。イラン映画(本作はイランとフランスとルクセンブルクの合作だが)として括れば、アスガー・ファルハディ監督の『別離』(10)を上回り、『セールスマン』(16)に少しだけ届かないオープニング成績となる。
前回のアカデミー賞で作品賞に輝いたショーン・ベイカー監督の『ANORA アノーラ』(24)を含め、ここ6回連続でパルムドール作品の北米配給を務めているNEON。そのうち『逆転のトライアングル』(22)と『落下の解剖学』(23)もオープニングの1館あたりのアベレージが20000ドル強で、どちらも対象年のアカデミー賞で作品賞に候補入りを果たしている。フランス代表として国際長編映画賞にエントリーしている『It Was Just an Accident』も、主要部門で活躍する資格は充分だろう。
最後に、10月24日に北米公開を迎えた『チェンソーマン レゼ篇』(日本公開中)の速報をお伝えしておこう。公開前日に2500館規模で行われた木曜プレビューの興収は340万ドル。3003館で封切られた初日の興収見込みは800万ドルほど。さすがに『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(日本公開中)には敵わない数字だが、公開前のソーシャルメディアのリーチ数は同作の2倍以上と注目度の高さでは負けていない。またもや日本のアニメが北米の映画界を盛り上げてくれそうだ。
文/久保田 和馬
