「春のワルツ」から「匿名の恋人たち」の天才ショコラティエ役まで。型にハマらず挑戦を続ける韓国の国民的女優ハン・ヒョジュの魅力

コラム

「春のワルツ」から「匿名の恋人たち」の天才ショコラティエ役まで。型にハマらず挑戦を続ける韓国の国民的女優ハン・ヒョジュの魅力

相葉雅紀や藤原竜也と共演も!日本の作品にも積極的に出演

ヒョジュが、謎の麻薬王“イ先生”に並々ならぬ執着を見せるクンカルを演じた『毒戦 BELIEVER 2』
ヒョジュが、謎の麻薬王“イ先生”に並々ならぬ執着を見せるクンカルを演じた『毒戦 BELIEVER 2』[c]Everett Collection/AFLO

そんなハン・ヒョジュが荒くれ男たちを率いる海賊のリーダーに扮したのが人気海上アクションシリーズ第2弾『パイレーツ:失われた王家の秘宝』(22)。実力を隠したダメ男役のカン・ハヌルと悪役で存在感を見せたクォン・サンウにも負けないパワフルな演技で、新たな可能性を感じさせた。その後は『毒戦 BELIEVER 2』(23)で凄みのある悪役、「ムービング」ではアクション満載の若き日と高校生の息子のいる母親役を演じ分けるなど、新たなジャンルを開拓。さらに「支配種」では、謎めいた雰囲気の大企業CEO役を堂々と見せ、“もはや、ハン・ヒョジュに演じられない役はないかもしれない”と思わされた。

特殊能力を持つ少年と少女やその親たちが巨大な危機に立ち向かう「ムービング」
特殊能力を持つ少年と少女やその親たちが巨大な危機に立ち向かう「ムービング」[c]Everett Collection/AFLO

ヒョジュのフィルモグラフィを見ていると、日本との縁も深い。2009年には日本の人気脚本家と韓国の実力派ドラマ監督&俳優たちがタッグを組んで制作された「テレシネマ7」の一本で、北川悦吏子が脚本を担当した『天国への郵便配達人』(09)で、アーティストとしても活躍するジェジュンと共演。死んだ恋人への恨みを抱く女性が天国への郵便配達人だと名乗る男から「仕事を手伝わないか」と声をかけられたことをきっかけに変化していく様子を繊細に見せた。

また、かねてから好きな監督と公言していた犬童一心の作品『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』(14)では、相葉雅紀演じる主人公が一目惚れする世界的な照明デザイナー役で登場。スーツを中心とした洗練された装いでそれまでの作品とは違ったきりっとした表情を見せ、落ち着いた雰囲気を漂わせている。ほとんどのセリフが日本語であるのに加え、国際色豊かなアーティストたちをまとめるリーダーという役割のため英語も披露。そののちには、藤原竜也主演の『太陽は動かない』(21)にも出演している。

ヒョジュのチャーミングさが炸裂!(「匿名の恋人たち」)
ヒョジュのチャーミングさが炸裂!(「匿名の恋人たち」)「匿名の恋人たち」Netflixにて独占配信中

デビュー以来、多彩な魅力を発揮してきたヒョジュが、原点とも言えるラブストーリーに久しぶりに戻ってきた「匿名の恋人たち」。“なぜか目を見ても平気”な相手、壮亮と、赤西仁演じるジャズバーのオーナー、高田寛への恋心の奇妙な思いの間で揺れるイ・ハナは、果たしてどんな選択をするのか?彼女が作るチョコレートのように甘い物語を楽しみたい。


文/佐藤結

※「Les Emotifs anonymes」の「E」はアキュート・アクセント付きが正式表記


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