オースティン・バトラー演じるカルト教祖が陰謀論を熱弁!『エディントンへようこそ』扇動動画
『ミッドサマー』(19)のアリ・アスター監督がA24とのタッグで送る最新作『エディントンへようこそ』(12月12日公開)。本作より、オースティン・バトラー演じるカルト教祖がSNS上で陰謀論を熱弁&拡散する“扇動動画”が解禁となった。
主演は『ジョーカー』(19)でアカデミー賞主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックスで、アスターとは『ボーはおそれている』(23)に続くタッグとなる。共演には、『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』(25)などのペドロ・パスカル、『ラ・ラ・ランド』(16)、『哀れなるものたち』(23)でアカデミー賞主演女優賞を受賞したエマ・ストーン、『エルヴィス』(22)でゴールデングローブ賞主演男優賞(ドラマ部門)を受賞したバトラー。さらに、大ヒットドラマ「イエローストーン」シリーズのルーク・グライムス、トニー賞受賞のディードル・オコンネル、『ブルー・ストーリー』(19)のマイケル・ウォードら実力派がそろい、アスター作品史上最も豪華なアンサンブルが実現した。
物語の舞台は2020年、ニューメキシコ州の小さな町、エディントン。コロナ禍で町はロックダウンされ、息苦しい隔離生活の中、住民たちの不満と不安は爆発寸前。保安官ジョー(フェニックス)は、IT企業誘致で町を“救おう”とする野心家の市長テッド(パスカル)と“マスクをする、しない”の小競り合いから対立し、「俺が市長になる!」と突如、市長選に立候補する。
ジョーとテッドの諍いの火は周囲に広がっていき、SNSはフェイクニュースと憎悪で大炎上。同じ頃、ジョーの妻ルイーズ(ストーン)は、過激な動画配信者(バトラー)の扇動動画に心を奪われ、陰謀論にハマっていく。疑いと論争と憤怒が渦を巻き、暴力が暴力を呼び、批判と陰謀が真実を覆い尽くすエディントンの選挙戦。町と住人は誰も予想できない破滅の淵へと突き進んでいく。
解禁されたのは、バトラー演じるカルト教祖ヴァーノンがSNS上で陰謀論を熱弁、拡散する扇動動画。「我々は侵略されている」「人間の思考が消されつつある」「新しい神が現れた」と過激な言葉を連ね、人々の不安と怒りを巧みに煽っていく。画面越しにも伝わるその狂気とカリスマ性は、まさに人を惑わすカルト教祖そのものだ。バトラーの妖しい存在感が圧倒的なインパクトを放っている。
ヴァーノンについてアスター監督は、「ハーメルンの笛吹きのような人物」と表現。「インターネット上の“クレイジーな人々”を単に反映させるのではなく、より包括的で、漠然とした存在にしてほしい」とバトラーにはリクエストしたという。ヴァーノンはインターネットによって作り出された“実体のない存在”であり、「彼が何を考え、何を訴えたいのかはわからない。ただ、人々に“答え”を与えようとするんだ」とその意図を明かしている。
アスター作品に初参戦となったバトラーもまた、「アリのように、豊かで複雑かつニュアンスのある登場人物を描ける人は貴重だ。決まった枠に押し込むのではなく、両手でしっかり支えてくれるようなイメージだね」と語り、監督の演出に対して篤い信頼を寄せている。
『エルヴィス』のほか、『デューン 砂の惑星 PART2』(24)での悪役も記憶に新しいオースティン・バトラー。いま最も勢いに乗る彼が、アリ・アスター監督との初タッグでどんな新境地に挑んだのか、注目してほしい。
文/平尾嘉浩