山田裕貴『爆弾』極上の映画体験を約束!渡部篤郎は「タゴサクは二朗にしかできない」と佐藤二朗との軌跡に思い馳せ涙

山田裕貴『爆弾』極上の映画体験を約束!渡部篤郎は「タゴサクは二朗にしかできない」と佐藤二朗との軌跡に思い馳せ涙

呉勝浩によるベストセラー小説を映画化した『爆弾』(10月31日公開)のジャパンプレミアが10月2日に恵比寿ガーデンプレイス/ザ・ガーデンホールで行われ、山田裕貴伊藤沙莉染谷将太坂東龍汰寛一郎渡部篤郎佐藤二朗、永井聡監督が出席。レッドカーペットを晴れやかな笑顔で歩き、完成作について「本当におもしろい!」とそれぞれが並々ならぬ自信をのぞかせた。

『爆弾』ジャパンプレミアが開催された
『爆弾』ジャパンプレミアが開催された

酔った勢いで暴行を働き、警察に連行された「スズキタゴサク」と名乗る謎の中年男が「霊感で事件を予知できる」と、都内に仕掛けられた爆弾の存在を予告。秋葉原での爆破を皮切りに、これから1時間おきに3回爆発すると語り始める。刑事たちの問いかけをのらりくらりとかわしつつ、次第に爆弾に関する謎めいた“クイズ”を出し始めるタゴサク。彼は一体、何者なのか。取調室で行われる先読み不能の謎解きゲームと、東京中を駆け巡る爆弾探しがリアルタイムで進行していく。主演の山田裕貴が警視庁捜査一課でスズキタゴサクと真っ向から対峙する交渉人、類家役を熱演。佐藤がスズキタゴサク役を務める。

スズキタゴサクと真っ向から対峙する交渉人、類家を演じた山田裕貴
スズキタゴサクと真っ向から対峙する交渉人、類家を演じた山田裕貴

9月18日から28日まで開催された第38回フィンランド・ヘルシンキ国際映画祭で、日本公開に先駆けてワールドプレミア上映が行われた本作。現地へ赴いた山田と佐藤は「すごく盛り上がった」と証言。山田は「僕は初めての海外の映画祭だった。海外の映画祭って、おもしろくなかったら帰っちゃうんですって。知っていました?」と観客に語りかけながら「誰一人、立たずに」と回想すると、大きくうなずいた佐藤も「終わったあとに拍手喝采だった」と山田と声をそろえるなど、熱烈な歓迎を受けたと明かした。

緊迫の取調室シーン、撮影秘話を公開
緊迫の取調室シーン、撮影秘話を公開

取調室を舞台に、山田や染谷、寛一郎、渡部が演じる刑事たちと、佐藤扮するタゴサクが濃密なやり取りを見せている。寛一郎は「緊迫したシーンをずっと撮り続けていた」としつつも、撮影の合間には「みんなでしゃべって和気あいあいとしていた。オン、オフのスイッチがものすごくあった」と充実の表情。そして染谷が「山田くんがスタンバイ中にぼそっと、『俺、もっとクールになりたいんだよな』と急に言い出して。でもその言い方がめちゃくちゃクールだった。すごくクールに『クールになりたい』って言うなと思って」と楽しそうに回顧すると、山田は「でもクールな人って、『クールになりたい』って言わない。本当はミステリアスになりたいんですよね」とこぼすなど、息の合った掛け合いで会場を笑わせていた。

謎の中年男、スズキタゴサクを怪演した佐藤二朗
謎の中年男、スズキタゴサクを怪演した佐藤二朗

刑事役の俳優たちと演技合戦を繰り広げ、タゴサクという化け物級のキャラクターを怪演した佐藤は、「いずれも超一線級の俳優さん」と刑事役の俳優陣に最敬礼。「そういう人たちとセッションをできているというのが、本当に楽しくて。しかもその人たちの芝居を特等席で見られる。撮影中は毎日家に帰ると、晩酌をしながら妻に『楽しいわ、いま』という話をしていました。それくらい濃密な時間を過ごした。忘れられない3か月でした」と特別なひと時になったという。永井監督は「全員、キャラが立っている。みんなが覚悟を持って挑んだ。アクションもとても楽しいんですが、役者同士の駆け引きを観てほしい」と力を込めていた。

会場に集まった200人以上のファンと交流
会場に集まった200人以上のファンと交流

それぞれが「本当におもしろい」と完成作に自信をのぞかせていたこの日。山田は「原作が、すばらしくおもしろい」と原作に敬意を表しながら「原作を読んで『これはおもしろいな』と思ったキャラクターがいて、各々が(撮影現場に)自分の役を持って行く。それは、相当なプレッシャーがあっただろうなと思う。エキストラさんの一人一人、細部までこだわっているというのが本当に映画に出ている」と熱っぽく語り、「極上の映画体験ができる」とアピールした。

『爆弾』ジャパンプレミアでそれぞれが原作へのリスペクトを口にした
『爆弾』ジャパンプレミアでそれぞれが原作へのリスペクトを口にした

交番勤務の巡査である倖田役を演じた伊藤も、原作を読んで「衝撃があった」と告白。「スタッフさんも、キャストの皆さんも、みんながこの作品自体をすごく愛しているし、リスペクトしている。もともとおもしろいものを、より迫力を増してお届けするというのは緊張することではありますが、嘘偽りなくおもしろい作品だと胸を張って言える」と笑顔を見せた。同じく交番勤務の巡査である矢吹役の坂東は、「脚本を読ませていただいた時に、脳みそが焦げちゃった。試写で観て、また焦げちゃいました。それくらい、普段は使っていない筋肉も使える映画だと思う。観終わったあとに、ズーンとくるような人間臭さが残る」と重厚な作品になったと語った。

【写真を見る】渡部篤郎、涙を見せる…!「感慨深い」としみじみ
【写真を見る】渡部篤郎、涙を見せる…!「感慨深い」としみじみ

清宮役の渡部は「人の業みたいなものが描かれている。個人的には…」と切り出すと、突然に涙ぐみ、声を震わせた。佐藤が「なんで、なんで、渡部さん」と慌てるなか、渡部は「付き合いが長いので」と佐藤とのこれまでを振り返り、感情があふれてしまった様子。佐藤が「渡部さんが主役の作品で、僕が脇を支えることがとても多くて。この作品では山田裕貴と僕が背負っているという自覚はあるんですけど、(渡部が)うれしそうに電話をしてきて『お前を支える側に立ててうれしい。俺、出るよ』と言ってくださった。多分それを思い出されたんだと思います」と渡部の想いを代弁しつつ、「いきなり泣き出すから!」と自身ももらい泣きしそうになりながら、照れ笑い。

『爆弾』ジャパンプレミアの様子
『爆弾』ジャパンプレミアの様子

渡部は「スズキタゴサクは二朗にしかできないと思っている。そんな大作に出させてもらって、ちょっと感慨深いものがある」と喜びをにじませた。佐藤は「渡部さんが、(本作の撮影は)『みんなが最後の大事な試合を戦っている感じだった』と言っていた」と傑作小説に挑むにあたってそれぞれが必死に食らいついたことを口にしながら、「掛け値なしにおもしろい」と誇らしい表情で語った。


取材・文/成田おり枝

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