徹底された研究とこだわりでシリーズの美学を踏襲!「エイリアン:アース」衣装、ヘアメイクデザインの舞台裏映像
「エイリアン」シリーズの生みの親、リドリー・スコットが製作総指揮を務める、シリーズ初のドラマシリーズ「エイリアン:アース」(配信中)。このたび、本作より衣装、ヘアメイクデザインの舞台裏映像が解禁となった。
巨匠リドリー・スコットが生みだした、恐怖の原点にして、頂点ともいえる『エイリアン』(79)。そこから始まった、「エイリアン」シリーズでは、宇宙船や惑星を舞台にした、人類と宇宙最恐の生命体“エイリアン”との壮絶な戦いが描かれてきた。寄生した人間の胸を突き破り、異常な速さで進化する宇宙最恐の生命体“エイリアン”は、その不気味なデザインから、映画史上もっとも恐ろしく独創的なクリーチャーと評されるなど、世界を魅了。主演のシガーニー・ウィーバーら名優たちによる閉鎖された宇宙空間での凄絶な死闘が話題を呼び、第52回アカデミー視覚効果賞をはじめ数々の賞を受賞したレジェンド的作品だ。本作の舞台はシリーズ第1作『エイリアン』で描かれた時代の2年前である2120年。世界が5つの大企業によって統治されるなか、そのひとつであるウェイランド・ユタニ社の宇宙船が地球に墜落。人類は、宇宙最恐の生命体と対峙することに…。
今回解禁された映像では、オリジナルの良さを失わないようにスタッフ、キャスト全員が徹底的なこだわりを持ち、どのように世界観を作り上げたかが、衣装の視点から掘り下げられている。監督、脚本などをつとめたノア・ホーリーが「肝心なのは映画シリーズの美学を損なわないこと」と語るように、エイリアンの世界観を壊さないよう、劇中に登場するウェイランド・ユタニ社の宇宙船の様子や乗組員たちの衣装に至るまで、徹底した研究によって作り上げられた。その労力は「8話構成のドラマだけど、映画を8本撮った感覚だった」と、並々ならぬ気合の入りよう。衣装デザインを務める、スティラット・アン・ラーラーブはロンドン五輪の開幕式の衣装デザインを担当したことでも知られ、「専門家になれるくらい世界観を研究し尽くして可能な限りリアルな衣装をデザインした」、「プロディジー・シティにはレトロフューチャーの要素を加えた。映画の第1作と第2作とドラマを同期させるためです」と、あくまでもシリーズ作品のなかで本作を違和感なく視聴できるように徹底した信念のもとで制作が進められた。本作に出演するキャストも、そんなスティラットのキャラクター性まで考え抜かれた衣装デザインを絶賛し、無くてはならない要素になったようだ。
さらに、メイクを担当したコニー・リン・パーカー、ヘアーを担当したサンナ・セッパネンは「それぞれの役に合ったヘアメイクを練り上げた」とこだわりを明かす。そして、シドニー・チャンドラー演じる主人公ウェンディについて「ウェンディはシガーニーを意識して、内面の強さが際立つクリーンなメイクにした」と、「エイリアン」シリーズの象徴ともいえるシガーニー演じるリプリーをイメージして、ウェンディを作り上げたと映画シリーズへのリスペクトを語った。
衣装、ヘアメイクチームともに、特にこだわりを見せるのは、物語の1つのテーマでもある「人間と機械の境界線」。曖昧な境界線をシャツの袖や裾を使い印象的に描いたり、人間の体の一部が機械化された存在であるサイボーグであるモローは汗をかき、機械の体に人工知能が埋め込まれたシンセ(アンドロイド)であるカーシュは涼しい顔をしているなど、スタッフの力によって“人間”、“アンドロイド”、“シンセ”、“ハイブリッド”という個性をより引き立てられていることが感じられる。スティラットは、「本作は人間をしっかり描くので恐怖が共鳴して増幅する。もちろん見た目は大事だけど、登場人物たちの行動の先にあるのが衣装です」と衣装デザインとしての矜持を語り、「細部にこだわるノアだからこそ、衣装の背景にある物語を伝え突き詰めることができた」とノアを筆頭にしたチームへ賛辞を送り、本作への自信をのぞかせた。
シリーズ最終話に向け、物語の展開がさらに加速する「エイリアン:アース」。「エイリアン」1作目の徹底した研究によるオマージュの数々と、本作ならではの8話構成で描かれるキャラクターたちによる深い人間ドラマに注目だ。
文/鈴木レイヤ