エド・ハリス演じるサイコな父親が暴れまくる!『愛はステロイド』特別映像
A24が贈る規格外のクィア・ロマンス・スリラー『愛はステロイド』(8月29日公開)。本作より、エド・ハリス演じるサイコな父親が暴れまくる特別映像が解禁となった。
大胆で示唆に富んだストーリーテリング、刺激的な演出、そして俳優陣の化学反応が各所から絶賛されている本作。ゴッサム・インディペンデント映画賞をはじめとする世界各国の映画賞でも44ノミネートを果たし、第74回ベルリン国際映画祭にも出品され、『ピンク・フラミンゴ』(72)などで知られる鬼才ジョン・ウォーターズが「2024年最高の映画」として挙げている。
メガホンを取るのは、狂信の末に暴走するカトリック信者の看護師を描いたホラー『セイント・モード/狂信』(19)で長編映画デビューを果たし、映画の常識を打ち砕いて世界に衝撃を与えた新鋭ローズ・グラス。官能的なクィア・ロマンスに退廃的なフィルム・ノワール、デヴィッド・クローネンバーグを想起させるボディ・ホラー、そしてデヴィッド・リンチが愛するシュールレアリズムまで、あらゆるジャンルを横断しながら、映画そのものに中指を突き立てる衝撃作として完成させた。
父親を嫌悪しながらもその影響下から逃れられない女性ルーに扮するのは、名優クリステン・スチュワート。彼女が惹かれるボディビルダーのジャッキーには、ケイティ・オブライアン。さらに、エド・ハリスをはじめ、ジェナ・マローンやアンナ・バリシニコフなど、これまでのイメージを打ち砕く役に挑戦している実力派キャストの名演からも目が離せない。
ルーとジャッキーに立ちはだかる最強のヴィランでもあるルーの父を演じたハリス。銃を乱射し、何かに激怒して絶叫、器物破壊。そして衝撃的なことに、飼っているカブトムシをそのまま食べるという、常軌を逸した行動を次々と見せつけ、「これは普通の映画ではない」とハリス自身が笑みを浮かべながら語るインタビューから特別映像は始まる。
この父親についてルーの義兄JJ役のデイヴ・フランコは、「町を仕切り、尊敬されつつ恐れられている存在」と説明。一方ハリスは、「怖がるべきか?場合による。裏切らなければ平気ですよ」とユーモアを交えて語り、警察すら従える絶対的な支配者としての一面をのぞかせた。ルー役のクリステン・スチュワートは、特に印象的だった場面として「エドの口に銃を突きつけるシーン」を挙げ、「恐ろしいけど、“愛している”と言ってほしい相手でもある」と、この上なく憎い相手が血のつながった父親であるという複雑な心境を語っている。
こうした父親像をより強烈に印象付けているのが異様なロングヘア。実はこの髪型はハリス自身の発案によるもの。グラス監督が「見慣れた姿と違って見えたらうれしい」と希望を伝えたところ、ハリスは友人のヘアスタイリストに依頼し、エクステを使った独特の長髪スタイルに仕上げた。その自撮り写真を送ると監督は、「セクシーさと『アダムス・ファミリー』のカズン・イットの中間」と表現。さらにスチュワートにも見せたところ、「うちの父と同じ髪型!」と驚く偶然もあったという。こうして誕生した奇抜なビジュアルが、スクリーンの中で暴走する“最恐の父”の存在感を一層際立たせている。
ぜひ劇場で、この髪型とのインパクトある奇行を全身で浴び、エド・ハリスの狂気と忘れられない衝撃を体験してほしい。
文/平尾嘉浩