新作ホラー『Weapons』が北米No. 1&高評価を獲得!リンジー・ローハン12年ぶりの劇場映画復帰作も好発進
先週末(8月8日から8月10日まで)の北米興収ランキングは、『バーバリアン』(22)のザック・クレッガー監督の新作ホラー『Weapons』が初登場No. 1を獲得。今年北米で公開されたホラー作品で初登場1位に輝いたのは、『罪人たち』(25)と『ファイナル・デッドブラッド』(25)につづいて3本目だが、いずれもワーナー・ブラザース配給作品ということになる。
『Weapons』の初日から3日間で4350万ドルというオープニング興収は、2500万ドルから3500万ドルと見込まれていた事前の予測を大きく上回る数字。しかも木曜日のプレビュー上映の興収は570万ドルと、『罪人たち』のそれを上回る数字を叩きだしており、週が明けた平日に入ってからも堅調をキープ。月曜日の8月11日のデイリー興収は520万ドルで、歴代の8月の平日におけるホラー映画のデイリー興収の新記録を樹立したようだ。
ワーナーのホラー映画といえば、「IT/イット」シリーズや「死霊館」ユニバースなどが近年の代表格だが、今年に入ってからは、ドリュー・ハンコック監督の『コンパニオン』(25)や先述の『罪人たち』、そして今回の『Weapons』と、非フランチャイズのオリジナルホラーを興行面と批評面の両方で成功に導いている。コロナ禍以降、特に安定感のあるジャンルとして人気再燃傾向にあるホラー。それを牽引するスタジオとして、ワーナーは今後さらに大きな存在感を発揮することだろう。
一方、2位に初登場を果たしたのは“親子入れ替わり”を描いた傑作コメディ『フリーキー・フライデー』(76)をリメイクした『フォーチュン・クッキー』(03)の、22年ぶりの続編となる『シャッフル・フライデー』(9月5日日本公開)。3975館で公開され初日から3日間で興収2858万ドルと、1館あたりのアベレージでは『Weapons』に倍近い差をつけられてしまっているが、それでも上々なスタートといえよう。
前作の公開当時は“往年のホラークイーン”だったジェイミー・リー・カーティスがいまや“オスカー女優”となり、“売りだし中のティーンアイドル”だったリンジー・ローハンが12年ぶりの劇場映画(カメオ出演を除く)出演で再共演を果たしたとなれば、前作よりも注目度が高い作品になっていることはいうまでもない。その前作(20年以上前のため数字面の比較はあまり当てにできないが)はオープニング興収が2220万ドル、最終興収が1億1023万ドルだったので、オープニング興収は前作対比129%。今作が最終的に1億ドルに乗るかどうかは、今後の推移次第といったところか。
1976年のオリジナルを皮切りに何度も映像化されるなど、すっかり使い古されてきた題材を下敷きに、親子3世代4人の女性が入れ替わるという大胆なアイデアを搭載した今作。批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば批評家からの好意的評価は73%とまずまずだが、観客からのそれは93%と前作以上に大好評。コロナ禍以降、正統派コメディは相次いで配信スルーとなる憂き目を見てきただけに、本作の成功でこのジャンルに活気が戻ってくることを願いたい。
文/久保田 和馬