二面性を兼ね備えた役で見せる山田杏奈の新境地『恋に至る病』光と闇を切り取る新場面写真
なにわ男子の長尾謙杜と山田杏奈がダブル主演を務める映画『恋に至る病』(10月24日公開)から新たな場面写真が解禁された。
本作は斜線堂有紀による同名小説を『月の満ち欠け』(22)、『母性』(22)などの作品で知られる廣木隆一による監督で実写化した衝撃のラブストーリー。内気な男子高校生の宮嶺望を長尾が演じ、宮嶺が出会い、初恋に落ち、彼の人生を大きく変えることになる寄河景を山田が演じる。
内気な男子高校生の宮嶺と学校中の人気者の景。不器用で一途な初恋、2人が交わした約束。しかし、同級生の不審死が続発することから、宮嶺は景に対して疑惑を抱く。殺人犯へと変わりゆく景。それでも、宮嶺の気持ちは変わらない。 そんななか“彼女の本心”が明かされる。
今回解禁されたのは、山田演じる寄河景の清廉さと危うさの二面性を切り取ったの場面写真。普段の景は誰とでも明るく接する学校のヒロイン的存在で、転校してきた宮嶺とは正反対の性格。だからこそ自身にはない魅力を感じ、興味を持ち「どんな私でも守ってくれる?」という約束を交わして恋が始まる。一途に関係を育んでいた2人だが、同級生の不審死をきっかけに、宮嶺の心に“景が殺人犯かもしれない”という疑念が生まれる。教室で宮嶺に対して優しい眼差しを向ける景のカットと、打って変わって印象ががらりと変わる陰りを帯びた横顔のカットからは、内面を簡単に明かさない景の純粋な恋心と疑念への余白がそのまま表情に現れ、ただ佇むだけで強い存在感を放っている。
教室から離れクラスメイトと2人きりでじっと手を見つめる景のカットは、冷静さと支配するような不穏な雰囲気が漂う。また宮嶺を見据えるカットでは、景に対して疑念とわずかな恐怖を抱く宮嶺に対して“好きだからこそ信じてほしい”と言わんばかりの景の凛とした強さが眼差しから感じられ、瞳の奥に悲しみが見え隠れする表情から宮嶺への純粋な恋心も感じ取れる。
そんな景を演じる山田は『ミスミソウ』(17)で映画初主演に抜擢され、その後の『樹海村』(21)や『ひらいて』(21)などで、揺れ動く10代の複雑な感情を振れ幅豊かに体現。“可愛らしさ”と“危うさ”を両立し、目線や表情の揺らぎを繊細にコントロールし、独特の存在感を放っている。本作で監督を務めた廣木も彼女について「不安定さと強さを併せ持つ景という役を、自然に演じている。本当にいまの映画界が求める役者さんだと思います」と語っている。
恋と疑念がエモーショナルに交差する物語を牽引する山田の熱演を、ぜひスクリーンで体感してほしい。
文/スズキヒロシ