タローマンが対峙する“奇獣”の元となった作品は?彼を動かす言葉とは?『大長編 タローマン 万博大爆発』をもっと知るために把握しておきたいこと

タローマンが対峙する“奇獣”の元となった作品は?彼を動かす言葉とは?『大長編 タローマン 万博大爆発』をもっと知るために把握しておきたいこと

自由や尊厳を貫いた無二の芸術家として知られる岡本太郎にインスパイアされたNHK Eテレの人気番組の劇場版『大長編 タローマン 万博大爆発』(公開中)。本作のオリジナルは、岡本が遺した作品や言葉をモチーフにした深夜ドラマ「TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇」。1970年代を舞台に、べらぼうででたらめな銀色の巨人タローマンが世界を襲う奇獣に立ち向かう特撮番組だ。シュールな世界観や、昭和の特撮番組を再現したレトロなテイストが話題を呼び、第49回放送文化基金賞ではエンターテインメント部門優秀賞を受賞。シリーズ終了後も続編や特番が放映された人気作だ。

CBGとタローマンは未来の世界である昭和100年にたどり着く
CBGとタローマンは未来の世界である昭和100年にたどり着く[c]2025『大長編 タローマン 万博大爆発』製作委員会

劇場版は1970年(昭和45年)と2025年(昭和100年)、2つの万博会場を舞台にタローマンが大暴れするお話だ。大阪万博会場に、万博を消滅させるため2025年の未来から来た奇獣や戦闘員が出現。さっそく出動したCBG(地球ぼうえい軍)は、タローマンや未来から来たCBGのサイボーグ人間エランのおかげでなんとか彼らを食い止めた。エランによると、奇獣たちは過去を改変するためやってきた反万博集団“原始同盟”の一員だという。タローマンが母星に帰ってしまった2025年を救うため、CBGのメンバーとエランはタローマンを連れて50年後の世界に向かう。

太陽の塔、明日の神話など代表作も!奇獣の元となった作品

奇獣たちがスクリーン狭しと大暴れ!
奇獣たちがスクリーン狭しと大暴れ![c]2025『大長編 タローマン 万博大爆発』製作委員会

突如1970年代の日本に現れたタローマンと、アヴァンギャルドな奇獣たち。脱力系バトルを繰り広げる彼らは、テーマや背景を含め岡本の作品がモデルになっている。劇場版ではシリーズに出現した奇獣たちのほか、新たな敵も数多く登場。主要キャラクターと、原案になった作品を紹介しよう。

タローマンの元となった若い太陽の塔。顔のデザインがそのままタローマンに反映されている
タローマンの元となった若い太陽の塔。顔のデザインがそのままタローマンに反映されている画像提供:岡本太郎記念館

シュールレアリスム星からやってきた巨人“タローマン”。型にはまることを嫌い、でたらめな行動で奇獣を倒したことから人々からヒーローと見なされていく。劇場版では昭和100年の宇宙大博覧会を守るため未来にタイムリープ。しかし時間移動中のトラブルで、秩序ある行動をとるようになってしまう。そんなタローマンのモデルは、大阪万博が開催される前年の1969年に制作した「若い太陽の塔」。愛知県の遊園地、日本モンキーパークに展示された高さ26メートルのオブジェで、顔のデザインはそのままタローマンに生かされた。

1970年、日本万国博覧会のため造られた太陽の塔
1970年、日本万国博覧会のため造られた太陽の塔画像提供:岡本太郎記念館

べらぼうなエネルギーを持った奇獣、“太陽の塔”。シリーズ最終回に登場したラスボス的な強敵で、バラバラにされても破片がそれぞれ完全体になって増殖する始末に負えない強さを誇る。劇場版ではCBG科学開発チームに捕獲され、鉄骨でできた大屋根で身動きを封じられ大阪万博の展示物にされている。原案はおなじみ大阪万博のシンボル「太陽の塔」。過去、現在、未来を貫くエネルギーの象徴として制作された、約70メートルにもおよぶテーマ館の一部である。

太陽の塔の地下に造られた地底の太陽。オリジナルは現在行方不明になっている
太陽の塔の地下に造られた地底の太陽。オリジナルは現在行方不明になっている画像提供:岡本太郎記念館

地底に潜む巨人であり50年の眠りから覚醒したでたらめ戦士で、原始同盟の切り札として活躍する“地底の太陽”。左腕をドリルに変えたり、頭の飾りをちぎって武器にして戦う。原案は「太陽の塔」の地下に作られた第4の顔「地底の太陽」。約11メートルの顔のオブジェで、閉会後はその存在が忘れ去られ、いつしか行方不明になってしまった。50年が経過したいまも行方知れずの幻の作品だ。

1977年に造られた水差し男爵。奇獣の水差し男爵は名前の通り、いいところで水を差していく
1977年に造られた水差し男爵。奇獣の水差し男爵は名前の通り、いいところで水を差していく画像提供:岡本太郎記念館

“水差し男爵”は、巨人のように見える正義奇獣。山高帽にステッキ、紳士的な振る舞いがトレードマークで、シャンソンが好きらしい。いいところに現れては水を差すありがた迷惑な奇獣だが、名前の通り正義の味方。奇獣、火の接吻が街を襲った時には消火活動を行い、未来では原始同盟の主要メンバーとして活躍した。原案は1977年に制作した高さ28センチのガラス製の水差し「水差し男爵」。

1982年制作の縄文人。劇中ではタローマンに創作意欲を沸き立たせた
1982年制作の縄文人。劇中ではタローマンに創作意欲を沸き立たせた画像提供:岡本太郎記念館

泥から作られた原始の奇獣、“縄文人”。縄文人が情熱を込めて作った縄文土器を模した、丸みを帯びた自由奔放な姿はタローマンをも感動させた。武器は腕の先から放射する、泥水のように濁った液体。原始同盟によって昭和の万博会場に送り込まれ、戦闘機をものともせずビルやパビリオンを破壊した。原案は縄文土器に刺激されて制作した彫刻「縄文人」。

1969年制作の明日の神話。太陽の塔と並ぶ代表作と言われ、行方不明になるも発見、修復され、いまは渋谷駅に設置されている
1969年制作の明日の神話。太陽の塔と並ぶ代表作と言われ、行方不明になるも発見、修復され、いまは渋谷駅に設置されている画像提供:岡本太郎記念館

相手のでたらめエネルギーを吸い取る力を持つ破壊の奇獣“明日の神話”は、長年行方不明だったがバラバラの姿で発見され未来のCBGが修復。奇獣の悲劇を繰り返さない戒めとして、宇宙大万博で展示されることになった。原案は原爆の悲劇を描いた巨大壁画「明日の神話」。「太陽の塔」と同時期に制作された代表作で、長年行方がわからなかったが、2003年にメキシコシティ郊外で発見され再生プロジェクトが進められたのち、現在は渋谷マークシティ連絡通路内に恒久設置されている。


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