殺人鬼ジェイソンの成長譚!『13日の金曜日 PART3』は“伝説”の幕開け【豆魚雷の「遊星からの物欲X」】
洋画やアメコミのグッズを多数取り扱うことで、映画ファンにお馴染みのキャラクターショップ「豆魚雷」のスタッフであるサムゲタン市川が、ホラーキャラクター&グッズへのアツい愛を叫ぶ連載「遊星からの物欲X」。第13回は、ホラー映画史上の大スターである「13日の金曜日」シリーズのジェイソンが満を持して登場。これまでに12本の映画をはじめ、無数の関連作が生みだされているシリーズから、市川は『13日の金曜日 PART3』(82)をピックアップ。シリーズのお約束を生みだした記念碑的作品の魅力を、キャラクター中心に語りつくす!
ターニングポイントとなった『13日の金曜日 PART3』
こんばんは、サムゲタン市川です。ホラーファンにとっての“祝日”といえばそう、13日の金曜日です。2025年唯一の“13金”は6月で過ぎ去ってしまいましたが、このたびうれしいニュースが。『13日の金曜日 PART2』(81)、『13日の金曜日 PART3』、『13日の金曜日 完結篇』(84)が、「ホラー・マニアックス」シリーズ第15期のラインナップとして国内初Blu-ray化を果たすのです。
8月から10月にわたって3か月連続でリリースされるBlu-rayには、DVDには未収録だった映像特典も盛り沢山でまさにファン泣かせ。今回はこのめでたさに乗じて、もはや説明不用といえるスーパー殺人鬼、ジェイソン・ボーヒーズの魅力を、シリーズのターニングポイントとなった『13日の金曜日 PART3』を中心にお話していきたいと思います!
お前のものは、俺のもの!
いまではすっかりトレードマークとして定着し、もはやジェイソンの代名詞とも言えるホッケーマスクですが、初登場となったのは3作目の終盤。それもそのはずで、1作目にはジェイソン自身はほぼ登場せず、2作目では布袋を被った姿での登場でした。
それが3作目ではオシャレにイメチェン!2作目では青いチェックシャツにオーバーオール、左眼部分に穴の空いた布袋を頭に被り、つぶらな瞳も相俟ってあどけなさを感じずにはいられなかったジェイソンですが、本作では深い緑のシャツに無機質な青のパンツという落ち着いたファッションに。仕上げのホッケーマスクでビシッとキメて、以降のナンバリング作品に通ずるビジュアルを確立させたのでした。ちなみにこのホッケーマスク、いたずら好きな青年がおふざけで持っていたものを殺して奪い取るという、“ジャイアン理論”によってゲットされたものです。お前のものは俺のもの。
強いぞ!ぼくらのジェイソン
大人びた外見に伴い、その腕力もよりたくましいものに。元より大柄な体つきの持ち主でしたが、2作目では人間を殺害する際には凶器を用いており、まだまだ常識の範疇での殺人と言えたでしょう。しかし本作では、両の手で青年の頭蓋骨を圧し潰せるほどにパワーアップ!頭部を掴んだまま身体まで持ち上げられるってんだから、とんでもない。
このときに青年の眼球がポンと飛び出すショット、チープながらも味があっていいんですよね。ほかにも、ピッチフォークで喉元を突き刺しそのまま梁にはりつけにするなど、すでに人ならざる領域に達しているようです。
とっさの反撃にも華麗な回避を繰り出してカウンターを打ち込んだり、スピアガンを用いて眼球を撃ち抜く精密なエイム力も持ち合わせるなど、殺人鬼として成長した彼の姿に「強くなったねェ…」と親心のような感情を覚えます。
肉体を失ったとしても、“伝説”は生き続ける
粛々と若者どもを血祭りにあげてきたジェイソンでしたが、本作の主人公であるクリス・ヒギンズ(ダナ・キンメル)からはかな~り手痛い反撃を受けてしまいます。ナイフで手や脚を刺されたり、薪やシャベルで頭を殴られたり、荷揚げ滑車のロープでくくり首に処されたり、斧を頭にぶち込まれたり。それでもめげずにクリスを殺害しようと奮闘する、倒れてもなお前のめりな姿勢には声援を投げかけずにはいられません…。がんばれジェイソン!
最終的に12人もの人間を殺害し、前作での9人という記録を更新することができました。以降も人間を殺める技術は向上し続けると共に、その手段もバラエティ富んだものになっていきます。『13日の金曜日 PART3』はホッケーマスクのビジュアルやパワー系という方向性も定まり、ジェイソンがスタイルを築いた記念碑的作品と言えるでしょう。
次作『13日の金曜日 完結篇』でジェイソン・ボーヒーズの物語は一旦幕を閉じます。とはいえ翌1985年には『新・13日の金曜日』が製作され、さらに翌1986年の『13日の金曜日 PART6/ジェイソンは生きていた!』で生きていたことも判明するので、ジェイソンにとってはあくまで休憩といった程度のことでしょう。たとえその肉体を失ったとしても、“伝説”は生き続けるのです。
1995年創業の「キャラクターショップ」。株式会社Ampusが運営する実店舗(高円寺店)、およびショッピングサイトで洋画やアメコミ、ゲームを中心としたフィギュアなどを始め、「豆魚雷」でしか買えない限定商品やオリジナル商品を多く取り扱っている。
最新情報は公式サイトhttps://mamegyorai.jp/をご確認ください。

