史上最速の興収100億円超えを記録!『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』は夏休み効果を受け、どこまで映画界全体への経済効果をもたらすのか
7月25日から7月27日までの全国映画動員ランキングが発表。今週ももちろん、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(公開中)が圧倒的な強さを発揮。まずは同作の成績と、新たに打ち立てた記録からチェックしていくことにしよう。
夏休み効果で“鬼滅旋風”が加速!公開10日で『無限列車編』対比120%
前週、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(20)が打ち立てたオープニング記録を大きく上回る驚異的なスタートを切った『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』。公開8日目にあたる7月25日に、『無限列車編』よりも2日早い史上最速ペースで興収100億円の大台を突破した同作は、週末3日間で観客動員212万1000人、興行収入30億9900万円を記録。
これはオープニング週末との比較でそれぞれ55%程度。やや大きな下落に見えるが、それでもベースとなる数字があまりにも大きい以上、まったく問題はないだろう。また『無限列車編』の公開2週目は週末2日間で動員227万3000人&興収30億4100万円だったので、週末成績だけで単純に比較すると見劣りするかもしれない。しかしながら、今作は夏休みのまっただなか。平日にも動員が分散していると考えれば、やはり想像以上の推移といえよう。
現に、7月27日までの公開10日間の累計成績は動員910万4483人&興収128億7217万6700円と、『無限列車編』の同時点での累計成績(動員798万人&興収107億円)をはるかに上回っている。これを書いている時点で動員1000万人に到達していても不思議ではない勢いであり、すでに日本歴代興収ランキングの第29位まで浮上。『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』(公開中)を抜き去って2025年公開映画のNo.1に躍りでるのも時間の問題だろう。
そんな“鬼滅旋風”のなかSNSなどで散見しているのは、全国各地の映画館でコンセッションが大混雑となっていたり、ドリンク用の氷が底を尽きたという話。あるいはこれだけの上映回が用意されているにもかかわらず満席で入場できず、ほかの作品に流れた人がいるという話など。もはや“鬼滅旋風”は、一本の映画の一人勝ちという状況を生みだしているのではなく、映画界全体に大きな経済効果をもたらすものだと考えることができる。
振り返ってみれば、コロナ禍のまっただなかに公開された『無限列車編』は、映画館に観客を呼び戻す起爆剤となり、日本の映画業界にとって“救世主”となった作品。とはいえその前後1か月に公開された作品で興収20億円を超えていたのは『TENET テネット』(20)と『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(20)の2本のみ。動員も落ち着いた公開1か月後にスタートした年末シーズンにはヒット作が多々見受けられたが、目に見えてほかの作品への波及効果があったとは判断しづらかった。
だが今回は夏休み興行の最盛期と重ねてきたこともあり、1か月以上前からもう一つの“旋風”を巻き起こしている『国宝』(公開中)や後述する新作タイトルなど各社の注目作が真っ向から追随するかたちに。それは8月に入ってからさらに加速することは間違いない。こうなれば各映画館に求められるのは、“鬼滅旋風”をより効果的に機能させ、“映画館全体が最大限まで盛り上がった夏”となるような上映スケジュールが組まれることであろう。