『スーパーマン』が北米V2達成も、海外興収でまさかの苦戦!?『ジュラシック』『ラストサマー』『スマーフ』と、リブート作品が上位を独占
先週末(7月18日から7月20日まで)の北米興収ランキングは、引き続きジェームズ・ガン監督による“新生DCユニバース”の第1弾『スーパーマン』(日本公開中)が首位をキープ。週末3日間の興収は前週比46.8%の5845万ドルで、20日時点での累計興収は2億3000万ドルを突破。平日に入ってからも安定して興収を積み重ねており、『真ン・オブ・スティール』(13)の北米興収2億9100万ドルをすでに射程圏内に収めている。
そうした北米での順調さと相反するように、伸び悩んでいるのは海外興収。現時点で全世界興収は4億3000万ドルを突破しているが、その60%が北米でのもの。近年世界的なヒットを記録する作品の場合、全世界興収のうち北米興収が占める割合は50%以下がほとんどで、極端に海外で盛り上がる作品を除けば基本は3〜40%に落ち着く傾向にある。逆に北米興収が70%を超えている『罪人たち』(日本公開中)のように作品の持つ文化的側面から北米に偏重する作品もあるが、『スーパーマン』のようなヒーロー映画でそれは珍しい。
ちなみに『マン・オブ・スティール』の海外興収は3億7910万ドルで、全世界興収のうち北米が43.4%で海外が56.6%。また『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』(17)では5億4400万ドルで、北米37.8%に対し海外が62.2%。比率もさることながら、そもそもの海外興収額からも苦戦を強いられていることがよくわかる。その要因として海外でのスーパーマンの知名度や、国際的に高まっている反米感情があると分析されており、それらは当然一朝一夕で解決するものでもない。このハードルを乗り越える策を見つけるか、あるいはカバーするだけの北米興収をあげるか。今回の『スーパーマン』はなかなか複雑な戦いのなかにあるようだ。
ところで、この『スーパーマン』や2位を守った『ジュラシック・ワールド/復活の大地』(8月8日日本公開)を含め、上位4作品がすべて“リブート”作品になったのは興味深い。3位に初登場を果たしたのは、1990年代に「スクリーム」シリーズと双璧をなした「ラストサマー」シリーズのリブート続編となる『I Know What You Did Last Summer』。初日から3日間で興収1275万ドルという成績は、25年以上前に公開された旧シリーズの第1作や第2作をも下回る、少々苦しいスタートだ。
もっとも、「スクリーム」のリブート続編も興行面では旧シリーズと同程度だったので、こうした数字自体はさほど大きな問題ではないかもしれない。元を辿れば「スクリーム」の二番煎じと言われ、批評面も壊滅的だった旧「ラストサマー」シリーズ。それでもこうしてリブートされたように、興行的・批評的な成功よりも重要なのは、いかに若者たちの夏の娯楽の一つとなり、数多ある同タイプの作品のなかで“残る”作品となるか。それを踏まえれば、まだこの作品の成否は一概に判断できないのである。
また4位には『劇場版スマーフ/踊るキノコ村の時空大冒険(パラレルアドベンチャー)』(9月19日日本公開)が初登場。表向きにはベルギーのイラストレーターであるペヨの人気キャラクターを原作として2011年から2017年に3作品公開された「スマーフ」シリーズの続編のようだが、その3作はソニー・ピクチャーズ・アニメーション製。今回はパラマウント・アニメーションが手掛けており、事実上のリブートということになる。
ソニー時代の3作は実写とアニメのハイブリッドで3部作展開する予定だったのが、製作費の高さや批評の惨敗などさまざまな要因によって途中で計画が見直しになり、第3作『スマーフ スマーフェットと秘密の大冒険』(17)だけがフルCGアニメとなる結果に。今作は製作費が5800万ドルでオープニング興収が1107万ドルと、『スマーフェットと秘密の大冒険』と比較するとどちらも微減。作品評価もやはり伸びておらず、今回も苦戦を強いられることになりそうだ。
文/久保田 和馬