「音も画もデカいほどイイ!」白石晃士監督が語る映画館の楽しみ方や観客へのメッセージ、『近畿地方のある場所について』への想い【連載「I’m a moviegoer」】
「大人になって新鮮な思いを重ねながら映画体験ができるのは、やっぱりデカいスクリーンとデカい音に尽きる」
――白石監督の著作「フェイクドキュメンタリーの教科書:リアリティのある“嘘"を描く映画表現 その歴史と撮影テクニック」を拝読すると、プロの監督になったら忙しくて映画館に行く時間がなくなったと書かれていましたね。
「まあ忙しさにも波がありますけど、あの本を書いた頃からいまでも基本的にはあんまり行けてないんです。どうしても観たいっていう気持ちはずっと心の中にあって、いつも隙あらばと思ってるんですけど。ふっと帰り道とかに「あれ?今日帰る時間ちょっと半端だし、帰ったら子供も寝る頃だし、ちょっと映画1本観て帰ってもいいかな」みたいな時があると、ちょうど観られる映画を探して行ったりしてますね。最近は『近畿地方~』の対抗馬だと思って『見える子ちゃん』と『ドールハウス』と『きさらぎ駅Re:』は観に行きました(笑)」
――ホラー業界のライバルたちの映画はいかがでしたか?
「皆さん本当にそれぞれの良さを発揮して、おもしろい作品を作ってるなと思いましたよ!」
――日本最大級のスクリーンであるグランドシネマサンシャイン池袋のIMAXレーザーGTは観に行ったことはありますか?
「はい、自分の家から池袋はちょっと距離があるんですけど、何度か行ってます。ちょっとお値段は張りますけど、やっぱり『映画を観た!』って感覚になりますよね。一番最初、劇場に入った時に『スクリーンデケぇえ!』みたいな気持ちになるじゃないですか。あと、あそこは低音がやっぱりスゴくて後ろの方の席でもブルブルって震えるのも、すごく映画を観に来たなぁっていう感じがして好きですね」
――以前に4DX映画を撮られたりもしていますが、IMAXレーザーGTのサイズで作ってみたいとか思うことってありますか?
「いやあ、いまはないですね。やっぱり、あの巨大な画面に耐えられるだけの予算をかけないとあのスクリーンにかける価値がない気がするんです。私はそこまでの予算をまだ扱ったことがないし、そうなったらやりたいと思うかも知れないですけど、ハリウッドでもごく一部の超大作しか許されてないですからね。ただ観客としてIMAXで楽しむ作品はやっぱり観たいです。大人になって新鮮な思いを重ねながら映画体験ができるのって、やっぱりデカいスクリーンとデカい音に尽きるんですよ。私は作る時は音質にもこだわりますけど、観るぶんにはただ音がデカくて画もデカい!もうそれだけを本当に欲してるんです(笑)。もしIMAXの3倍ぐらいの劇場があったらもっと最高だなと思ってるくらいで、デカけりゃデカいほどイイです!」
――白石監督には映画館にお客さんを呼び込むことに強いこだわりがある印象がありまして、以前、映画関係者がSNSで「映画興行は初動の成績が大事だから初週に映画館に来てください」とお願いしていることに苦言を呈されていましたよね。
「あれは確か、当時はまだ映画は土曜公開だったので『最初の土日に行ってくださいね』みたいに言ってる人が結構いたんですよ。でも映画はどぶ板選挙じゃないですからね、『映画館は楽しい場所ですよ!』って呼び込まないとダメでしょうっていう思いはすごくあります。自分は思ってもみなかった遠くまで連れてってくれるような映画が好きですし、お客さんにも何かを持って帰ってほしい、見始めからは考えられないようなところまで連れていきたいっていう思いがやっぱりあるんです。そのためにも、映画を宣伝するならお客さんを楽しませようとしてくださいよっていうことは本当に思いますね」
――『ノロイ』の公開時には劇中の登場人物のブログを実際に作ったりされていましたよね。ああいう仕掛けはやっぱり映画をより楽しんでもらうためですか?
「そうですね。『ノロイ』はフェイクドキュメンタリーという作りで、現実かフィクションかわからないようなモンド映画的な宣伝の仕方をしていたので、ああいう仕掛けも楽しめるなと思ったんです。あと当時は本当にお金がなくて、ちょっとバイト代ももらえたんで書いてたというのもありましたけど(笑)」
――「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」シリーズの上映では、監督が映画館にやってきて、A4の紙に印刷した手作りパンフレットを200円で売ったりしてましたよね。
「あれはやっぱり劇場に来たお客さんに、記憶に残してほしくてやってました。あのパンフを作ったのも、映画館でこういう楽しい体験をしたという記憶を思い出す装置として役に立つと思ったんです。『映画館に行って楽しかったな、サインもらったな、なんかテンション上がったな』みたいな気持ちを思い出してくれればくれるほど、もう一回劇場に足を運んでくれる可能性が高くなると思うんです。いまでもまた時間ができればやりたいですね。余計なことをするなって宣伝部から言われることもありますけど(笑)」
カラー:ホワイト・ブラック
サイズ:M、L、XL
販売価格:5,500円(税込)
発売店舗:
(オンライン販売)MOVIE WALKER STORE ※8月9日 10:00~予約販売
https://store.moviewalker.jp/item/detail/1249
(店頭販売)グランドシネマサンシャイン池袋 4Fストア 8月9日劇場オープン時より発売中
https://www.cinemasunshine.co.jp/theater/gdcs/
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