二宮和也、『8番出口』“8つの異変”が仕込まれた88mイエローカーペットで笑顔!「いっぱい写真を撮ってもらって楽しい」
世界的大ヒットを記録したゲームを実写映画化した『8番出口』(8月29日公開)の国内初イベント「88m無限ループカーペットアライバル」が7月22日にlivedoor URBAN SPORTS PARK ブリリアランニングスタジアムで行われ、二宮和也、小松菜奈、河内大和、川村元気監督が出席。“8つの異変”が仕込まれた88メートルのイエローカーペットに登場し、約650名の観客から歓声を浴びた。
登壇者陣はまず、「0番出口」と書かれたスタート地点にラインナップ。カーペットに仕込まれた“8つの異変”を見つけながら、「8番出口」から外への脱出を試みることになった。二宮らは集まったファンに手を振りながらもあちこちに目を凝らしながら歩くなど、異色のカーペット歩行にチャレンジ。劇中さながらの企画に会場も大いに沸き返っていた。ファンによる写真撮影がOKとなる場面もあり、二宮は「いっぱい写真を撮ってもらって。『ニノ、ニノ』と言ってもらって。楽しかったです」と観客と一体となったイベントを大いに楽しんでいた。
今年5月には、第78回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクションの「ミッドナイト・スクリーニング部門」へ正式招待された本作。すでにアジア、ヨーロッパなど100以上の国と地域での上映が決定するなど、世界を巻き込んで話題となっている。脚本も務めた川村監督は「原作のゲームには物語がない。“異変があったら引き返して、なかったら前に進む”というシンプルな2択を繰り返すゲーム」と切り出し、「二宮くん主演で映画を作りたいなと思った時、このゲームのルール自体が物語にならないかなと思った。大きな人生の2択を迎えた主人公が通路のなかに入っていて、目の前の2択を繰り返すなかで、大きな答えが出るという物語」と構想について説明。「二宮くんと毎日、打ち合わせをしながら物語を作っていった」という。
さらに川村監督は「『ゲームの題材を映画にすると失敗するよ』といろいろな人からおどされた」とぶっちゃけつつ、「ゲームに対する理解がないとダメ。二宮くんは自分のことを、『主演兼、テストプレイヤー』という言い方をした。現場でまずやってみて、編集をその場でやって、みんなでそれを見て。夜になったら脚本を書き直して、またリテイクをするという、まるでゲームを作るような作り方をした。そういうやり方を理解してくれるのは、二宮くんしかいない」と8番出口を求めて“迷う男”を演じた二宮への絶大な信頼感を口にしていた。
「うれしいですね」と監督からの言葉を噛み締めた二宮は、「監督も含めて、『これだ』という案を1秒でも早く出すという現場。すごく有意義で殺伐とすることもなく、みんなで『やろうか』と集まってやる。楽しかったです」と充実感を語る。「脚本協力」という形での参加となったが、「元気さんじゃないと、そういう提案をしていただけなかったと思う。現場ですべて変わってくるという毎日」と特別な映画作りとなり、「現場のスタッフたちもみんなでアイデアを出し合って、なんとか完成にたどり着いた」と晴れやかな表情を見せていた。
大ヒットゲーム「8番出口」の象徴とも言えるスーツ姿のおじさんである“歩く男”を演じた河内について、川村監督は「『似ているな』と思った」とゲームのビジュアルそっくりであることに加えて、「似ているだけではダメ。この役柄のお芝居の9割は、歩くこと。河内さんはもともとシェイクスピアなどの舞台をやられていて、歩くということをトレーニングしてきた方。機械のように、正確に歩く特技を持っている」とこれ以上にないキャスティングが叶ったと話していた。
二宮によると、河内が演じる“歩く男”が撮影現場に現れた時には「スタッフみんながどよめいちゃった。それくらい似ていた」とのこと。川村監督も「完璧にやっていただいた。カンヌでは『あれはCGなのか』と言われた」と称えると、河内は「うれしいですね」と破顔し、「舞台で歩くことについてかなり研究してきたところもある。僕だったらお役に立つことができるかなと思っていたけれど、最初に撮影に向かう時には『これで合っているのか』とめちゃくちゃ緊張した」と告白。スタッフによるどよめきを耳にした時は「本当にうれしかった」と安堵したことを明かしていた。
また河内は、二宮との共演に格別な喜びがあるという。「若い時に新聞配達のバイトをしていた。新潟で雪が積もって、滑ると新聞が落ちてしまったりと辛かった。そういう時には嵐の曲を聴いて頑張っていた」と照れ笑い。お気に入りの楽曲は「Happiness」だそうで、「あの曲がなかったら、あそこで終わっていると思う。それくらい毎日嵐の曲を聴きながら配達していた。ありがとうございます!」と感謝を込めた。二宮が「Happiness世代」と目じりを下げるなか、河内は「嵐さんのライブの設営とかもやっていた。まさか共演できるなんて思わなかった。だからうれしくて、うれしくて。『VIVANT』の時も抱きつきにいきたかった。でも敵対する役だったので…」と前回の共演を振り返ると、二宮も楽しそうな笑顔を見せていた。
役柄など詳細は一切不明の“ある女”を演じたのが、小松だ。川村監督は「とても信頼している女優さん」と笑顔。「恐ろしいという役割と、人間らしいというところ。その両極をやらなくてはいけない役。その両極性をズバッと出せるのは小松さん。どうしても出てほしかった。プライベートもお忙しいので、『なぜ小松さんなのか』というお手紙を書いた」と熱烈オファーしたとのこと。小松は久々の映画出演で「緊張がループしてしまった」と苦笑い。そんなか二宮の存在にとても助けられたといい、「二宮さんはいろいろなところに目が付いているんじゃないかというくらい、全体を俯瞰したり、いま起きていることだったりを見ている。人としてもずっとフラットでいてくれる。ずっとブレない。頼りにしていました。座長としてすばらしいと思う存在でした」とお礼を述べる。二宮は「褒められるのは気持ちいいですね!」と素直に話して会場を笑わせていた。
取材・文/成田おり枝