『ジュラシック・ワールド/復活の大地』が想定以上のオープニングで北米V発進!“新章”効果でサマーシーズンの主役となるか?

『ジュラシック・ワールド/復活の大地』が想定以上のオープニングで北米V発進!“新章”効果でサマーシーズンの主役となるか?

前週の当記事でもお伝えした通り、アメリカ独立記念日にあわせるようにして7月2日の水曜日に北米公開を迎えた『ジュラシック・ワールド/復活の大地』(8月8日日本公開)。7月4日から7月6日までの週末興収ランキングでは予想通り、なんの危なげもなく首位スタートを飾った同作だが、はたしてこのまま期待通り“夏の主役”となってくれるのだろうか。

シリーズの大団円から3年…「ジュラシック」が新章へ突入!
シリーズの大団円から3年…「ジュラシック」が新章へ突入![c]2025 Universal Studios. All Rights Reserved.

不安要因があるとすれば、やはり北米でのオープニング成績であろう。水曜日公開の影響で分散したのか、週末3日間の興収は9201万ドル。当初の予想(8000万ドル)を上回ることには成功し、かつメジャー大作として申しぶんのない数字ではあるが、直近の「ジュラシック・ワールド」3作がいずれも1億ドルを超えるオープニングだったこと(ましてや『ジュラシック・ワールド』にいたっては2億ドルを突破していた)を踏まえれば、若干インパクトに欠ける点は否めない。

ちなみに今回の『復活の大地』の制作費は1億8000万ドル。前作『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(22)が同1億8500万ドルで、その前の『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(18)が同1億7000万ドルだったので、新章突入に伴って大幅にグレードアップしたというわけではない。ただ、「ワールド」3作のオープニング興収をそれぞれの制作費と比較してみると、順に97%、87%、78%と徐々に低下しており、今作の場合は51%。初日から5日間の興収成績でようやく82%と、前作の水準に届いたのである。

人類を救う新薬開発のため、恐竜のDNAサンプルを確保するミッションに挑む
人類を救う新薬開発のため、恐竜のDNAサンプルを確保するミッションに挑む[c]2025 Universal Studios. All Rights Reserved.

スティーヴン・スピルバーグが手掛けた『ジュラシック・パーク』(93)を皮切りに始まった「ジュラシック」シリーズ。映画技術の進化を示した「パーク」3作が2001年に完結し、「ワールド」開始までのブランクは14年。その間に映画技術はさらに革新が重ねられていき、「ジュラシック」シリーズ自体の価値と新たな物語への期待値がぐんぐんと高まっていったことが、『ジュラシック・ワールド』の驚異的なメガヒットへと繋がったことはいうまでもないだろう。

ゆえに、観客の多くが「ジュラシック」に求めていることは“目新しさ”であるとも考えられる。現に「パーク」3作と「ワールド」3作、どちらも共通して、作品を重ねるごとに興収が大きく下落しているのである。なかでも第1作から第2作にかけての下落は大きく、「パーク」の場合は北米で1億5000万ドル、全世界で3億5000万ドル、「ワールド」でも北米で2億ドル強、全世界では3億6000万ドルも下落。今作はキャスト・ストーリーを一新したとはいえ、「ジュラシック」の大団円を謳った前作からわずか3年。この点がどう影響するかが大きなカギとなりそうだ。

【写真を見る】大キャンペーンの効果でシリーズ2位の全世界興収!期待通りのメガヒットは確実?
【写真を見る】大キャンペーンの効果でシリーズ2位の全世界興収!期待通りのメガヒットは確実?[c]2025 Universal Studios. All Rights Reserved.

もちろん製作・配給のユニバーサルの力の入れようはこれまで以上。プロモーションは昨年の夏にスタートし、ソーシャルメディアを駆使したキャンペーンのリーチ数は前作を億単位で上回っているとも報じられている。その効果は北米よりも海外のほうが大きいと見え、全世界での初動興収はシリーズ歴代2位の3億2250万ドル。事前の予測では2億6000万ドルと見込まれていたので、それを120%以上も上回ったことになる。

一方、気になる作品評価だが、批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば批評家からの好意的評価は52%、観客からのそれも72%と伸び悩み気味。だが批評家やこうしたレビューを投稿するコア層からの作品評価が興収成績にあまり影響しないのが「ジュラシック」シリーズの特殊なところ。それだけ広いところに開かれたシリーズであるという証左であり、現時点で「ワールド」3作ほどの爆発力はなくとも、作品のメガヒット自体は揺らがないだろう。


文/久保田 和馬

関連作品