最新作はA24製作の不条理ドラマ『顔を捨てた男』!『アプレンティス』に『サンダーボルツ*』など出演作が続けて公開のセバスチャン・スタンのこれまで

最新作はA24製作の不条理ドラマ『顔を捨てた男』!『アプレンティス』に『サンダーボルツ*』など出演作が続けて公開のセバスチャン・スタンのこれまで

2025年に目立っているハリウッドアクターは誰かと問われたら、セバスチャン・スタンの名を挙げる映画ファンも多いのでは?『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』(24)では米国大統領の若き日を演じて第97回アカデミー賞主演男優賞にノミネート。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』(24)と『サンダーボルツ*』(25)では当たり役のヒーロー、ウィンター・ソルジャーことバッキー・バーンズに扮して健在をアピール。さらに注目の主演作『顔を捨てた男』も公開に。この機会に、脂の乗った42歳の俳優の歩みを振り返ってみよう。

第74回ベルリン国際映画祭、第82回ゴールデン・グローブ賞の主演男優賞を受賞した(『顔を捨てた男』)
第74回ベルリン国際映画祭、第82回ゴールデン・グローブ賞の主演男優賞を受賞した(『顔を捨てた男』)[c] 2023 FACES OFF RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

キャプテン・アメリカの親友、バッキー・バーンズの数奇な運命を体現!

スタンは1982年8月13日、ルーマニア生まれ。12歳の頃に、母の再婚に伴いアメリカに移住する。ティーンの頃から演技のおもしろさに目覚め、大学在学時にロンドンに留学し、名門シェイクスピアズ・グローブで1年間、演劇を学んでいたこともあるというから本格派だ。その後、俳優活動を開始すると映画やテレビシリーズに出演するようになり、「ゴシップガール」のレギュラーになるなどジワジワと注目度を高めていく。

「ゴシップガール」にレギュラー出演
「ゴシップガール」にレギュラー出演[c]Everett Collection/AFLO

ブレイクへとつながったのは、なんといってもMCUの『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』(11)だろう。主人公キャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)の親友であるバッキー・バーンズを演じたことで彼の名は広く知られるようになり、『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』(14)以後はバッキーの数奇な運命を体現し、キャラクターの魅力をアピール。2021年にはドラマシリーズ「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」も製作され、いまやMCUに欠かせない存在となっていることはご存知の通り。

キャプテン・アメリカの前に暗殺者ウィンター・ソルジャーとして立ちはだかる(『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』)
キャプテン・アメリカの前に暗殺者ウィンター・ソルジャーとして立ちはだかる(『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』)[c]Everett Collection/AFLO

『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』での暴力的な夫役で強烈な印象を残す

一方で、スタンの演技派としての評価もグングンと高まっていく。リドリー・スコット監督の『オデッセイ』(15)、ジョナサン・デミの『幸せをつかむ歌』(15)、スティーヴン・ソダーバーグの『ローガン・ラッキー』(17)と、名だたる鬼才たちの作品に出演して個性を発揮。なかでも、悪名高き女子フィギュアスケーターの実話を描く『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(17)では、元スケート選手トーニャ・ハーディング(マーゴット・ロビー)の暴力的な元夫を演じて強烈な印象を残した。アメリカの金融マーケットを激震させた大事件が題材の『ダム・マネー ウォール街を狙え!』(23)での好助演も忘れ難い。

スケート選手トーニャの暴力的な元夫を演じた『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』
スケート選手トーニャの暴力的な元夫を演じた『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』[c]Everett Collection/AFLO

さらに、同じく実話に基づく歴史ドラマ『ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実』(19)、ラブストーリー『マンデー』(21)では主演を務め、スタンの存在感はますます増していく。そういう意味では、高評価だった2本の主演作を経た2024年は、彼にとって記念すべき年だったのかもしれない。

ベトナム戦争の英雄への名誉勲章授与をめぐる実話に基づく『ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実』
ベトナム戦争の英雄への名誉勲章授与をめぐる実話に基づく『ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実』[c]Everett Collection/AFLO

ドナルド・トランプが乗り移ったかのような凄みのあるキャラクターを作り上げた

1つ目の『アプレンティス~』では、野心的だが気弱な若者が、どのようにして現在のドナルド・トランプになっていったのかを劇的に表現してみせた。はっきり言って、スタンはトランプとはまったく似ていないが、それでもトランプが乗り移ったかのような凄みのあるキャラクターを作り上げており、アカデミー賞ノミネートも納得がいく。

繊細な青年はいかにして現在につながるドナルド・トランプになったのか?(『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』)
繊細な青年はいかにして現在につながるドナルド・トランプになったのか?(『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』)[c]Everett Collection/AFLO


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