高橋ヒロム、初の描き下ろし絵本「とびだせ！ ハナゲくん」刊行記念イベントで「アニメ化、狙ってます！」

新日本プロレス所属のプロレスラーである高橋ヒロムが、初の描き下ろし絵本「とびだせ！ ハナゲくん」を上梓。7月5日に代官山 蔦屋書店で行われた刊行記念イベントに出席した。

「とびだせ！ ハナゲくん刊行記念イベント」が行われた

IWGPジュニアヘビー級王座やIWGPタッグ王座などを戴冠し、熱いバトルを繰り広げる新日本プロレス所属のプロレスラー高橋ヒロム。本書はMOVIE WALKER PRESSでの約1年間の連載を経て、書籍化が実現したもの。高橋が小学生のころに思いついたキャラクター、ハナゲくんを主人公に、ひょんなことから外の世界へと飛びだしたハナゲくんが、初めて見る世界に感動しつつも、家族の待つ鼻のなかに戻ろうと奮闘する姿を描く。心癒されるタッチの絵、心躍るストーリー、そして自分らしい生き方についても考えさせられる、子どもも大人も必読の一冊となった。

慣れないイベントに「緊張します」と話した高橋ヒロム

「高橋ヒロム先生です」と呼び込まれた高橋は、リングとは違った雰囲気の会場の様子に緊張しきり。「プロレスラーが絵本を出すということは、多分初めてだと思う」と切りだしつつ、この日は読み聞かせ＆サイン本お渡し会も行われることから、「レスラーで読み聞かせイベントをしたことがある人はいないと思う。初めて尽くしなので楽しみです」と硬くなりつつも、興奮を口にしていた。

気になるのが、なぜハナゲをテーマに絵本を描いたかということ。高橋は「最近の人類はみんな、気にしすぎてしまっているのかなと感じるんです」という想いがきっかけとなったと明かし、「人と会ってふと見た時に、ハナゲが出ている人がいる。初対面の人だと、『ハナゲが出ている』とは言いづらいじゃないですか。でも別に出ていてもいいんじゃないかと思う。そういう感情が心のなかに出てしまっている時点で、気にしすぎてしまっている。それはよくないなと思ったので、わかりやすくハナゲを題材にしました」とコメント。「気にするという感情は大事だけれど、異常なほど気にしすぎてしまうと争いごとに発展してしまう」ともっと気楽に、自由に生きようというメッセージを込めたと話す。

ハナゲくんに愛情を傾けた

“ハナゲくん”は、「小学校4年生くらいのころに描いていたキャラクター。当時はシンプルに好きで、おもしろいと思いながら描いていた」キャラクターだったという。高橋は、「メキシコ遠征に行った時に、トップ選手であるネグロ・カサス選手にお会いして。すると、すごい量のハナゲが出ていた。これはもう逆にオシャレだな、ファッションなんじゃないかと思うくらいで、『出ていますよ』と言うのも違うなと思うくらい、ハナゲが出ていた。その時に、なんて俺って小さい人間なんだと感じた」と苦笑い。いまの自分の考えを投影するのにぴったりなキャラクターとして“ハナゲくん”を思い出したそうで、「この本で、そういう感情を表せられたらなと思った」と自分はもはや気にしすぎる性格を治すことはできないが、本書を通して子どもたちが「気にしすぎなくていい」という感情に気づいてくれたらうれしいと笑顔を見せていた。

【写真を見る】プロレスラーの高橋ヒロム、読み聞かせで才能を発揮！

「自分が絵本を出すとは思わなかった」という高橋だけに、絵を描くうえでは苦労もあった様子。高橋は、「全然、絵がうまくない。何回も悩みました。正直、何回か泣きました。苦しかったです」と制作過程を告白した。とは言いつつもユーモアと温かみがにじむ、高橋らしい絵となっており、「味がある」という声をかけてもらうことも多いという。高橋は、「なんとか頑張って描いてよかったなと思います。『味がある』っていい言葉ですね」とにっこり。ブックデザインを手掛けたのは、祖父江慎。祖父江との対面は緊張しつつも、とても刺激的なものになったことを打ち明けながら、「すごくうれしかったです」と完成した絵本を手にした時には感激したと語っていた。

子どもも大人も必読の一冊となった

これからの展望について、「アニメ化しか狙っていない」とニヤリとした高橋。さらに「アニメ化して、その後は実写映画。そしてハリウッドですか」と壮大な夢を口にした。記者から「声優は誰がいいか？」という質問があがると、まだアニメ化が決定する前から「先にオーディションを開催しちゃうというのは、どうでしょう。我こそはハナゲくんだという方。男性、女性、誰でも構わないです。俺が、私がハナゲくんにふさわしいんじゃないかという、オーディションを開催するというのはアリ」と作戦を練って、会場の笑いを誘った。トークショーの後には絵本の読み聞かせを実施した高橋だが、やさしく、いい声で感情を込めながら絵本を読み始め、キャラクターごとに声を変えたり、メロディやリズムをつけたりと、意外な才能を発揮し、記者から「うまい…」と声が上がるひと幕もあった。高橋は「ハナゲくんは旅に出たので、これからいろいろな人の手に渡ってほしい」と願いつつ、「よろしくお願いします！」と熱心にアピールしていた。

取材・文/成田おり枝