新日本プロレスのプロレスラー高橋ヒロムが初の描きおろし絵本「とびだせ! ハナゲくん」を上梓!
新日本プロレス所属のプロレスラー高橋ヒロム初の描きおろし絵本「とびだせ! ハナゲくん」上梓。MOVIE WALKER PRESSで約1年間の連載を経ての発売となった。7月5日(土)の代官山 蔦屋書店を皮切りに、名古屋みなと 蔦屋書店、梅田 蔦屋書店にてぬいぐるみなどのグッズ販売もある出版イベントも開催する。IWGPジュニアヘビー級王座やIWGPタッグ王座などを戴冠し、熱いバトルを繰り広げるトッププロレスラーである高橋ヒロムが一転、心癒されるタッチの絵と心踊るストーリー、そして自分らしい生き方についても考えさせられる、子どもも大人も必読の一冊を生みだした。プロレスラーと絵本作家、一見真逆とも言える活動の共通点とは?
「気にしすぎなければ争いなんて生まれない」
――ハナゲくん誕生について教えてください。
「ハナゲくん自体は小学生の時に描いていたキャラクターで、なにか連載を始めませんかというお話をいただいた時にふと思い出したんです。そこからハナゲくんを題材にした絵本に挑戦したいと決めました。あのころのキャラクターがいまに生きるんだったらすごくうれしいなと思ったんです。
今回描いたハナゲくんと小学生のころでは、自分の経験も踏まえてだいぶ変わったと思います。絵本にするにあたって、ハナゲに対するイメージを改めて考えていて思い出したのが、メキシコのルチャドールであるネグロ・カサス選手。メキシコ遠征時代にお会いした選手で、信じられないくらいブワッとハナゲが生えていたんです。あまりにも自然体で。『ハナゲが出てるよ』と言いたくなる自分が変なんじゃないかと思わせるくらいかっこよく生えていました。
そうやって思ってしまっている時点で、もう子どものころのような純粋な気持ちには戻れないんだなと思って。この感情こそ気にしすぎだな、と。気にしすぎているからこそ、ハナゲが1本でも生えている人を見ると、朝鏡見たの?と思っちゃう、この性格が嫌だなと感じたんですよね。気にするという感情は大切な感情ですが、それが行き過ぎると人はちょっとおかしくなってしまう。気にしすぎなければ争いなんて生まれない、そういう思いで描かせていただきました」
――出来上がった本を見た時の感想はいかがでしたか?
「めちゃくちゃ感動しました。まず表紙を見て、いい表紙だなと思いましたね。本って手触りも重要なパーツだと思っているんですが、1ページ目のこの紙質というか手触りというか、ちょっと画用紙風というかザラッとした手触りがもう最高でした。サイズも自分は好きです。祖父江慎さんにまさかブックデザインをしていただける日が来ると思いもしなかったです」
――祖父江さんとも実際にブックデザインの打ち合わせをされていましたが、祖父江さんの印象いかがでしたか?
「正直に言っていいですか。やっぱり、いい意味で狂ってるなと(笑)。天才気質というか、普通じゃない人ですね。最初会った時はすごく緊張しましたけど、打ち合わせを進めるうちに、自分の意見を言いやすい空気感を作ってくださいました。自分自身のこだわりを伝えたほうが逆に失礼に当たらないだろうと感じて、率直な意見も伝えさせていただきました」
「刺さる人には刺さってる、これはあるんじゃないかと(笑)」
――絵本を出版されて一番うれしかったことはなんですか?
「早速友達のお子さんが読んでくれて、『うちの子けっこうハマってるよ』『このキャラクター気に入っているよ』と言ってくれて、とてもうれしかったですね。子どもたちに刺さるのはやっぱりうれしいです。大人からは『これ実は大人向けだよね』。『親側もためになった』と言ってもらえて、自分の狙いが伝わっているようで安心しました。意外と刺さる人には刺さってる、これはあるんじゃないかと(笑)。初動はたぶんプロレスファンにしか届かないけど、そこから徐々に誰かの目に留まり、誰かの手に取られ、おもしろいじゃん、と。誰かが話してくれることによって自然と広まる。自分の計算では2年後くらいにハナゲくんブームが来るんじゃないかと。いまのところは狙い通りです」
――描いていて大変だったところは?
「絵は好きで描いていましたけど、いざちゃんとした媒体に載るよってなると、またけっこう気持ちが変わってくると言うか。それこそ気にしすぎちゃったんですよ(笑)。何度か泣きたくなることがありました。絵を描くって大変だな、と。もっと上手く伝えたいのにこの絵の表現力では伝えられない、と悩みました。『ストーリーは自分で考えるけど、絵は違う人が描きませんか?』とスタッフさんにも相談していました(笑)。自分の100%の気持ちを表現してくれる人が絶対いる、と思ってましたから。もし今後、これをアニメ化してくださる方とか、続編を描きたいとプロの方がいらっしゃいましたら、ぜひお願いしたい気持ちです! ハナゲくんは今回旅に出たので、この旅の続きはもう自分の描くことではないと。ちゃんとした方に、ちゃんと伝えてほしいという気持ちはありますね」
――闘争心を前面に打ち出すプロレスラーのお仕事と、人をやさしい気持ちにさせる絵本作家のお仕事、大きなギャップがあると思うのですが、その点で難しかったことなどありますか?
「自分の中にギャップというものは存在しなかったですね。闘争心むき出しで描いてましたから。1つの闘いでした、絵を描くのは。帯で『気にしすぎだよ人類!』と言っていますが、自分にも向けた言葉だったんだなと。『どうにかして誰かにひっかかれー!』と思って描いてました」
「子どもたちにはありのまま楽しんでほしいです」
――こういう子たちに届けたい、といった気持ちはありましたか?
「それは描き終わったあとに生まれました。描いてる時は必死でしたから。描き終わったあとに優しい気持ちに戻るというか。大人って全員やらしいと思うんですよ、大抵。自分にとってプラスになることを第一に考えていると思うんですよ。もちろん、相手がよくなって自分もよくなるっていうのが一番いいことなんですけど。だからこそ、とにかく売れてほしい。なにかでバズれ、というやらしいことしか考えてなかったです(笑)」
――というやらしい気持ちがむき出しですが、子どもたちにはどういうふうに読んでほしいですか?
「子どもたちにはありのまま楽しんでほしいです。このあとがきを読めるようになった時に、『ああ、作者の人はこういう気持ちで描いていたんだ』っていうのをわかってくれたらうれしいです。そういうふうに二段階の楽しみ方ができるのは子どもたちだなと思っています。ハナゲくんというキャラクターを愛して、そういえばハナゲくんなんて絵本読んでたなぁーって大人になって思い返して、そのときにあとがきを読んで感じることがあれば、それが自分の中でベストです。なので、まずはハナゲくんっておもしろいな、風に吹かれたら裸になるんだ、とかでいいんですよ。とにかく絵を楽しんでもらえれば」
――描き終えたいま、どうですか? 気にしすぎてる自分がいますか?
「めっちゃ気にしますね。いやもう無理なんですよ。この気にしすぎるという感情が芽生えてしまった時点で、手遅れだなと。だからこそ、この絵本を手に取った大人が、お子さんに読ませたあとに、そういう感情の説明をうまくしてもらえたら、気にしすぎない子たちがこれから出てくるのかなと、勝手に考えています。気にしすぎている人間があふれかえっているからこそ、いまのSNS時代は狂い始めていると思います。よくない時代だと思っているので、気にしすぎない時代になってほしいですね。気にするという感情自体は大事なんですけど、行き過ぎた気にしいが生まれなければいいなと、そういう願いを込めた作品です」
取材・文/編集部
著者:高橋ヒロム
発売中 価格:2,200円(税込)
仕様:21.6 x 0.9 x 15.3 cm/40P
発行:株式会社ムービーウォーカー
発売:株式会社KADOKAWA
■販売店
・全国の書店
・MOVIE WALKER STORE
https://store.moviewalker.jp/item/detail/1709
■「とびだせ! ハナゲくん」ぬいぐるみ他グッズ
公式ストアで7月6日(日)10時より発売!
MOVIE WALKER STORE
「とびだせ!ハナゲくん」ぬいぐるみキーチェーン(10cm)
https://store.moviewalker.jp/item/detail/1707/
「とびだせ!ハナゲくん」ぬいぐるみ(18cm)
https://store.moviewalker.jp/item/detail/1708/
「とびだせ!ハナゲくん」証明写真風ステッカー
https://store.moviewalker.jp/item/detail/1710/
■高橋ヒロム プロフィール
1989年12月4日生まれ、東京都八王子市出身。新日本プロレス所属プロレスラー。得意技にTIME BOMB、ダイナマイトプランジャーなどがある。2010年8月にデビュー。2017年1月4日東京ドーム大会でIWGPジュニア王座に初挑戦し勝利を収め、第76代チャンピオンとなる。その後も防衛や奪取を繰り返し、熱い闘いを繰り広げている。