無垢なる修道女がさらされる試練と恐怖…『死霊館のシスター』や『オーメン:ザ・ファースト』など『IMMACULATE 聖なる胎動』とあわせて観たい修道院ホラー&スリラー
聖母マリアとして崇められた修道女が恐怖の迷路へと陥ってしまう『IMMACULATE 聖なる胎動』(24)
主演は『恋するプリテンダー』(23)やドラマシリーズ「ユーフォリア/EUPHORIA」などで人気絶頂のシドニー・スウィーニー。聖母マリアが純潔のまま聖霊によってイエス・キリストを身ごもったという「処女懐胎」をモチーフに、敬虔な修道女を襲う恐怖を描く。監督は『観察者』(21)でもスウィーニーとタッグを組んだ新鋭マイケル・モーハンが務める。
舞台はイタリアの田園地帯に佇む修道院。アメリカのデトロイト郊外の教区から遥々やって来た修道女セシリア(スウィーニー)は、処女でありながら妊娠していることが判明。周囲の人々は彼女を次の聖母マリアとして崇め祝福する。だがやがて修道院の中では次々と不気味な出来事が発生し、祝福は呪いへと姿を変えていく…。
修道女の自殺や拷問、そして赤いフードを纏った謎の集団の出現。まるで修道院全体が一つの生ける悪夢へと変貌していくかのような展開がショッキングだ。閉ざされた空間である修道院は恐怖の迷路として機能する。
モーハン監督は、神聖でありながら人間の欲望と狂気が交錯する修道院の二面性をエンタテインメントとして鮮烈に描きだした。美しい田園風景とそのなかに潜む暗黒、聖なるものと冒涜的なものが交わる場面のコントラストが、観客に忘れられない印象を残す。
修道院という特別な場所を舞台に、敬虔な信仰と恐怖がぶつかり合うホラー&スリラーの真髄。『IMMACULATE 聖なる胎動』ほか、悪夢のような戦慄の体験に身を委ねてみるのはいかがだろう。
文/森直人
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