新進気鋭のアーティスト、甲田まひるに『ババンババンバンバンパイア』の挿入歌「ナツロス」制作秘話を直撃!「結構ぶっ飛んだ曲になったと思います」
「1人で作るのではなく、誰かと作ることのおもしろさを実感した『ナツロス』」
蘭丸や李仁たちだけでなく、多くの人が身に覚えのある、夏が終わることへのせつなさを、甲田は「ナツロス」というタイトルでも絶妙に表現した。「もうこれ以上アイデアが出ません!というくらいタイトル案を出し尽くして、ようやく出てきました」と苦笑い。また、エゴサーチのしやすさも考慮しているそうで、令和を生きる彼女らしさを感じさせる。
「ナツロス」は、ピアノをバックにしっとりとせつない歌声による歌いだしから一転、ド派手なクラブビートや加工されたサンプリングボイスへと展開。Creepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」やNewJeansの「Ditto」などにも使われている「ジャージー」と呼ばれるノリのよいビートに乗せて、甲田の儚げな歌やラップなど多彩なボーカルが縦横無尽に繰り広げられていく。
普段の曲作りではロジック(コンピュータソフト)でトラックを打ち込みながら、コードとメロディも頭から同時進行で、1人で組み立てていくという。しかし今回は、プロデューサーと話し合いながらトラックを作り、監督からの意見も取り入れて楽曲が完成。コラボレーションのような作り方に近かったそうだ。「1人で作るのではなく、誰かと作ることのおもしろさを実感した制作でした。誰かの意見を汲み取ることで、自分1人ではできなかった曲になりました」と明かす。
「ちょっとチャラくしたくて、サビのあとにオートチューンを強めにかけました」
浜崎監督のイメージは「お茶目な人」という印象を持ったそう。「監督だからこそ、こんなにおもしろい映画ができるんだ!と思いました。お話をさせていただいて、ユーモアにあふれた遊び心のある人だったから、躊躇せず実験的にどんどんやっていったほうが、逆に喜んでもらえるんじゃないかと思って、私も遊び心を大切に作ることができました」。
監督からのフィードバックによって、よりブラッシュアップされた部分もあったと明かす。「例えば2番の途中からラップが出てくる構成になっているんですけど、もともとはラップから始まる構成だったんです。でも監督から『最初はしっとりしたほうがいい』という提案があり、現在の形になりました。実際に映像と曲が合わさったものを見た時は、『なるほど!こういう映像になるのなら、頭はラップじゃなくてよかった』と納得しました。その映像のなかには蘭丸が李仁くんを抱きしめるようなシーンもあって、歌詞もそのシーンに合わせて少し書き直しています。あと個人的なこだわりは、サビの『君の全部が好きさ』のあとの『Gimme your OKAY OKAY (OKAY? Alright!)』のところに、オートチューン(声が裏返ったように聴こえる加工)を強めにかけていること。ここはちょっとチャラくしたくて(笑)。オートチューンをかけるのとかけないのとでは、全然違うんです!」。