それぞれの正義を映しだす『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』登場人物全員胸糞なショート動画

それぞれの正義を映しだす『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』登場人物全員胸糞なショート動画

綾野剛が主演を務め、柴咲コウ、亀梨和也と共演する映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』(6月27日公開)。本作より4本のショート動画と場面写真が到着した。

【写真を見る】教育委員会で停職6か月の処分を言い渡され、追い込まれる薮下(綾野剛)
【写真を見る】教育委員会で停職6か月の処分を言い渡され、追い込まれる薮下(綾野剛)[c]2007 福田ますみ/新潮社 [c]2025「でっちあげ」製作委員会

本作は、日本で初めて教師による児童への虐めが認定された体罰事件の真相に迫った福田ますみによるルポルタージュ「でっちあげ 福岡『殺人教師』事件の真相」を映画化。主人公の小学校教諭、薮下誠一を綾野が、体罰をされたと主張する児童の保護者、氷室律子を柴咲が演じる。亀梨は、事件を取材する実名報道に踏み切った週刊誌記者、鳴海三千彦役で出演する。

殺人教師の疑惑を向けられる男と、息子が体罰を受けたと訴える保護者、保護者会で謝罪をさせて穏便に済ませたい校長と教頭、そして保護者からの依頼を受け執拗に追い回す週刊誌記者。大弁護団と過激さを増していく報道。劇中では登場人物それぞれが自身の正義に基づき行動をするが、それがやがて恐ろしい事態へと発展していく。

薮下による児童、氷室拓翔(三浦綺羅)への執拗かつ凄惨な虐めの一端を切り取ったショート動画「最悪の教師編」では、薮下が「死に方教えてあげようか」と優しい口調で耳を疑う言葉を語りかける。ゴミを見るかのような目で拓翔に接しつつ「頭バーン」と称して突き倒し、「ピノキオ」と称し鼻を強く引っ張り、「うさぎさん」と称し耳を強く引っ張る行為が教え子に対して日常的に行われる。帰り道、待ち伏せする薮下を見つけて絶望を隠せない拓翔の表情から、完全に支配関係であるように見える。そんな最悪の体罰教師が映像の最後、人が変わったように「やってません」と驚きの弁解をする。

自身の疑惑を否定する薮下に対し、事態を穏便に済ませるべく謝罪の圧力をかける校長、段田重春(光石研)と、教頭の都築敏明(大倉孝二)を切り取っているのが「疑惑の教師編」。「体罰しているんですよね?」という段田の言葉に動揺を隠せない薮下。信頼していた上司である段田や都築を含む全方位から容赦ない言葉を突き付けられ四面楚歌となった薮下の絶望、困惑、怒り、恐怖、あるいはそのどれともつかない、様々な表情が映しだされる。

「この子を守るためならなんでもする」という強い決意のもと立ち上がった両親の氷室律子(柴咲コウ)と氷室拓馬(迫田孝也)を切り取っているのが「訴える保護者編」。鋭い眼光で薮下を見つめ糾弾する律子に、畳みかけるように「教えて?先生?」と、ゴルフ焼けしたその顔で威嚇する拓馬。徹底的に薮下を追い詰める覚悟で法廷に臨む2人のあまりにも鋭くミステリアスな眼光が強烈なインパクトを残す映像となっている。

拓翔の両親からの依頼によって薮下をターゲットに定めた「週刊春報」誌の記者、鳴海三千彦(亀梨和也)と過熱していく報道を描いた「追及するマスコミ編」。裁判所の前に現れた薮下に一斉にカメラを向ける報道陣。テレビではコメンテーターが「二度と教壇に立たせてはいけませんよ」と憤り、週刊春報の中吊り広告にでかでかと踊る“死に方教えてやろうか”、“教え子を恫喝した史上最悪の殺人教師”の見出しに目線が入った薮下の姿とその実名。その見出しは瞬く間に大衆へ広がり報道は過激さを増す。「大勢の人間が支持している」と自信を見せる鳴海と、第二報、第三報のネタを求めて自宅や学校にまで押し掛ける報道陣。映像の最後、「いいコメント、いただきました」と言って不敵に笑う鳴海の手にはボイスレコーダーが握られている。


現代社会の闇に実力派キャストの共演で迫った本作。ショート動画で本編の世界に触れてみてほしい。

文/スズキヒロシ

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