“邦画は観ない派”のアレン様『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』を忖度ナシでレビュー!「なにも言わずに映画館に行って」

“邦画は観ない派”のアレン様『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』を忖度ナシでレビュー!「なにも言わずに映画館に行って」

「日本人の悪いところが全部凝縮されている映画だと思う」

もともと「ホラーが大好きざます」というアレン様。本作はダイレクトなホラー映画というわけではないが、ホラー好きの期待にも応える戦慄の展開が待っている。アレン様は本作のどこに恐怖を感じたか。「人間の怖さよね。日本人の悪いところが全部凝縮されている映画だと思う」と評する。

 校長や教頭は、その場を収めるために事実確認せず、薮下に謝罪を強要
校長や教頭は、その場を収めるために事実確認せず、薮下に謝罪を強要[c]2007 福田ますみ/新潮社 [c]2025「でっちあげ」製作委員会

律子に訴えられた薮下は自らの潔白を主張するも、校長・段田(光石研)も教頭・都築(大倉孝二)もろくに耳を貸さず、世間体を気にして、とにかく謝罪することばかり求める。日本人の事なかれ主義を煮詰めたような光景だ。アレン様も「あの学校がキモい!」とブチギレ。薮下に代わって、薮下の怒りをお焚き上げしてもらった。

「あの校長なんて、ただ自分の名誉を守りたいだけ。退職までの残り期間を穏便に過ごしたいから、薮下に『謝りなさい』って言ってるだけでしょ?もう本当に腹が立つ!でもなにが怖いって、ああいう自分の保身しか考えていない人間がこの世にはたくさんいるってこと。だから、みんなも気をつけなきゃダメよ」。

この出来事から"550人もの大弁護団"が結成され、前代未聞の民事訴訟へと発展
この出来事から"550人もの大弁護団"が結成され、前代未聞の民事訴訟へと発展[c]2007 福田ますみ/新潮社 [c]2025「でっちあげ」製作委員会

だが、「本当に怖いのは大衆よね」と鋭く指摘。「なにも確証がないのに、テレビや週刊誌の報道だけを見て、薮下をバッシングする。これって結局みんなが叩いているから自分も乗っかっているだけでしょ?大多数になると善悪の基準が狂って、なにも怖くなくなる。いちばんダメな人間心理だと思っています」とぶった斬る。

アレン様も表に立つ立場。時にはいわれのない誹謗中傷を受けることもある。「ネットニュースに書いてある内容なんて『私、そんなんじゃないんだけど…』って話がいっぱいあるからね」とおかんむりだ。それでも、大衆は根拠のないフェイクニュースを盲信し、対象を色眼鏡で見てしまう。

「薮下を悪者に祭り上げたところで、無関係の人には一切メリットがない。それでも、あれだけの大騒動になったのは、一人ひとりが抱いていたストレスのはけ口として、薮下をサンドバッグ代わりにしていたんだと思う」と話す。事件から20年以上経過したが、昨今の数々の炎上を見ていても、人間の本質はなんら変わっていないのかもしれない。


「大多数になると善悪の基準が狂って、なにも怖くなくなる」
「大多数になると善悪の基準が狂って、なにも怖くなくなる」撮影/尾藤能暢

大絶賛のアレン様だが、実は1点だけ「あそこは冷めた」ところがあるそう。それが、薮下と週刊誌記者の鳴海が、暴風雨の中で直接対峙するシーン。吹き荒れる雨風が追いつめられた薮下の絶望を代弁するが、「いくらなんでも雨降らしすぎ(笑)」とダメ出し。「風が強すぎて、最後のほうは傘が飛んでいってたわよ。ちょっと大げさっていうか、エンタメ入れてきたなって思っちゃいました」と興醒めのご様子だ。

ところが実はこのシーン、雨も風も本物だという。そのことを映画関係者から聞かされたアレン様は、「絶対嘘よ!」と猛反論。もともと撮影のために雨を降らせる予定だったものの、本番に入る直前、急に天候が悪くなり、本来の天候を活かして撮影を行ったのだという。そんなアレン様に「その時の撮影の様子を、後日メイキングとして公開します」と映画関係者が話した映像がこちら。

この映像を観たアレン様は「でっちあげだと思ったら、でっちあげじゃなかったってこと…?表の情報だけに左右されちゃダメってことね。やだ、このくだり、このまま記事に使えるんじゃない?」と笑いながら、本作で得た教訓を早速身に染みて感じたようだ。

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