「傷ついた気持ちを曝け出せる人って本当にカッコいい」韓国映画ファンもそうでない人にも刺さる『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』を映画ファンはどう観た?
周囲になじめずに生きてきた男女が出会い、唯一無二の友情を育んでいくヒューマンドラマ『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』(6月13日公開)。第49回トロント国際映画祭に出品され、“韓国のゴールデン・グローブ賞”と言われる第61回百想芸術大賞で5部門にノミネートされるなど国内外で注目を集めてきた。本作の魅力を上げるなら、ストレートに笑って泣けて、主人公2人の生き方からも大きなエールがもらえるところ。すでに鑑賞している人からも、「元気をもらった」「自分らしさについて考えさせる作品だった」「思わず泣いてしまった」などの声が続出し、普段はあまり韓国映画に触れていない映画ファンもハマっている。本作のなにが心に刺さるのか?試写会で一足先に鑑賞し、ハッシュタグキャンペーンに参加したユーザーの声からひも解いていく。
正反対の男女が互いを支え、肯定し合える親友になっていく
自由奔放でエネルギッシュなジェヒと、穏やかで繊細なフンス。同じ大学に通う正反対の2人はある出来事をきっかけに特別な絆を結び、やがて一緒に暮らし始める。なににも縛られず、恋愛も自由に楽しんでいるジェヒに対し、フンスはゲイであることを周囲に隠しながら、孤独な日々を送っていた。相手の性格や境遇を肯定し、支え合うジェヒとフンスは互いにとってかけがえのない存在になっていく。そんな2人が恋愛や就職、容赦ない社会の規範にもさらされるなか、友情が試される事態にも直面する。
主人公のジェヒとフンスを演じるのは、『破墓/パミョ』(24)で百想芸術大賞の女性最優秀演技賞を受賞したキム・ゴウンと世界的ヒット作「Pachinko パチンコ」で注目を集めた新鋭、ノ・サンヒョン。さらに、『パラサイト 半地下の家族』(19)、「愛の不時着」のチャン・ヘジン、「涙の女王」のクァク・ドンヨン、「海街チャチャチャ」のイ・サンイ、『見知らぬ隣人』(22)のオ・ドンミンら豪華キャストが集結。原作は世界三大文学賞「国際ブッカー賞」や「ダブリン文学賞」にノミネートされたパク・サンヨンによるベストセラー小説で、『女は冷たい嘘をつく』(16)のイ・オニが監督を務める。
「テンポよき、物語よき、映像よき、演技もよき!」…ジェヒとフンスの友情が鬱屈した感情もふっ飛ばしてくれる
本作が愛される作品になっているのは、やはりジェヒとフンスが育む関係性のよさに尽きる。周囲と距離を置くフンスの懐に遠慮せずに飛び込んでいくジェヒ。当初は迷惑そうにしていたフンスも、彼女の繊細な内面にも触れ、悩みや秘密を共有していくうちに親友になっていく。時にコミカルに、時に涙を誘う2人のやり取りが、特に心に残ったという声が相次いでいる。
「笑えて泣ける、大好きな映画になりました。最近モヤモヤすることが多かったのですが、観終わったあとは自分もがんばろうと前向きな気持ちになれました!」
「劇中で描かれる期間が長いのですが、決して駆け足な感じはなくすばらしくまとまりがいい。全体的に笑いがちりばめられていて、エンタメ性もすっごく高い」
「テンポよき、物語よき、映像よき、演技もよき、全体的にかなり大好きな映画。もうずっとのめり込んで観ていた」
「心の傷、そしてかけがえのない絆の表現が秀逸でした。必ずしも普通であることが幸福だとは言えないのでは?愛とは一体なんなのか?学び多き映画で満足」
「登場人物の気持ちがリアルで、いろんな場面でグッときました。映像もすごくキレイで、世界観にどっぷりハマりました」
「大好きな映画の一つになりました。それは2人の喜怒哀楽、心の動きが丁寧に描写されていたからかと。私も2人のように、自分らしく、ありのままで、生きてみようと思わされるような作品でした」
「2人の関係性が本当にすてきで、せつない場面もあり何度も涙が流れました」
「主人公の心の動きや葛藤が丁寧に表現されていて、作品に没入することができた。社会問題も盛り込み、リアリティあるストーリーがおもしろかった」
「異質なものを排除しようとする社会へのメッセージが胸に刺さり、観終わったあとも心があたたかくなる。この映画が多くの人に届きますように」
ジェヒとフンスと同じ境遇にはいなくても、日々の日常の中で孤独を感じていたり、ルールを押し付けようとする社会に窮屈な思いをしている人は多いはず。本作はそんな生きづらさを抱えている者に寄り添い、鬱屈した感情もふっ飛ばしてくれる。ほとんど韓国映画を観たことがなくて楽しめるかな?と思っていた人たちも完全にのめり込み、晴れ晴れとした気持ちになっている。