20世紀を代表する作家で、妻殺しの奇人!稀代のカルチャーアイコン、ウィリアム・S・バロウズにまつわる映画8選
出演者としてカリスマ性を放った『ドラッグストア・カウボーイ』
俳優としても活動したバロウズは、ドラッグ欲しさに薬局を荒らす若者たちの悲劇を、麻薬による幻覚や精神状態の変化を交えながら描いた『ドラッグストア・カウボーイ』(89)にも出演している。
1970年代、オレゴン州。麻薬常用者のボブ(マット・ディロン)は、妻のダイアン(ケリー・リンチ)や友人リック(ジェームズ・レグロス)らとドラッグストアを襲う薬漬けの日常を送っていた。しかし、仲間のナディア(ヘザー・グラハム)のオーバードーズを機に更生を図ろうとするが、かつての手下から襲撃され…。
本作はバロウズを敬愛するガス・ヴァン・サント監督の出世作であり、脚本が完成した際にはバロウズに読んでもらったとか。脚本に興味を持ったバロウズは1日だけという条件で特別出演し、わずかな出番ながら異彩を放っている。
内容は無関係だがタイトルに影響をもたらした『ブレードランナー』
リドリー・スコット監督によるSFの金字塔『ブレードランナー』(82)。本作は知っての通り、もちろんバロウズの原作ではなく、フィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」を原作としている。
実は、アラン・E・ナースの作品を映画用に翻案したバロウズの小説「ブレードランナー」というものがあり、映画とは内容は無関係だが、バロウズのファンだった脚本家のハンプトン・ファンチャーが使用料を払ってタイトルとして拝借したそうだ。
奇人バロウズの人となりに迫る!『バロウズ』
1983年の製作当時、高く評価されたものの、その後フィルムが紛失。2011年にデジタルリマスター化が実現するも、日本ではソフト化も配信もされなかったのが公開中のドキュメンタリー『バロウズ』だ。
本作は、幼少期からドラッグへの渇望、制作の秘密や人間関係など、奇人ぶりが堪能できるドキュメンタリー。妻殺しの真相や銃への執着、強烈なブラックユーモア、詩の朗読、無機質な自宅まで、あらゆる面からバロウズに迫る入門編にして決定版となっている。
ぜひ劇場で作品をチェックし、バロウズという人物が気になった人は、今回紹介した関連作を観て、深掘りしてみてはいかがだろうか?
文/サンクレイオ翼