心揺さぶられる…!『容疑者Xの献身』や『八日目の蝉』『金子差入店』など、思わず涙がこぼれる感動サスペンス&ミステリー映画6選

コラム

心揺さぶられる…!『容疑者Xの献身』や『八日目の蝉』『金子差入店』など、思わず涙がこぼれる感動サスペンス&ミステリー映画6選

30年以上前の脅迫事件をテーマに、事件に翻弄される人々を描く『罪の声』

小栗旬と星野源が共演した『罪の声』(20)は、実際に起きた昭和の未解決事件をモチーフに、事件に隠された真実とそこに関わる人々の人生を描く。事件の解明に燃える記者と一人の男性の執念が、時代の闇にひと筋の光を当てる。

新聞記者の阿久津(小栗)は、未解決の企業脅迫事件を再取材するなかで脅迫テープに子どもの声が録音された経緯に疑問を持つ。一方、京都でテーラーを営む曽根(星野)は、父の遺品から自分の声が企業脅迫事件に使われた証拠を見つけ衝撃を受ける。それぞれに始まった調査はやがて交錯し、事件の真相と加害者家族の知られざる人生が明かされていく。

この作品では事件そのものよりも “そのあと”を生きる人々の姿に焦点を当てたことで、深い思索を誘う。過去の罪が無数の人生に及ぼした影響、そしてそれでもなお前を向こうとする人間の強さが印象的な作品となっている。

生活保護の実情を描き、“命の価値”を問う『護られなかった者たちへ』

ベストセラー作家の中山七里による同名小説を瀬々敬久監督が映画化した『護られなかった者たちへ』(21)。生活保護制度をめぐる問題を背景に、連続殺人事件の真相に迫る重厚な社会派映画の側面も併せ持つ。貧困と行政、そして“命の価値”を問うストーリーが、多くの観客に衝撃と感動をもたらした。

仙台市内で福祉職員が相次いで殺害される事件が発生。容疑者として浮上したのはかつて生活保護を受けていた男、利根(佐藤健)だ。だが捜査が進むにつれ、事件の背景には制度の綻びや人々の見えない苦しみがあるという事実が浮かび上がってくる。担当刑事の笘篠(阿部寛)は、利根の過去に迫りながら事件の真の意味を探り始める。

本作は、貧困や孤独といった社会的テーマを直視するだけでなく、そこに生きる人々の“声なき声”をすくい上げている点が秀逸。しだいに曖昧になっていく加害者と被害者の境界線が人間の複雑さと同時にやるせなさを醸す、心をわしづかみにされる感動の物語だ。


『金子差入店』は5月16日(金)より公開
『金子差入店』は5月16日(金)より公開[c]2025「金子差入店」製作委員会

ミステリーやサスペンスというジャンルの枠を超え、人の心の奥深くに届いて深い感動を与えてくれる作品たち。その系譜に新たに名を連ねる『金子差入店』を観て、心を揺さぶられつつ希望の意味をかみしめたい。

文/足立美由紀

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